ガスクロマトグラフィーの検出法の違いや特徴

ガスクロマトグラフィーの検出器の特徴と使い分け

ガスクロマトグラフィーを行う上で「検出器」の理解は欠かせません。分離した化合物を検出器で検出しなければ何の情報も得られないからです。化合物によって適切な検出器を利用することが重要です。

検出器とは?

ガスクロマトグラフィーにはたくさんの検出法があり、その検出方法によって得手不得手があります。

測定したい試料がすでにわかっている場合はその物質に合わせた検出法を選択します。わからない場合は汎用性の高い検出法を使用したり、分子構造の予想を立てて検出方法を選択します。

検出方法には汎用的な検出方法選択的な検出方法があります。選択的な検出方法のほうが感度が高い傾向があります。

検出法検出できる物質最小検出量/pg汎用・選択
熱伝導度検出器 (TCD)キャリアガス以外1000汎用
水素炎イオン化検出器 (FID)有機化合物全般50汎用
ヘリウムイオン化検出器(HID)He以外10汎用
光イオン化検出器 (PID)無機・有機化合物一般(特に不飽和系)50汎用
電子捕獲型検出器 (ECD)有機ハロゲン化合物、ニトロ化合物、有機金属0.1選択
炎光光度検出器 (FPD)硫黄・リン・スズ化合物10選択
窒素・リン検出器 (NPD)窒素・リン化合物1選択
電気伝導度検出器 (ELCD)ハロゲン、硫黄、窒素化合物5選択
表面イオン化検出器 (SID)第3級アミン0.5選択
酸化・還元化学発光検出器 (RCD)窒素、酸素、硫黄化合物100選択
酸素感応FID(O-FID)酸素化合物100選択
GC/MSキャリアガス以外10汎用

検出方法は上記の検出方法一つだけではなく、複数の検出方法を組み合わせて利用することによって多くの情報が得られやすいです。特にMSは構造決定に重要な検出方法の一つです。

MSと他の汎用検出方法(FIDやTCD)を組み合わせたり、汎用検出方法と選択的検出方法(FPDやECDなど)を組み合わせることで成分の推定ができます。

同じ条件で測定した物質の保持時間をもとに同じ物質かどうか推定できます。比較する場合は機器や条件によってばらつきがでるので注意が必要です。推定した化合物を持っていれば同時に打ち込むことも有用です。

ピーク面積を計算することによって定量することも可能です。方法はHPLCなどと同様です。検量線を用いる方法や標準物質を使って校正します。化合物によって同じ濃度でもピーク面積は異なるので注意します。


各検出器の特徴

水素炎イオン化検出法 (FID)

水素炎イオン化検出法 (FID)は定量可能な分子範囲が広い汎用的な検出方法です。主に有機化合物の検出に利用されます。選択性が悪いのが欠点です。

キャリアガスはヘリウムや窒素が使用されます。

原理は水素と空気からなる炎に燃える有機化合物が入ってくるとたくさんのイオンが発生して電流が流れるようになってこの電流を測定することで検出します。

このような原理から有機化合物の検出には向いていますが、燃焼しない無機ガスは検出できません。また、破壊的検出法なのでガスは回収できません。感度はTCDよりも高いです。

検出できないのは、ホルムアルデヒド、ギ酸、希ガス、水素、酸素、窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、アンモニア、一酸化窒素、二酸化窒素、硫化水素、二酸化硫黄、硫化カルボニル、二硫化炭素、四塩化珪素、トリクロロシラン、四弗化ケイ素

ヘテロ原子が結合していると感度が低下します。

熱伝導度検出器 (TCD)

熱伝導度検出器 (TCD)はFIDと並んでよく利用される汎用性の高い検出法の一つでキャリアガスを除く化合物を全て検出することができます。キャリアガスは熱伝導道の大きい水素やヘリウムを使います。高い直線性を持っています(104)。TCDはキャリアガスの流速や種類による影響を受けやすいので注意します。

感度は低めです。非破壊的検出法なので回収できます

直線性 (Linearity)

分析機器から得られた値をプロットした時に一次関数のような直線が得られることが理想ですが、現実的には理想の値からはずれます。直線性の高さは真の値に対する確度の高さを意味します。

原理は、加熱された素子にキャリアガスと異なる熱伝導度を持った試料が入ってくると温度が変化してその変化を電気信号として記録します。TCDではキャリアガスの熱伝導度が大きく試料が小さいため、素子の温度が上昇します。

こめやん

フライパンに水(熱伝導度が大きい)を載せて温めているときよりも水を捨てて空気(熱伝導度の小さい)を温めているときはフライパンがより熱くなるのと同じような感じですかね?

電子捕獲検出器 (ECD)

電子捕獲検出器 (ECD)はハロゲンやニトロ基、リン、鉛などを含む化合物の検出に利用されます。電子豊富な原子に対して高感度で検出できます。

対象の官能基を含む場合は非常に高感度に検出が可能です。ハロゲン化物に対して高感度であることから、ダイオキシン等のハロゲン化炭化水素類の検出、またリンが検出可能なため、農薬の検出にも用いられています。

原理は、キャリアーガスにβ線を照射させた時に生じた電子が試料の新電子物質(ニトロやハロゲン)に捕獲されることによって減少するイオン電流を検出します。

光イオン化検出器 (PID)

光イオン化検出器 (PID)は炭化水素類(芳香族、不飽和炭化差水素類)を高感度に検出可能です。

窒素リン検出器 (NPD)

NPDは窒素やリン化合物選択的な検出法です。NやPを含む分子であれば高感度に検出可能です。主に窒素を検出するのに使います。リンを検出する場合は炎光光度検出器 (FPD)を利用したほうが良いです。

炎光光度検出器 (FPD)

炎光光度検出器 (FPD)はリン化合物やイオウ化合物に対して選択的な検出方法です。感度も高いです。リン系農薬や石油中に残存するイオウ化合物の検出などに利用されています。

原理は酸素・水素炎中(還元炎)で硫黄やリンが燃焼すると光が発生します。この光を検出します。

質量分析計 (MS)

質量分析計 (MS)は分子量を測定できる分析方法で、MSの分析方法にもいくつか種類がありますが、多くの分子の分子量を測定できる汎用的な方法で、他の検出方法と組み合わせて利用されることが多いです。

日本化学会. “実験化学講座 20-1 分析化学.” 丸 善 (東京) 126 (1991).

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