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tert-Bu基によるアルコールの保護

t-Bu保護とは

t-Bu基(tert-ブチル基)とは

t-Bu基はエーテル系のアルコールの保護基です。t-Bu基は強酸以外のほとんどの条件に対して安定な一方で、TFA等の強酸を用いることで容易に脱保護できます。保護も比較的穏和な条件で可能です。

tBu保護

特徴・利点

t-Bu基の利点や特徴は

  1. 強酸性以外のほとんどの条件で安定
  2. 脱保護時に生成するのがガスであり精製が楽
  3. 脱保護が穏和に進行

欠点は

  1. 保護基導入が割と面倒(イソブテンガスを使用すると)

t-ブチル保護は水酸基の他の保護基と比べても安定で強い分類です。保護にイソブテンガスを吹き込む操作が必要なので、TBS基などのほうが簡便だと思います。

反応機構

反応機構ー保護

t-Bu保護反応機構イソブテンがプロトンを攻撃してカルボカチオンが生成します。このカルボカチオンをアルコールが攻撃することにより保護アミン体が生成します。

反応機構ー脱保護

t-Bu脱保護反応機構t-ブチル基の脱保護は酸性条件下で行われます。プロトン化されたアルコールを脱離させるようにイソブテン(ガス)が生成して脱保護が完了します。

反応条件-保護

t-ブチル基の保護は、酸性条件下イソブテンガスを吹き込むことによって行います。空いている一級アルコールが優先的に保護されます。酸触媒としてはH2SO4、H3PO4、BF3・Et2Oなどが用いられます。

保護条件例1

t-ブチル保護反応例1濃硫酸(1 eq, 10mmol)を、ジクロロメタン(30mL)、無水硫酸マグネシウム(4 eq, 40mmol)の懸濁液に滴下して加えて混合物を15分間撹拌した。 次いで、ジクロロメタン(10 mL)に溶解したt-ブタノール(5 eq, 50 mmol)とアルコール(1eq, 10 mmol)の混合物を加えた。 栓をして25℃で18時間撹拌した後、75mLの5%炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、硫酸マグネシウムが溶解するまで撹拌した。 有機層を分離し、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して目的物を得た(93%)。Wright, Stephen W. et al., Tetrahedron Letters, 1997, 38, 7348.より引用。この方法は、イソブテンガスを使用しなくても保護できる方法です。

反応例2

t-Bu保護反応例2ジクロロメタン(15mL)、アルコール体(1.28g,7.20mmol)の溶液に濃硫酸(0.5mL)を0℃で激しく撹拌しながら滴下した。次にイソブテンガス(5mL)を0℃で溶媒中にバブリングして少しずつ吹き込んで加え、室温で48時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え、続いてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して保護アルコール体を得た(収率83%)。Vassiliou, Stamatia, et al. J. Med. Chem. 2011, 57, 8151.より引用。この手法はスタンダードな方法です。室温に戻さずに0℃のまま撹拌しても反応は進行する。イソブテンの量が過剰になると2層になったりするのでそのときは溶媒を加えて希釈する。イソブテンの沸点が-7℃くらいなのでもう少し冷却しても良い(-78℃まで)。

保護条件

よく利用される酸:硫酸、TfOH、陽イオン交換樹脂(Amberlyst 15等)

溶媒:ジクロロメタン、ジオキサン

脱保護反応例

t-ブチル基の脱保護は酸性条件で行われます。HCl/dioxane、トリフルオロ酢酸やルイス酸(AlCl3、TiCl4) TMSIなども用いられます。

反応例1

t-ブチル基の脱保護反応例1二口フラスコ中にCeCl3・7H2O(1eq, 1.0 mmol)を真空下オイルバス中130℃で1時間加熱した。その後撹拌をONにして加熱をさらに1時間続けた。 不活性ガスに置換し、室温まで冷却後、保護アルコール(1eq, 1.0 mmol), NaI(1 eq, 1.0 mmol)及び2mLの無水CH3CNを加え70℃で4時間撹拌し、Et2Oで希釈し、ろ過した。 ろ過した塩をEt2Oで数回洗浄した。濾液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(99%)。Giuseppe, Bartoli, et al. Adv. Synth. Catal. 2006, 348, 910.より引用。CeCl3を用いた条件では、ケトンやオレフィン、アルデヒド、ニトロ、シアノ、ベンジル基は影響を受けないです。脂肪族、芳香族、アリルアルコールの保護はどれも適応可能です。

注意事項ーTips

  • 保護時にカルボン酸があるとt-Buエステルに変換される場合があるので注意する。

参考まとめ

Wuts, Peter G. M.. Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis forth edition (p.82). Wiley.

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