化学

リンドラー触媒 Pd/CaCO3でアルケンに還元

リンドラー触媒はアルキンをcis-アルケンに変換する接触還元触媒です。Pd/Cではアルケンで止めることは難しいですが、被毒されたリンドラー触媒ではアルケンで止めることができます。

リンドラー触媒とは?

Pd/Cを使った接触還元でアルキンを還元するとアルカンまで還元反応が進行して、アルケンで反応を止めることが難しいです。リンドラーは炭酸カルシウムにパラジウムを担持させ、酢酸鉛で被毒した触媒(リンドラー触媒)を使って、アルキンを部分還元してcis-アルケンが得られることを報告しました(H. Lindlar, Helv. Chim. Acta, 35, 446 (1952))。通常、硫黄や窒素、リンなどは触媒活性を低下させるため(被毒)避けられますが、絶妙な加減で活性を低下させることによってアルケンで還元が止まるようにしています。

アルキンの部分還元方法として利用される触媒は、他にもニッケル触媒やPd/BaSO4などがあります。

リンドラー触媒では効率的にアルキンをアルケンに還元することができますが、末端アルキン(一置換アルキン)のアルケンへの還元は難しく、アルカンまで還元してしまうようです。

リンドラー触媒の反応例

リンドラー触媒は主にアルキンの部分還元に利用されます。得られるアルケンはシス体となります。リンドラー触媒の反応はPd/Cを使うときと同じです。反応時間を長くしすぎるとアルケンが還元される恐れがあるので注意します(アルケンが還元されないわけではない)。

溶媒としては接触還元でよく使用されるエタノール、メタノール等のアルコール溶媒が最もよく使用され、ついでトルエン、酢酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタン、CPMEなどが使われます。

アルデヒドなどは還元されません。

ハロゲンの脱水素化に利用されることも多いです。

アルキンの部分還元

リンドラー触媒の反応例1

Pd / CaCO 3(5%Pd,0.026g,5.0%)を入れたシュレンク管を5分間真空乾燥し、水素ガスを加えて10分間放置、脱気を3サイクル行って触媒の活性化を行った。基質(0.520g,1.04mmol)と蒸留したキノリン(0.30mL,0.32g,2.5mmol)、乾燥EtOH(10mL)の溶液を加えて水素雰囲気下で一晩激しく撹拌した。反応混合物をセライトパッドろ過し、TBME(80mL)で希釈し、HCl水溶液(2M, 2×30mL)および飽和NaHCO3水溶液(30mL)で洗浄した。 乾燥、濃縮後、カラム精製により目的物(0.466 g,89%)を得た(Z:E> 99:1)( Machotta, Axel B. et al
JACS, 129(44), 13455-13463; 2007)。

リンドラー触媒とキノリンを併用する方法は再現性が良く、アルケンを得たい場合は加えることをおすすめします。キノリンはパラジウムを被毒するために加えています。

リンドラー触媒の選択性はアルキン→アルケンは高いですが、ニトロ基、ArX(ハロゲン)などが存在すると還元される可能性があります。ニトリルと

リンドラー触媒は自分で作ることもできますが、購入するのが便利です。(リンドラー触媒 TCI 5g, 6200円)

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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております

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