化学

野依不斉水素化: Noyori Assymetric Hydrogenation

野依不斉水素化について

官能基化されたオレフィン類やケトン類の、BINAP-Ru(II)錯体を用いる水素ガスによる還元は、野依不斉水素化として知られています。この反応では官能基の置換様式によって、反応性やエナンチオ面選択性の程度は大きな影響を受けます。

野依不斉水素化の特徴

BINAP-Ru(II)錯体は配座に自由度のあるアトロプ-C2-対称ジホスフィン配位子で、光学的に純粋なエナンチオマーを得ることができる上、合成も簡単であり、触媒量も少量で十分です。α、β-不飽和、β、γ-不飽和カルボン酸の水素化はアルコール溶媒中進行するエナンチオ面選択性は、基質の置換様式や水素圧に大きく依存します。 アリルアルコールやホモアリルアルコールは、高エナンチオ面選択的に水素化されます。置換基のあるエナミド類を水素化すると、光学的に純粋なα-あるいはβ-アミノ酸を与えます。官能基化されたケトン類の水素化において、どちらのキラリティが発現するか予想することができ、基質に不斉中心がある場合、とくに大きな影響を与えます1,3-ジオンの二重水素化により、キラルなβ-ヒドロキシケトン生成後、ほぼ100%eeのアンチ1,3ジオールを得ることができます。β-ケトエステル類の水素化反応に、最も適した基質であり、立体的に不安定なα位不斉中心をもつβ-ケトエステル類は塩基存在下、α位不斉中心でラセミ化するカルボニル基の水素化とともに、単一の立体異性体へと高選択的に変換されます。

反応の歴史

1980年、野依らはカチオン性BINAP-Rh錯体を触媒に用いたα-アシルアミノ)アクリル酸やそのエステル誘導体の高エナンチオ面選択的水素化反応を報告しました。光学的に純粋なアミノ酸誘導体を得ることができますが、この触媒はアミノ酸合成にしか用いることができず、水素化の速度も非常に遅く、高エナンチオ選択性を得るためには厳密な反応条件を必要としました。そこで数年後、さまざまな種類の置換基をもつオレフィンの不斉水素化反応が可能なBINAP-Ru(II)ジカルボキシラート錯体が報告され、さらに適用範囲が広がりました。また、ハロゲンを含んだBINAP-Ru(II)錯体は、窒素、酸素、ハロゲン原子などの官能基化されたケトン類の不斉水素化反応に有効であることも明らかとなりました。

反応機構

 

実験操作

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えぬてぃー
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専門: 有機化学