脳食いアメーバは文字の通り、ヒトの脳に侵入して食べる危険なアメーバです。アメリカでは百人以上が感染し、ほとんどが死亡するという危険なアメーバです。この脳食いアメーバは湖や川などに生息していて、水遊びをして鼻に水とともにアメーバが入ると感染します。
こめやん
脳食いアメーバ – フォーラーネグレリアとは?
脳食いアメーバは Naegleria Fowleri(フォーラーネグレリア)という名前のアメーバです。
最初の発見は1965年オーストラリアのFowlerとCarterらによる報告で確認されました。その報告からまもなく1966年にアメリカ合衆国フロリダ州でこのフォーラーネグレリアによる感染・死亡例が報告されています。
脳食いアメーバは鼻から侵入して脳組織をまるで溶かすかのように分解して食べていくため、脳食いアメーバや人食いアメーバと呼ばれています。死亡率も高く非常に危険です。
フォーラーネグレリアの生態
フォーラーネグレリアは宿主を必要としないアメーバで、温水を好み、水温が30℃を超える状態で増殖、46℃くらいまでが適温といわれています。高温で生息できるため温泉にも生息しています。
脳食いアメーバはどこにいるの?
フォーラネグレリアは比較的温かい水温中を好む自由生活性のアメーバです。フォーラネグレリアは世界中に分布しており、アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、イタリア、ベルギー、チェコなど世界中で発見されています。
フォーラーネグレリアは海を除く、池、湖、川、温泉、プール、汽水などで発見・生息しているとされています。
こめやん
日本にいるか?ということに関しては「いる可能性があります!」
実は日本の佐賀県で1例感染、死亡例があります。感染経路は不明ですが、生息している可能性があります。
自由生活性とは?
アメーバの中には特定の宿主(ヒトを含む動物)を必要とする寄生アメーバと宿主を必要としないアメーバがいます。寄生する必要のないアメーバを自由生活性アメーバと呼びます。寄生性のアメーバには赤痢アメーバがいます。
どんな症状が現れるのか
脳食いアメーバは鼻粘膜に付着するとそこから侵入して嗅神経をたどって脳まで達します。診断はとても難しく明確な特徴はありません。脳食いアメーバが潜んでいそうな場所で水遊びをしていた事実が有力な証拠の一つです。
発症までの潜伏期間はまちまちで、5~8日程度かかることが通常ですが、24時間程度で現れる例もあります。発症後2-6日程度で死亡します。
現れる症状としては
- 味覚や嗅覚の変化(早い段階で現れる?)
- 前頭や側頭を中心とした強い頭痛
- 熱(38℃-41℃)
- 吐き気
- 嘔吐
- 首筋の硬直
- 鼻血
- リンパの腫れ
- 混乱
- 脳神経麻痺
などがあります。
治療法
生存例はわずかですが、温泉から感染した9歳の女児の例ではアムホテリシンBによる治療が初期に行われています。
アムホテリシンBはポリエン系抗生物質に属する抗生物質で、静菌・殺菌作用を示します。真菌(カビ)に有効で、細胞膜のエルゴステロールに結合、膜穿孔により殺菌します。アメーバ感染症に対して有効な唯一の薬とされています。フォーラーネグレリア感染の生存例全てでアムホテリシンBが投与されています。
日本での症例
日本では1996年に佐賀での例があります。
食品加工工場の事務員だった女性(25歳)が発熱により会社を休み、3日目には38.3℃の熱と頭痛、嘔吐を伴いその4日目には39.3℃になったため点滴治療を受けるが、5日目には熱が下がらずに意識が混濁してきたので、脳への感染(髄膜炎)の可能性のため大学病院に運ばれた6日目に病理検査によりアメーバ感染が確定するが、患者は脳死状態になっており、11日目に死亡した。
患者の女性本人及び家族友人には過去1か月以内の海外渡航歴や入水浴(温泉、プール)、はなく、感染場所は特定されていません。海外渡航がないのならばおそらく日本での感染と考えられます。水たまりで遊んでいた子供が感染する例が海外であるため怖いですね。
脳食いアメーバから身を守るために
脳食いアメーバは至る所に存在しています。特に海外では例が多いので旅行に行くときはなるべく河川やプールなどでは泳がない方がよいです。特に10代以下の子供は感染例が多いため気をつけましょう。
こめやん
水遊びをするときも鼻など粘膜に水がつかないようにします(口からも侵入できる可能性)。
特に気温が高い状態で活発になるため、猛暑の時、異常に気温が高いといわれている日には特に注意が必要です。水たまりで感染した例もあるようです。