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パラジクロロベンゼンの匂いが好きだけど毒性は大丈夫?

パラジクロロベンゼン

パラジクロロベンゼンという物質をご存知でしょうか?

かつてトイレの小便器にあった丸い蛍光色のボール。最近はまるっきり見なくなりましたが、あの防虫剤にはパラジクロロベンゼンという物質が入っています。

私はあの匂いが好きでたまらず新品の玉を掃除ボックスから持ってきて教室に飾っていました。

あの独特の匂いのファンが結構たくさんいてわざわざ購入しにいっている人もいるそうです。

パラジクロロベンゼンは何者?

男性のほうが知っている方が多いかもしれませんが、

昔、小便器に置かれていた丸いアレ。男性諸君はあの玉を狙って用を足していた思い出があるのではないでしょうか?


名前を「トイレボール」と言うらしいですが、あのボールから何ともいえない独特の匂いが漂ってくるんです。何の匂いか?と聞かれると難しく「トイレボール」の匂いとしか言えませんが、何とも癖になるんです。


好き過ぎてとって食べたくなるという人もいるみたいですが、結構あの匂いを気に入っている人って多いのではないかと思います。一度はトイレに入ったあの玉に触れて直接匂いをかぎたいというような衝動に駆られたことがあるのでは無いでしょうか?

そのトイレボールの主成分で、匂いの正体が「パラジクロロベンゼン」です。パラジクロロベンゼンには防虫効果があります。最近あのトイレボールが少なくなっているのは、

昔と比べてトイレが清潔になってきたことと、(昔はどこのトイレも和式が多くて悪臭を放っていましたから、トイレにこもるとかは考えられなかったですね。和式だし)

パラジクロロベンゼンが有毒であるということが理由だと思われます。

基本的に塩素が入った炭化水素類は有毒な化学物質が多いです。クロロホルムも1,2-ジクロロエタン(胆管がんで話題に)も塩素が入っています。パラジクロロベンゼンはベンゼンに塩素が2つ対角線上に並んだ物質です。

有毒で有名な「ダイオキシン」の代表例「2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-1,4-ジオキシン(TCDD)」もベンゼンに塩素がたくさんはいっています。

このように「塩素が入った有機化合物は有毒なものが多い!」です。

パラジクロロベンゼンはなぜ固体なのにあんなに匂いが香ってくるかというと、昇華するからです。昇華は固体から気体への状態変化で、「ドライアイス」と同じです。

パラジクロロベンゼンはどんどん固体から直接気体になっていくので、トイレ内に匂いが充満します。

カップ麺からパラジクロロベンゼンが検出?

2008年にカップ麺からパラジクロロベンゼンが検出されて騒ぎになりました。これは防虫剤のそばにカップ麺を置いておいたせいで、容器を通り越してパラジクロロベンゼンが侵入してきたからだと言われています。なぜパラジクロロベンゼンがカップ麺の中に入ったのか?というと、カップ麺の容器の化学構造を見れば謎がとけます。

上の化学式は、カップ麺容器の「ポリスチレン」という物質の構造です。ベンゼン環がたくさんありますね。ベンゼン類はガソリンなどにもたくさん入っていて、いわゆる油です。油同士は混ざり合うことから、同じくベンゼンを含むパラジクロロベンゼンもカップ麺の容器を貫通して中に入り込んだということです。

まあ発泡スチロールはスカスカしていて隙間が多そうなので、それで貫通していったのかもしれませんが。

どちらにせよ、ニオイ成分はカップ麺に移りやすいです。そのためカップ麺をよくみると「臭いが移るから匂いのきついもののそばに保管しないでください」と注意書きが書かれています。

パラジクロロベンゼンの毒性は?安全なの?

結論から言って、パラジクロロベンゼンって有毒なの?と聞かれれば「有毒です」。

健康にはあまりよくありません。家庭で利用するのもおすすめはしません。

有毒だと聞くと特に化学物質に対してアレルギー的な反応を示すような人も多いですが、公園とかにトイレボールがあってそれを利用するくらいなら問題はないです。

トイレボールを発見したので今後は絶対利用しませんと言うなら止めませんが

健康上問題となるのは特に

  • 触れて食べる(経口摂取)
  • 密室で充満した場所での慢性的な利用 (高濃度の蒸気を吸入)

です。自宅のトイレなどは密閉性が高く、空気がこもりやすいので気をつけましょう。自宅のトイレは毎日利用するのでそこも問題です。そのため自宅トイレでの使用はあまりおすすめできません。利用する場合は換気に気をつけましょう。公共施設や学校や職場などは広く、換気が良いことが多いのでそこまで気にしなくて良いと思います。

パラジクロロベンゼンの毒性概略

パラジクロロベンゼンは昇華性の固体なので、体内侵入ルートとしては吸入経路が最も重要です。

IARCでは、パラジクロロベンゼンの発がん性をグループ2Bと分類しています。(グループ2Bは人に対する発がん性が疑われるもので、アセトアルデヒド、クロロホルム、鉛、ガソリン、重油など)

細胞レベルの試験ではパラジクロロベンゼンの変異原性や突然変異性の有無が確認できておらず、ほとんどの試験で陰性(試験上は問題なし)となっています。いくつかの試験、DNA損傷試験、全身突然変異試験では陽性の報告もありますが、判断できないということです。

急性毒性 吸入毒性 LC50 = 5070mg/kg (4h) ラット
経口毒性 LD50 2950 mg/kg (マウス)
LD50 500 mg/ kg 、1000-4000, 2512-3863 mg/kg(ラット)報告値はバラバラで評価が難しい。マウスとあまり変わらないかも?

反復投与毒性試験 NOAFL =10mg/kg/day (ビーグル犬)10匹中3匹が1か月以内に死亡。死亡原因は肝臓毒性によるものとの報告がある。

皮膚腐食性・刺激性 : 有り

パラジクロロベンゼンという歌

最初に言っていた「パラジクロロベンゼンが歌う?」真相は

パラジクロロベンゼンが歌うわけではなく。パラジクロロベンゼンという歌があるようです。

化学物質が歌うという期待をしていた方には申し訳ありません。

ボカロ曲です。興味があれば聞いてみてください。

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こめやん
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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております

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