学部4年生、修士・博士課程では研究室に入って研究をするため「どの研究室に入るか?」で悩0む時期があると思います。
研究は大学生活で一番面白いところだと思います。また、就職活動においてもどんな研究をしてきたか?は重要になってきます。
ということで、本記事では研究室の選び方について紹介していきます。
研究室選びが重要な理由
大学3年生や外部の大学院への進学を考えている人は研究室選びに迷っている方も多いと思います。
大学生だけでなく高校生にとっても研究室は大学選択の基準として重要です。
大学卒業には卒業研究といって学部では約1年間研究結果を卒業論文として提出する必要があるからです。将来自分がやるかもしれない研究を見ておいて損はないでしょう。
研究室選びが重要な理由は
- 研究には最短でも1年という年月を費やすから
- 就職に影響する
- 研究内容に興味がないと楽しくないし、成果を上げにくい
- 研究室によって雰囲気が大きく異なり、合う合わないがある(みんなワイワイ系?就活に対する見方、教育スタイル:放任or管理)
- 研究室は独裁的であり、常識が通用しないことも
研究室を選ぶチェックリスト
それでは研究室を選ぶ上で重要なポイントを紹介していきます。
ここに載せている情報は個人の経験や感覚に基づくものであり、一般に広く適用されるものではありません。参考程度にしてください。
研究内容に興味が持てるか?
まずは自分自身のことです。
研究は基本的に一人一つのテーマ。研究は自分自身がリーダーになって進めていくものです。研究に失敗はつきものなので、論文の読解、知識習得のための勉強、他人に意見を仰ぐなど能動的な行動が求められます。
なぜ研究テーマに興味を持つのが重要なのか?というと、興味がないと嫌々で受け身な姿勢になり、研究が義務化してしまいます。勉強も苦痛になるからです。
興味があれば、好奇心の赴くまま積極的に学ぶ姿勢になります。
ですから、何よりも大事なのはこの研究をやってみたい!と思えるテーマを扱う研究室を選択することです。その分野の知識がなくても、勉強が苦手でもなんとかなります。
将来何がしたいか考えておく
研究をやったことがない人が将来進学したいとか、研究職に就きたいと決めるのは難しいでしょう。
しかし、将来どのような進路の可能性があるのか?を考えておくのは重要です。
就職したい気持ちが強い場合は就職活動に注力しやすく、認めてくれる研究室を選んだほうが良いでしょう。研究に興味があって進学を考えている場合は院生の状況を見てみましょう。業績が良い場合は将来的に大学に残って研究するという選択肢もあるでしょう。他大進学などもしやすい研究室としにくい研究室もあります。毎年同じ就職先に卒業生が行っているという場合以外は卒業生の就職先は関係ないので気にしなくてよいです。
ホームページが更新されているか?
ホームページが更新されているかどうかは意外と重要です。
教育環境・業績が良い研究室はホームページもよく整備されている傾向があります。優秀な学生を集めたいという問題意識を持ってそれに対して主催者が行動できているか?が現れています。インターネットの時代にも関わらずホームページにどんな研究を行っているのか?どのような人物に来てほしいのか?業績や行事などについて載せていないのは、時代の流れについていけていない証拠です。もちろん例外もあります。
- 主催者が高齢
- ホームページなんてなくても有名
- 別のところから移動したばかり
ホームページではなく発表した論文を見て研究内容を把握して、研究室の雰囲気は直接訪問しなさいという意思表示かもしれません。
ホームページがしっかりしている研究室は他大から入学してくる人が多いかもしれませんね。
主催者の教育方針は?
研究室は部屋の主催者(教授あるいは准教授)の教育方針によって大きく雰囲気が変わるので、どのような教育方針・スタイルなのか?を知るのが重要です。ホームページに書いてあることもあります。といっても「うちは放任主義で学生が主体的になんでもやって、できないやつは知らない」というように打ち明けられることは少ないので、学生に質問してみると良いです。
- 研究がきちんとできるか不安なのですが、失敗したり行き詰ったりしたときはどうやって解決していますか?
- 研究の進捗について先生と毎日話あったりするんですか?
- 研究の進捗について先生から確認されることはありますか?
- 先生が怒るポイントこれをやったらまずいということはありますか?
- この研究室に合う人はどんな人ですが?逆に合わない人はどんな人ですか?
などと質問してみるとわかるかもしれません。よくあるのは放任タイプ(自由だけど能動的に動かないと支援は少ない)か管理タイプ(コアタイムや報告義務、勉強会、ミーティングがしっかりある)などがあります。
博士課程の学生はいるか?
