オルトエステルは酸触媒下加水分解されて対応するアルコールを放出してギ酸エステルになります。したがって、脱水作用とアルコール放出作用を持ちます。
この性質を利用して酸触媒下、あるいは加熱のみでオルトエステル単独あるいはアルコールの共溶媒としてカルボン酸と作用させると対応するエステルが得られます。
カルボン酸から生じた水はオルトエステルによってアルコールとエステルに変換されるため効率の良い脱水縮合剤となります。
本記事ではオルトエステルを用いたエステル化について紹介します。
オルトエステルとは?特徴と利点
オルトエステルの特徴は脱水作用です。脱水とともにアルコールを放出するため、無水アルコール中の反応を実施したいときにモレキュラーシーブやアルミナ等の脱水剤の代わりとして用いる事が可能です。
オルトエステルはエステルとのエステル交換反応にも使えます。
オルトエステルの強力な脱水作用のため、カルボン酸は酸触媒無しに加熱するだけで対応するエステルに変換することが可能です。
オルトエステルによるエステル化はカルボン酸だけでなくスルホン酸においても使えます。
オルトエステルはエステル化以外にも使われている有用な試薬です。
反応条件
最もシンプルな反応はカルボン酸あるいはエステルに対して変換したいアルコールのオルトエステルを溶媒として加えて加熱するだけです。
反応が進行しない場合は、酸触媒として硫酸、TFA、p-TSA、HCl、アンバーリスト15などを加えます。また、共溶媒として各種アルコール、トルエン、ジクロロメタンなどが用いられます。
オルトエステルが多すぎると邪魔なときは溶媒を加えると良いです。アルコールが溶媒なら触媒量のオルトエステルでも良いです。
ただ熱しするだけでエステル化可能な例です。中性条件で可能なのが利点です。