生活

なぜ学校のプールには塩素が入っているの?危険性は?

そろそろ季節的にも暑くなってきて、海やプールに行きたくなりますよね!

プールと言えば、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?個人的には学校のプールのあの独特の臭いが記憶に残っています。

あの臭いは「塩素」と言われていますが、塩素って毒があるんじゃ。。。ということで今回はプールに使われている「塩素」の危険性について科学者的な目線で解説してみたいと思います。

塩素って毒なの?

塩素(化学式: Cl2)を実験で使ったことがある方は分かると思いますが、塩素は黄色の気体として存在します(ガスボンベも黄色)。気体+毒性が高いため取り扱いおよび廃棄の面から、化学系の研究室でも塩素ガスを持っているところは現在では稀なレベルだと思います。そんな危険な塩素(Cl2)ですから直接使われているとは考えづらいです。

更に言ってしまえば、塩素が水に溶けた場合塩酸(HCl)が生成するため、塩素が入ってしまうと多少とは言え酸性になりますから、目など体の弱い部分には良くありませんよね。従って塩素(Cl2)自体が直接プールの消毒に使われることはありません。

「塩素」の正体は次亜塩素酸イオン

よく「塩素」と言われていますが、実際の物質は塩素(Cl2)ではなく、塩素を含んだ化合物:次亜塩素酸(HClO)および次亜塩素酸イオン(ClO)が使われています。これらは遊離塩素と呼ばれています。

例えばネット上で紹介されている例で言えば、岐阜市のホームページには次亜塩素酸イオン(ClO)とナトリウムイオン(Na+)の塩である次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を使っていると紹介されています。1)

水道水は、必ず塩素消毒がされています。(水道法により遊離残留塩素濃度0.1mg/L以上と、義務付けされています。)
岐阜市では、次亜塩素酸ナトリウムという薬品を一定量加え消毒しています。

- 岐阜市official website より引用 1)

次亜塩素酸で消毒できる原理

次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌作用機序は充分には解明されていませんが、この有効塩素の強い酸化力により、微生物やウイルスなど病原生物の細胞膜や細胞壁(形質膜など)の損傷、細菌等が産生する酵素活性の失活、内部のタンパク質や核酸を変性させるといわれています。

細菌の細胞壁は厚く丈夫な構造体ですが、イオンや低分子量の親水性分子を容易に透過させることができ、形質膜であるリン脂質二重層が基本構造となっていて、イオン化したOCl-はこの脂質二重層を透過することができません。しかしながら、イオン化していないHOClは、適度の分子サイズと電気的中性の性質から、受動拡散によって容易に細胞壁と形質膜を透過することができます。細胞内に侵入したHOClは、細胞機能に必須な酵素や組織に対して酸化作用を及ぼすことで、細菌や芽胞、各種ウイルスに対しても有効に効果を発揮します。

次亜塩素酸イオンはハイターにも!

他に次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンが使われている例として、身近なモノで言えばキッチンハイターなどに使われています。

よく考えればこちらも消毒・除菌の目的で使われる訳ですから、使われているのも当然と言えば当然ですね。例えばamazonのランキングで一番上位にくる花王のキッチンハイターの成分表を見ると一番最初に次亜塩素酸ナトリウムが出てきます。

表1: 花王キッチンハイターの成分表 2)

ちなみに生物系の研究室によっては次亜塩素酸を試薬として買わずに、上記市販のキッチンハイターを用いて処理しているところもあります。原理が分かれば当然ですね!

プールの「塩素」の対策法は?

プールの「塩素」である次亜塩素酸は細菌を破壊できるわけですから、身体への影響は必ずしも良いとは言えません。実際には適切な濃度を保つことで、一般の人には影響がでないレベルで用いられています。

しかしながら、アトピーなどの皮膚に問題を抱えている方や、臭いが気になる方にはあまり喜ばしいものではありません。そんな方々への「塩素」対策法として、塩素用のクリームも販売されています。

このようなタイプのクリームを塗ることで、皮膚への影響を防ぐことができ、臭いも多少押さえることができるみたいです。3)

参考文献

1) 岐阜市official website、よくある質問「水道水はどのように消毒されていますか」https://www.city.gifu.lg.jp/32070.htm

2) 花王、製品カタログ「キッチンハイター(小)」https://www.kao.com/jp/haiter/hit_kitchen_00.html

3) 教えて!goo「プールの塩素対策(肌)」https://oshiete.goo.ne.jp/qa/2956012.html

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えぬてぃー
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専門: 有機化学