学問を講義などでインプットとして学ぶのも重要ですが、それと同じくらいレポートや論文などアウトプットするのも重要ですよね!
その際に必要になるのが、引用と参考文献です。
そこで今回は「科学における引用と参考文献の書き方」についてまとめてみたいと思います。
引用文献と参考文献
引用文献と参考文献はあまり区別されてない場合もありますが、区別されている場合は
- 本文中で言及(citation)されている場合は引用文献
- そうでない場合は参考文献
となります。
基本的に文献の書き方は変わりませんが、言及(citation)する場合は本文中に関連付けする必要があります。
参考文献と本文の関連付け
参考文献と本文の関連付けに関する方式はバンクーバー方式とハーバード方式の2種類があるそうです。1) 学術関連ではバンク―バー方式が使われる場合が多いです。このブログでも基本的にはバンクーバー方式を使っています。
- バンクーバー方式
本文中の引用された順番に、番号を付けて引用します。本文中には上付きの文字(例:..文章 1),2)…)などとして載せます。 - ハーバード方式
本文中の引用では著者名と発行年を記載して引用します。(例: …文章 (田中太郎.2019)…)などとして載せます。同じ著者、発行年の場合はアルファベットでa,b,cなどと別けて記載します。
どちらの場合でも引用したい部分と参考文献を関連付けする必要があります。
掲載雑誌によってフォーマットは異なる
さて、結局参考文献ってどのように書けばいいのでしょうか?
実は参考文献の書き方は、投稿するもの(学術関連の場合は掲載雑誌)によってフォーマットが異なります。特に指定がない場合、書き方が統一してあれば問題ありません。
今回はよく使われる有名な参考文献のスタイルやフォーマットについて紹介します。
APA style
APA styleはThe American Psychological Association(米国心理学協会)が規定しているスタイルです。心理学を中心に様々な学術分野で使われています。APA styleについては立命館大学のプロジェクト発信型英語プログラムのサイトできれいにまとめられているので、そちらを参考にしてみてください。
[blogcard url=”http://navi.pep-rg.jp/pep-common/citation”]
MLA style
MLA styleはModern Language Association of America(米国現代語学文学協会)が規定しているスタイルです。人文科学の分野を中心に広く使われています。
Letsinger, Robert L., et al. “Cationic oligonucleotides.” Journal of the American Chemical Society 110.13 (1988): 4470-4471.
ISO 690
ISO 690は国際標準化機構(ISO)が規定した参考文献のフォーマットになります。ISOについて記述すると長くなりますが、SIST 02という規格がISOを基準にしているようなので、そちらを参考にすると良いかもしれません。
LETSINGER, Robert L., et al. Cationic oligonucleotides. Journal of the American Chemical Society, 1988, 110.13: 4470-4471.
[blogcard url=”https://jipsti.jst.go.jp/sist/index.html”]
ACS style
ACS styleはAmerican Chemical Society(アメリカ化学会)が規定しているスタイルです。化学を中心に広く使われています。
Letsinger, R. L.; Singman, C. N.; Histand, G.; Salunkhe, M. Cationic oligonucleotides. J. Am. Chem. Soc. 1988, 110 (13), 4470– 4471,
NCSのフォーマット
Nature誌、Cell誌、Science誌はその高いインパクトファクターや注目度からNCSとも呼ばれています。NCSの参考文献のフォーマット例を以下に示します。
Nature2)
1. Makover, A., Soprano, D. R., Wyatt, M. L. & Goodman, D. S. An in situ-hybridization study of the localization of retinol-binding protein and transthyretin messenger RNAs during fetal development in the rat. Differentiation 40, 17–25 (1989).
Cell3)
Haber A.L., Biton M., Rogel N., Herbst R.H., Shekhar K., Smillie C., Burgin G., Delorey T.M., Howitt M.R., Katz Y. et al., (2017). A single-cell survey of the small intestinal epithelium. Nature. 551, 333-339
Science4)
N. Tang, On the equilibrium partial pressures of nitric acid and ammonia in the atmosphere. Atmos. Environ. 14, 819-834 (1980).
NatureとScienceはほとんど同じですが、Cellは少し違います。
関連付けに関してもNatureはバンクーバー、Cellはハーバード方式で異なります。
Elsevierのフォーマットは?
同様にたくさんの雑誌を有するElsevierの場合はどうでしょうか?
以前までは規定のものがあったかと思いますが、実はElsevierは特にフォーマットとしての指定はありません。5) ただし以下の情報を載せる必要があるようです。
著者名(複数人)、掲載誌名 / 本のタイトル、発行年、巻号 / 章、ページ数
Google Scholarを使った簡単な参考文献の入力
あまり褒められたやり方ではありませんが、論文のタイトルや雑誌の情報などが分かっている場合、Google Scholarで検索するとコピー&ペーストで簡単に引用ができます。簡単にできるので、サクっと済ませたい場合はオススメです。以下にやり方を示します。
- まずGoogle Scholarを検索して開きましょう![URL]
- 次に検索したい論文のタイトルを入力します。今回は特にないので「Nature」と入力します。検索すると検索結果とともにそれぞれの論文の下にクオテーションマーク「”」が出てくるのでそれをクリックしてください。
- するとクリック&コピーするだけで簡単に論文の引用ができます。引用方式がAPAやMLA styleぐらいしかないのが難点ですがそれ以外の場合でも著者名とかが入力してあるので変更する点だけ後で変えれば一から入力するよりは手間が省けます。
ただし、google scholarに載っているのが正しい情報とは限らないので、必ず最後に引用元の論文を自分の目で確認してくださいね!
参考文献
1) 独立行政法人 科学技術振興機構 「参考文献の書き方 科学技術情報流通技術基準(SIST)の活用」, <https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf> 2019年2月22日アクセス
2) Nature, Formatting guide, [ONLINE] Available at: https://www.nature.com/nature/for-authors/formatting-guide [Acccessed, 22 February 2019]
3) Cell, Information for Authors, [ONLINE] Available at: https://www.cell.com/cell/authors [Acccessed, 22 February 2019]
4) Science, Instructions for preparing an initial manuscript, [ONLINE] Available at: http://www.sciencemag.org/authors/instructions-preparing-initial-manuscript [Acccessed, 22 February 2019]
5) Elsevier, Guide for Authors, [ONLINE] Available at: https://www.elsevier.com/journals/physics-letters-a/0375-9601/guide-for-authors [Acccessed, 22 February 2019]
6) PEP Navi「引用と参考文献の一覧」, <http://navi.pep-rg.jp/pep-common/citation> 2019年2月22日アクセス
7) うちやまかずや「参考文献の書き方」, <http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/ron/ron_04.html#web_a> 2019年2月22日アクセス