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TBS基によるアルコールの保護

TBS基とは

TBS基(tertブチルジメチルシリル基)とは

TBS基はシリルエーテル系のアルコールの保護基で、最も良く使用されるアルコールの保護基といっても過言ではありません。TBS基の特徴としては、フッ化物イオンに対して選択的に脱保護される点で、他の保護基と組み合わせやすいです。脱保護反応も進行しやすいく、信頼性が高いです。酸条件にはあまり強くなく、脱保護されてしまいます。シリルエーテル系の保護基はケイ素上の置換基の嵩高さによって、安定性が変化し、大抵の場合は置換基が嵩高いほど安定になります。一般的なエステルの塩基性加水分解条件やLAHやDIBAL等の還元条件にも安定です。第三級アルコールに対しては、TBSOTfを用いることによって保護可能です(TIPS,TBDPS基はできない)。

TBS基とは

特徴・利点

TBS基の利点や特徴は

  1. 保護の反応例が豊富
  2. 保護反応は早く(2-3時間ほど)、脱保護反応の信頼性も高い
  3. 直交性が高い
  4. 嵩高さを利用した選択的な保護が可能である

などがあります。

欠点は

  1. 酸にはあまり強くない。あっさり外れてしまうこともある
  2. よく使われる割に試薬が高め
  3. TBS除去後の副生物の除去が面倒な時がある

反応機構

反応機構ー保護

TBS保護反応機構

反応機構ー脱保護

TBS脱保護反応機構TBAFによる脱保護はフッ化物イオンがケイ素に攻撃して始まります(ケイ素とフッ素の親和性は非常に高い)。

反応条件-保護

 

保護条件例1TBS保護反応例1

アルコール体 (500 mg,1.35 mmol,1eq)およびイミダゾール(458 mg, 6.73 mmol, 5eq)にDMF(5 mL)を加えて溶解させた後、TBSCl (1.01 g, 6.73 mmol, 5eq)を加え、室温で14時間撹拌した。反応物を濃縮し、シリカカラムクロマトグラフィー(70:30=Hex:EtOAc)により精製したTBS保護体を得た(866mg,90%)。Lambrecht, Michael J., et al. JACS, 2015, 137, 3564. より引用。

保護条件例2

TBS保護反応例2

ジクロロメタン(24.8mL)にアルコール体(1.11g,2.48mmol)を溶解し、0℃で2,6-ルチジン(925μL,7.94mmol)およびTBSOTf(1.14mL,4.96mmol)を加えた。 反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、水(10mL)を加えた。ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮し、トルエン(×5)共沸を行った。 残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ AcOEt 97/3ー93/7)により精製し、TBS保護体を得た(1.01g,1.80mmol,73%)。Atsushi, H., et al. JACS, 2018, 140, 10611. より引用。TMSOTfは第三級アルコールに対してもTBS保護が可能です。

脱保護反応例

 

反応例1

TBS脱保護反応例1

脱水MeOH(3mL)とTBS保護体(1mmol)の撹拌溶液に、氷浴しながらAcCl(11μL,0.15mmol)を滴下して加えて、室温にもどしながら撹拌した。 反応終了後、ジクロロメタンを加え(20mL),反応混合物を10%炭酸水素ナトリウム(1mL)で中和し、H 2 O(10mL)で有機層を洗浄、濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し脱保護体を収率98%で得た。Khan, Abu T. et al. Synlett. 2003, 5, 698.より引用。酸条件で脱保護する方法です。系中でHClを発生させる方法で購入するよりも安価で収率も良いと思います。

反応例2 (TBAF)TBS脱保護反応例2

室温でTBS保護体 (1.0 eq , 13.8 mmol)のTHF(20 mL)溶液に、TBAF(1.5 eq, 20.7 mmol,1.0M in THF)の溶液を加えた。 混合物を20時間撹拌し、反応終了後、水(20mL)を加えてエーテル(3×)で抽出し、有機層を飽和塩化アンモニウム飽和溶液およびブラインで洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過、濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製して、脱保護体を92%の収率で得た。 Organ, Michael G., et al. J. Org. Chem. 2003, 68, 5574.より引用。

注意事項ーTips

  • 保護されたアルコール近傍にヒドロキシ基が存在している場合、シリル基が転移する恐れがある。

参考まとめ

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