全ての人を研究者に 

オキシ水銀化 アルケンやアルキンをアルコールに変換!

オキシ水銀化eye

アルケンやアルキンに水銀を使って水酸基などを導入する反応です。マルコフニコフ則に従った生成物を与えます。水銀を使用するのが欠点ですが、古くから知られ、教科書にも度々登場する反応です。

オキシ水銀化とは?

オキシ水銀化は酢酸水銀を使って水銀イオンを多重結合に付加させ、水やアルコールによる求核付加、続いて生じたアルキル水銀をNaBH4で還元的に開裂することによって、アルコールを生成します。

オキシ水銀化

オキシ水銀化の概要:V8rik at English Wikipedia [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]

反応の機構を見ると分かりますが、臭素のアルケンへの付加反応と同様に三員環の中間体を経由しており、カルボカチオンが生成しないので、転位や重合などが起こりにくくなっています。マーキュリニウムイオンに対してマルコフニコフ則に従って水やアルコールが求核付加するとヒドロキシ水銀が生成します。ヒドロキシ水銀はNaBH4などにより還元的に脱離してアルコールが生成します。

オキシ水銀化反応

オキシ水銀化反応 アセテートを省略して水銀イオンとしてかいています。

水銀は大きいため、水銀が付加した面とは反対の面から水は攻撃します。立体障害による影響を受けやすく空いている面、位置に入りやすいです。

オキシ水銀化の特徴や欠点

教科書的なマルコフニコフ則に従った生成物を与えます。欠点としては水銀を使用する点です。

水銀のオレフィンへの付加は通常5~10分程度で完了し高収率です。

ビシクロ環に対してはexo選択的にアルコールが生成します。

アルキンに対する反応

アルキンに対して酢酸水銀を作用させるとエノールが生成し、これを互変異性化するとケトンを生成します。

反応条件

水銀源としては酢酸水銀を使います。アルコール合成の場合は水、エーテルとする場合はアルコールを加えます。

アルコール合成をする場合は、酢酸水銀(1eq)をTHFやジオキサン溶媒中でアルケン(1eq)と水(溶媒量)を加えて撹拌後、5~60分程度撹拌、6M NaOH水溶液を加えて水素化ホウ素ナトリウムを塩基性溶液を氷冷下滴下して加えたのち、室温で~3時間程度撹拌して、水銀を分離後、抽出、濃縮して精製操作を行い目的物を得ます。

オキシ水銀化は酢酸水銀を用いて、アルケンをマルコフニコフ則型付加体のアルコールを生成する反応です。ヒドロホウ素化により得られる生成物は逆マルコフニコフ則型であるため位置選択性を分けられます。

Shair, Matthew D. et al WO.2012167021, 06 Dec 2012

1:1 THF/H2O (300 mL) slurry of mercury(II) acetate (41.04 g, 128.7 mmol, 1.5 equiv.) in a 1-L recovery flask was treated with 2 (20.00 g, 85.78 mmol, 1 equiv.), and the resulting yellow solution was stirred at room temperature for 10 min. The solution was then cooled to 0°C., and an aqueous solution of NaOH (3 M, 140 mL) was added. The resulting bright yellow slurry was stirred at 0°C. for 2 min, and a basic, aqueous solution of NaBH4 (0.5 M NaBH4 in 3 M NaOH aqueous solution, 140 mL) was added, immediately producing a gray slurry. After stirring an additional 15 min at 0°C., the slurry was diluted with H2O and extracted thrice with EtOAc. The organic extracts were combined, washed thrice with H2O and once with brine, dried over Na2SO4, filtered, and concentrated in vacuo, which was used without further purification. 20.81 g (82.86 mmol, 97% yield)

オキシ水銀化は選択性や収率良くアルコール体を得ることができます。上の例では反応性の高いブロモアルキルやエポキシ体も侵さずに得られます。

参考
1) 稲本直樹. “有機水銀化合物の反応.” 有機合成化学協会誌 26.7 (1968): 551-562.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。