濃縮ゾーン付きTLCとは?
濃縮ゾーン付きTLCとはシリカゲルよりも吸着力の低い吸着剤を下部に結合させてあるTLCのことです。多層薄層プレート(マルチゾーン)とも呼ばれます。吸着力の低い吸着材では極性が高かろうが低かろうが試料はほとんど保持されずに溶媒の展開と共に上に運ばれます。これによって、吸着力の低い吸着剤と吸着力の高い吸着剤との境界の間に濃縮されて細い線状になります。
濃縮ゾーン付きTLCを使えば、展開したときのスポットの形状や位置、大きさなどが異なっても濃縮ゾーンの境界面で濃縮されてキレイに展開できるようになります。
濃縮ゾーン付きTLCの使い方
濃縮ゾーン付きTLCはスポットしたときの大きさ、形状、位置が異なっても濃縮されることによって線状にスポットの形が整えられてキレイに展開できるので、TLCに慣れていない初心者の方でもキレイに展開できます。細い線状となるため、Rf値が近い化合物や多成分を含む混合物の分離も見やすくなります。また、試料濃度が薄いものをスポットするときなどは、何度もスポッティングするので、スポットが大きくなりがちですが、濃縮ゾーン付きTLCを使って濃縮すれば形状も整い、濃度も濃くなるので見やすくなります。まとめると
- スポットの位置や形状を揃えられる
- Rf値の近い化合物の分離
- 多成分試料の分離
- 希薄溶液のスポット
のメリットがあります。
特に、分取TLCでは濃縮ゾーン付きTLCが有用です。分取TLCはキレイにスポッティングするのが難しく、スポットも広くなりがちだと思います。濃縮ゾーン付き分取TLCを使えばスポットが揃ってきれいに展開できるので、分取TLCにはもってこいです。また、濃縮ゾーン付きTLCのデメリットとして下端に濃縮ゾーンがあるので、通常の薄層板のように小さい大きさにカットして使用するということがやりにくいです。分取TLCでは一枚そのまま使うことが多いので向いていますね。
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