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相間移動触媒とは?水系反応で重要な触媒!反応例と使い方

相間移動触媒とは

相関移動触媒とは水層と有機層を往来してイオンを運ぶ触媒

相間移動触媒テトラブチルアンモニウム塩のように疎水性と親水性部位を併せ持つような物質で水にも有機溶媒にも溶けるため、水層中のイオンを有機層に輸送することで、水に溶けやすい物質を効率的に有機層で反応させる触媒として利用します。液-液だけでなく、液-固間の反応を触媒するのにも相間移動触媒が利用されます。


なぜ相間移動触媒を利用するの?

塩化ナトリウムのような塩は水には簡単に溶けるのに有機溶媒にはほとんど溶けません。有機合成では基本的に溶媒に溶かした状態で反応させるので、有機溶媒に溶けないとなると反応させられません。
[chat face=”komeyaniro.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]では、水を溶媒として使ったら良いのでは?[/chat]
もし溶媒に水を使っても、多くの有機化合物は水に溶けにくく、水は反応性が高いため試薬が分解する問題があります。

水系反応での副反応図1.Grignard試薬は水に弱い物質の代表。酸クロライドとアミンとの反応も水を溶媒としたら加水分解が進行してしまう。

塩も多少溶解するDMSOやNMPなど高極性溶媒を使う方法もありますが、高沸点のため除去が難しく、コストも高さも欠点です。

ならば、水に溶けやすいものは水に溶かして、有機溶媒に溶けやすいものは有機溶媒に溶かして、水層と有機層の二相系で反応させられば良いと考えました。しかし、そのままでは水層と有機層の界面だけでしか反応が進行しません。そこでより効率的に反応させるために「相間移動触媒」を使います。

相間移動触媒とは?
相間移動触媒は水と有機溶媒どちらにも溶解する分子でイオン性の部分と長鎖アルキル部分の両方を持つ物質です。

相関移動触媒を利用することによって、極性の高いイオン性の化合物を有機溶媒中に輸送することが可能になります。これによって界面だけでなく、有機層全体で反応させることができます。

相間移動触媒を使った例

相間移動触媒の反応

相間移動触媒を利用する反応の例としてN-アルキル化をとりあげます。NaOHはNHプロトンを引き抜くために加えており、生じた窒素アニオンがブロモアルキルを攻撃してN-アルキル化が進行するとします。NaOHはイオン性の化合物のため、水には溶けやすいですが、トルエンには溶けにくいです。このままでは反応が進行しにくいですが、相間移動触媒としてTBAB(テトラブチルアンモニウムブロミド)を加えることによって、第四級アンモニウムカチオンが水中で水酸化物イオンとイオン結合し、これはトルエン中にも可溶であるため、トルエンに移行できます。これにより、溶けにくい水酸化物イオンが有機溶媒中に運ばれ反応が進行します。反応後の相間移動触媒は再度水中に戻り、有機層と水層を行き来して反応を触媒します。

このように相間移動触媒を使うことで効率的に二相系の反応が可能となります。

水が存在したら試薬が分解するのでは?
もちろん少しずつ分解反応も進行します。例えば、酸クロライドとアミンとを反応させてアミドやエステルを作る際に二相系で反応を行うショッテンバウマン条件は有名ですが、高反応性の酸塩化物が分解するよりもアミドが生成するほうが早く効率的にアミドが得られます。水に溶けやすい高極性のアミンでも反応が進行します。一方で酸塩化物の水溶性が高い場合や求核剤の反応性が低い場合などは分解が優先する可能性があります。



相間移動触媒が使える反応と触媒の選択

相間移動触媒を利用することによって過マンガン酸カリウムによる酸化やシアノ化、アミド化、エステル化、アルキル化などに利用可能です。

相間移動触媒は大きく分けて3種類

  1. 第四級アンモニウム塩
  2. ホスホニウム塩
  3. クラウンエーテル

があります。アルキル化のときは、TBAI(テトラブチルアンモニウムヨージド)を使うことが多いかもしれません。相間移動触媒は高極性の固体試薬を有機溶媒に可溶化させるために加えることもあります。例えばTHFやアセトニトリルなどの溶媒にも炭酸塩や水酸化物塩は溶解しにくいです。このときにTBAIやクラウンエーテルを加えて反応を行うことがあります。

ホスホニウム塩の使用例はあまり見かけたことがありません。

クラウンエーテルはイオン性の部分はありませんが酸素の多いPEG様の構造であるため水にも溶けます。第四級アンモニウムはアニオンを輸送するのに使いますが、クラウンエーテルはカチオンを輸送するのに使います。クラウンエーテルは分子の中心に金属カチオンを捉えます。サイズによって捉えやすいカチオンが変化します。

触媒の量は0.1-0.3eq程度です。実際は結構適当ですね。詳しくは論文を参考にしましょう。
[box05 title=”まとめ”]
・相間移動触媒を使用することによって安価な炭化水素系・ハロゲン系溶媒を使用可能。
・蒸留等で容易に精製可能。
・有機塩基ではなく安価な無機塩基が使用可能。
・反応後ろ過あるいは有機層を取り出すだけで精製可能な事が多い。
・二相系は活性種の濃度が低いから?か副反応が抑制できる(エステルの加水分解など)。
・大量スケール向き
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