ソテツとは?
ソテツは裸子植物のソテツ綱に属するする植物です。ソテツはヤシの木に似ていますが、ヤシは被子植物であり植物の中でも大きくことなります。ソテツは成長が遅いため背が低く、枝分かれが少ない太い幹が特徴です。
古生代から存在する植物であるため生きた化石とも言われます。
ソテツは熱帯~亜熱帯に生息しており、日本でも九州以南で自生しており沖縄県ではソテツ味噌などにして食用にされています。
ソテツの毒 ソテツは食べられるの?
ソテツは秋冬にかけて赤色の種子をつくります。種子には大量のでんぷんが含まれていることから食料になります。
ソテツは藍藻類と共生しているので窒素固定が可能で痩せた荒れた土地でも生育できます。こうした特徴から食糧不足の時に非常食になっていた歴史があります。
しかし、昔からソテツには毒があるというのは知られていたため、ソテツの毒を抜く処理をしてから食用としていました。
毒をもつソテツですが、世界中で食料として用いられてきた歴史があります。すすんで食されてきたわけではないようですが、食料資源が少ない時にソテツは魅力的な選択肢のひとつだったわけです。
ソテツの毒成分
ソテツの毒性分は二種類あります。
- サイカシン
- BMAA
これらの毒成分の除去には伝統的に水にさらす・十分に加熱するという方法をとります。
サイカシンには発がん性があるといわれていますがそれは、化学構造を見ればうなずけます。
サイカシンは植物の毒成分としてはよく見られる配糖体ですが、そのアグリコンである」メチルアゾキシメタノールは「ホルムアルデヒド」と「ジアゾメタン」に分解します。両者とも毒性が高く、ジアゾメタンには発がん性があります。
配糖体は水に溶けやすい
植物には配糖体といってグルコースなどの糖類と結合した成分がよく見られます。青梅の毒性分である青酸配糖体アミグダリンも水溶性が高いです。
またソテツには、藍藻類と共生しているため藍藻類が産出する神経毒性を有するβ-メチルアミノアニリン(BMAA)が含まれています。
ソテツの毒被害
草食動物にとってもソテツは毒のようです。沖縄の遊牧牛が呈する運動障害や角の脱落などの症状がソテツの葉の採食によって生じることが報告されています。
安田宣紘, 河野猪三郎, and 清水孜. “牛の実験的ソテツ中毒に関する病理学的研究.” (1985): 171-178.
ソテツは奄美諸島や沖縄地方では救荒食糧として役立ってきた歴史があるため、ソテツ味噌などとして食用利用されています。伝統的な毒抜き処理によって作られています。科学的に毒性分の残存について検証したところ、サイカシンの残存は見られなかったそうです。
小林昭, et al. “ソテツ味噌の安全性について, 有毒成分の化学的検索と長期動物試験.” 栄養と食糧 27.6 (1974): 263-268.