博士課程の学生が多いのはきちんと研究がやりたいと思う人にとっては良い環境だと思います。博士の学生は経験豊富でありながらスタッフ陣と比べて身近なため研究を進めるうえで力になってくれることが多いです。一方で就活をメインに考えている人にとっては合わないことが多いでしょう。
博士課程は就職を考えると選択肢に入りにくいので、修士課程と比べて進学者はずっと少ないです。それにもかかわらず博士に行く人が多いのは研究室の環境が良いことを示唆しています。バリバリ研究を行って、研究業績を上げようというような部屋もあれば、のびのびと自由な部屋もあります。共通するのは研究を楽しんでやれているということがあると思います。注意が必要なのは研究以外の部分が楽しく居心地が良いため残ってしまうという場合です。博士課程が多いのに業績が上がっていない部屋はこの傾向があるでしょう。
なぜ博士に進学したか?あるいは将来について聞いてみると良いでしょう。
論文執筆は毎年コンスタントにされているか?
論文が毎年きちんと書かれている部屋は教育熱心で研究環境が良い場合が多いです。特に博士進学や大学に残ることを考えている人にとっては重要な部分です。論文という形に残すという意識がないとゴールのない研究をダラダラと進めてしまいがちです。学生ー先生間の信頼関係ができているのか?コミュニケーションが取れているのか?という部分が問われます。放任主義の場所や学生の研究に興味が薄い、完璧主義だと論文が出にくいと思われます。
助教以上のスタッフが遅くまで残っているか?
助教以上のスタッフが遅くまで残っている研究室は世間のいうブラック研究室っぽいことが多いです。研究室の風土にマッチした学生はOKだが、合わなかった人にとって結構なストレスになることが多いと思います。講師、准教授、教授と高い立場の人が残れば残るほど影響が大きいです。研究熱心とも言えますが、学生は帰りにくいとか心理的なストレスを受けることも多いです。
こめやん
学振に採用されているか?
学振は博士課程に進学する人にとっては重要です。学振は毎年同じ研究室出身の人が獲得することが多いので確認すると良いと思います。
研究費の獲得状況は?
研究には研究費が必要です。潤沢な資金があったほうが研究環境は良いと言えます。研究室の科研費やそれ以外の研究資金の獲得状況を見てみると良いと思います。基盤研究SやAは限られた研究室しか獲得できないものです。
実験機器はそろっているか?
機器類があるか?というのも重要です。実験機器は高額でなかなか購入できないものですが、豊富な機材、最新の機種があると研究がはかどります。実験に必要な、役立つ機器があるかどうかについては、ジャンルが似ている研究室同士の機材を比較してみるとわかると思います。
研究室のスタッフ同士や学生同士が交流できているか?
大教室制では准教授、助教などが複数人いることが多いですが、その人たちが仲が悪いと何かしら問題があることが多いです。特に教授と他のスタッフとの関係は重要です。教授と関係が悪い助教が提案したテーマをやっている学生にもその影響が及ぶことがあります。
スタッフ同士の派閥などが横行するとセクション間の学生同士のコミュニケーションも不足することがあります。
他の学生の研究テーマについて学生に質問してみて、大きくテーマが離れていないにも関わらず○○の班の人の研究は分からないという場合は問題があるかもしれません。
研究室訪問などの時にどれだけ質問されたか?
研究室訪問の時に教授などにたくさん質問されましたか?一方的に話を聞かされて、質問はある?で終わりませんでしたか?
あなたがどのような研究をしていてどんな研究がしたいか?どういう将来を考えているのか?あなた個人に対する質問が少ない場合、放任主義や個人主義的な考え持っていたり、コミュニケーションがうまく取れないかもしれません。研究を進めるうえでコミュニケーションは非常に重要なので注意しましょう。
研究室に来なくなっている学生はいないか?
意外と研究室に来なくなっている学生は多いものです。研究室に来なくなっている人が多い部屋は問題があることが多いです。
博士やポスドク、助教のメンタルは安定してるか?
研究室で研究に関して直接的に影響を受けるのは教授や准教授などよりも助教~博士学生です。この人達のメンタルが不安定な状態であると、放置されたり、八つ当たりを受けたりする可能性があります。また、学生間で指導の差がでる場合があります。
子弟制度を採用しているか?
子弟制が強い場合、研究室全体の雰囲気が良くても師匠関係に束縛されるため、ほかの人たちとの関係が断絶されることがあります。互いに合わない場合は研究室生活がきつくなるかもしれません。