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有機合成のための実験ノートの書き方

実験ノートは実験をするうえで最も重要だと言っても過言ではありません。また、実験ノートは実験をしたという物的証拠にも使われる(正直なんとでもできちゃいそうですが…)ものなので、とても重要です。

実際に一般的にも有名になったSTAP細胞をめぐる一連の研究不正に関しても、実験ノートについて話題になりました。小保方晴子 元研究ユニットリーダーの実験ノートに関して九州大学の中山敬一教授が下記のように強く指摘しています。

「実験ノートに記載されていたとしても、それが第三者が見てわかる形で書かれていなければ、十分な証拠とはいえない。日付などの基本的な情報とともに、自分だけでなく第三者にもわかるように実験ノートを書くことは科学者としての基本。疑いを晴らすためにはコメントを発表するだけでなく、実験ノートなどを可能なところだけでも公開することが必要だ。ネイチャーに発表した論文の部分はすでに公開できるはずで、そうしない限り、科学者から信頼されることはない」-引用: DIAMOND online 「小保方リーダー&若手研究者必読!今さら人に聞けない「正しい実験ノート」の書き方」1)

このように実験ノートは適切に記載されるべきだという考えがあるものの、なぜか実験ノートの書き方を統一化しようと動きはなく、研究者によって書き方は千差万別です。

そこで今回はそんな実験ノートに最低限必要なもの(特に有機合成における)について、考察してみたいと思います。

最低限書くべきこと

研究をしているからには、一つのゴールとして論文を提出するというものがあります。なので論文に必要なデータは最低限実験ノートに記載しておく必要があります。そこで実際に論文の実験項(Experimental Procedure, Experimental Section)を見てみましょう。

有機実験の場合は基本的に一個一個の反応についてノートを記載することになると思います。珍しい手順の場合は除き、基本的に必要なものは下記になると考えられます。

  • 実験の目的 (条件検討なのか、ローソン
  • 反応式
  • 試薬: 量(g, mol)あるいは(L, mol)、それぞれの濃度と当量
  • 反応条件: 雰囲気下(Ar, N2, H2, openなど)、温度、反応容器(フラスコ、チューブ、シュレンク)、時間
  • 後処理手法: 何でクエンチしたか、クルードにするまでの手順、分液操作(溶媒、回数)、ろ過、乾燥剤の種類など。
  • 精製手法: カラムクロマト(充填剤、展開溶媒)
  • 生成物の物性: 重さ (原料回収や副生成物に関してもそれぞれ記載)、収率、色、形状
  • スペクトルデータ: NMR(必須)、HRMS(元素分析がない場合必須)、IR、元素分析(HRMSがない場合必須)、X線

実験ノートを書くのにあったら便利なもの

研究をしていれば実験ノートはほぼ毎日書くものだと思います。ですのでなるべく楽にかけるといいですよね。

ということで実験ノートを書く上であったら便利なものについてまとめてみました。

  • 書きやすいペン
  • ブックスタンド
  • しおり
  • 下敷き
  • 定規

…etc.

当たり前のものがほとんどですが、意外と使ってない人もいるのでそろえた方が良いです。毎日書くものはなるべく楽にするのがベスト!

電子実験ノートについて

私は使ったのことがないので正しいかどうかはわかりませんが、個人的には可能なら電子ノートにした方が良いと思います。電子なら実験ノートからExperimental procedureの作成まで一瞬ですし、いろんな点で便利だと思います。また研究不正を防ぐという点においても電子ノートの方が有利だと思います。最近では導入している企業や研究室も増えてきているようです。下記の記事が紙と電子について使用している人の意見を含めて解説されているので、参照してください。

参考文献

1) DIAMOND online「小保方リーダー&若手研究者必読!今さら人に聞けない「正しい実験ノート」の書き方」, <https://diamond.jp/articles/-/52057> 2019年4月5日アクセス

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