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カルボン酸とアルキル化剤・ハロゲン化アルキルによるエステル合成

アルキル化によるエステル化

エステル合成の代表例は酸性条件下カルボン酸とアルコールを脱水縮合させるフィッシャーエステル化ですが、実はカルボン酸をハロゲン化アルキルによるアルキル化によってエステルを合成することも可能です。

カルボキシラートの求核性が低いという先入観で意外と選択肢に入らないかもしれまんせんが、結構収率良く得られたりします。

本記事ではカルボン酸とアルキルハライドを中心とした各種求電子的なアルキル化剤との反応によってエステル合成する方法との特徴と条件などを紹介します。

カルボン酸塩とハロゲン化アルキルとの反応

カルボン酸は塩基により対応する塩になります。

カルボキシラートアニオンは求核性を持っており、ハロゲン化アルキル等の求電子剤と反応してエステルを生成します。

アルキルはライドによるエステル合成

アルキルはライドによるエステル合成

この方法は酸に不安定な化合物のエステル化手法として優れています。

低収率な立体障害の大きいアルコールのエステルはO-アルキル化によって合成したほうが良い結果が得られることもあります。

O-アルキル化によるエステル合成の特徴と反応条件

O-アルキル化による方法は塩基性条件でエステル化できる点が利点です。また、原料となるアルキルハライドが入手しやすいのもメリットです。

塩基をあまり使いたくない場合は酸化銀によってアルキルハライドを活性化させて反応させる方法もあります。(銀はハロゲン化銀になりたがる)

溶媒はトルエン、エーテル、アセトン、THF、ジクロロメタンなどが使える。

アルキル化剤としては臭素、ヨウ素化アルキルの他ジメチル硫酸などが使われます。

塩基は水酸化ナトリウムよりも炭酸カリウムや炭酸セシウム、DIEAを用いたほうが収率が良い。

有機塩基ではDBUが優れた結果を示すという報告があります(Ono, Noboru, et al.  Bull. Chem. Soc. Jpn., 51.8 (1978): 2401-2404)

水素化ナトリウムも使えます。フッ化セシウムやKFも有効な塩基です(Sato, Tsuneo,et al, J. Org. Chem. 1992, 57, 7, 2166-2169)

メチル化及びエチル化するときは対応するハロゲン化アルキルでは沸点が低いため、温度をかけにくく、ジメチル硫酸やジエチル硫酸などをアルキル化剤として用いたほうが効率良く反応できる(100℃以上に加熱可能)。

カルボン酸塩はアルカリ金属塩も可能だが、銅塩などのソフトな塩のほうが反応性が高いです。

アルカリ金属塩の場合金属イオンを補足するHMPA、クラウンエーテルなどを加えると反応性が向上する。

銅塩を用いたエステル化

塩基の種類を変えたり、イオン液体を用いる、金属触媒を使うといった方法でカルボン酸のアルキル化が検討されています。

近年遷移金属触媒としてCuIを用いてエステル化をする方法がプロピオン酸のアルキル化に有効であることが報告されています。

アルキンへの付加反応などの副反応なくベンジルエステル化が進行します。

反応条件

溶媒はアセトニトリルでないと収率が大きく低下します。

CuIを使ったエステル化

CuIを使ったエステル化

General Procedure:ハロゲン化アルキル(0.4mmol)、アルキン酸(0.6mmol)、Cs2CO3(2当量)、CuI(10mol%)、およびCH3CN(2 mL)の混合物を空気中60°Cで24時間攪拌した。その後、混合物を酢酸エチルに注ぎ、水で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、無水Na2SO4で乾燥、濾過し、濃縮してカラム精製によってエステル体を単離した。

Mao, Jincheng, et al. “Effective Synthesis of Benzyl 3-Phenylpropiolates Via Copper (I)-Catalyzed Esterification of Alkynoic Acids with Benzyl Halides Under Ligand-Free Conditions.” Catalysis Letters 146.5 (2016): 886-892.
銅がからんだ反応は機構が見た目よりも複雑です。

TBAFを塩基触媒として使った方法

フッ化物イオンはカルボン酸のハロゲン化アルキルによるエステル化の触媒として有用と報告されています(KFやCsF等)。TBAFも同様に有用な塩基として機能することが報告されています。

TBAF触媒によるエステル化

TBAF触媒によるエステル化

General Procedure: TBAF (THF中1.0M、1.2mL、1.2mmol)をDMF(1.0 mL)中のカルボン酸(1.0mmol)の溶液に室温で加えて混合物を20分間攪拌しました。 次に、溶液をアルキルハライド(1.5 mmol)を加えて60分間反応させました。 反応液を分液、カラム精製で目的物を単離した。

反応が進行しにくい場合はハロゲン化アルキルを3eq, TBAFを2eqと増量すると反応が進行します。溶媒はTHFでもよく進行しますが、DMFのほうが収率が高い傾向があります。アルキルはライドは可能な限り3eqのほうが収率が高いです。

Matsumoto, Kouichi, et al. “Simple and convenient synthesis of esters from carboxylic acids and alkyl halides using tetrabutylammonium fluoride.” Journal of oleo science 63.5 (2014): 539-544.

カルボン酸は脂肪族、芳香族、ケイ皮酸などにも適応できます。アルキルハライドは第一級第二級脂肪族アルキルハライドで検討されています。

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