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イソチオシアネートの種類と効果・効能を化学的に考察

イソチオシアネートの化学と効果

イソチオシアネートはスルフォラファンなどの物質を含む総称です。イソチオシアネートは化学的にも生物学的にも面白い特徴を持っています。抗がん作用など様々な効果・効能が注目されていますが、それらのメカニズムについて化学的に考察していきます。

イソチオシアネートは反応性の高い分子

イソチオシアネートは化学の世界でもちょっと珍しい分子構造をしています。構造式をみるとR-N=C=Sという構造をしています。

イソチオシアネートの構造

イソチオシアネートの構造

スルフォラファンは癌・脳・育毛など色んな作用があるファイトケミカル

スルフォラファンもイソチオシアネート構造を持っています。ブロッコリースプラウトなど生でよく噛んで食べるのが良いといわれているのは、このイソチオシアネートが反応しやすく、分解してしまうからです。

イソチオシアネートは求核性の高い分子(水やチオール、アミン等)と反応しやすい性質があります。水と反応してチオカルバミン酸、チオールと反応してジチオカルバメート、アミンと反応してチオウレアを生成します。

イソチオシアネートの分解

イソチオシアネートの分解

イソチオシアネートは水と反応して加水分解してしまいます。だから、茹でたりするよりも生で食べたほうが良いと言われています。

体内には反応性の高いチオール(SH)を持つ分子(グルタチオンや酵素)が存在しており、イソチオシアネートはこれらと反応します。イソチオシアネートの効果・効能は生体内に存在しているチオールとの反応によるものであると考えられています。

イソチオシアネートの種類一覧

イソチオシアネートの種類一覧

チオールとイソチオシアネートとの反応はアミンやアルコールと比べて1000倍速いです。

Kaschula, Catherine H., and Roger Hunter. “Synthesis and Structure–Activity Relations in Allylsulfide and Isothiocyanate Compounds From Garlic and Broccoli Against In Vitro Cancer Cell Growth.” Studies in Natural Products Chemistry. Vol. 50. Elsevier, 2016. 1-43.

イソチオシアネートの解毒系の活性化

イソチオシアネートは体内ではグルタチオンという物質によって解毒されます。グルタチオンはチオール基を持っており、イソチオシアネートと反応してジチオカルバメートを形成して反応性の低い状態に変化させます。

発がん性物質はイソチオシアネートのように求電子性の高い物質が多く、イソチオシアネートと同じくグルタチオンによる解毒を受けます。イソチオシアネートは解毒に関わるグルタチオンの活性化を行うことが示唆されています。

こめやん

イソチオシアネートという弱い毒を体内に入れることで体の解毒システムを活性化して発がん性物質などを解毒させてしまおうという感じですね

転写因子であるNrf2は生体防御遺伝子群(グルタチオン合成酵素等を含む)の転写を促進させます。普段は解毒酵素遺伝子発現抑制因子Keap1と複合体を形成することによって抑制されていますが、Keap1にあるシステインのチオール基がイソチオシアネート類などの求電子性物質と反応するとKeap1の立体構造が大きく変化して転写因子であるNrf2の解離が促進されます。これによりグルタチオン合成酵素の発現上昇が起こり第二相代謝酵素群が活性化されます。

イソチオシアネートによるスーパーオキシドの産生阻害

イソチオシアネートはNADPHオキシダーゼ依存性スーパーオキシドの産生を阻害することが報告されています。これはNADPHオキシダーゼのgp91とイソチオシアネートが反応することが原因であると示唆されています。

中村宜督. “イソチオシアネートによるがん予防の可能性.” 環境変異原研究 26.3 (2004): 253-258.

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