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ガスクロマトグラフィー キャリアガスの選択

キャリアガスの選択と性質

ガスクロマトグラフィーでは移動相として気体を使います。いわゆるキャリアガスと呼ばれるものです。

キャリアガスとは?

ガスクロマトグラフィーで利用されるキャリアガスは高純度である必要があります。

こめやん

汚染物質としては、炭化水素類、水分、酸素があります。

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炭化水素類は検出器の感度低下、水分や酸素はカラム劣化の原因になります。キャリアガスだけでなく配管不良などによっても侵入しますよ。ガスクロのカラムは高温にさらされているため劣化も起こりやすいです。

高感度な分析のためには代表的な汚染物質を吸着除去するカートリッジを流路に挟んだりガス精製システムを利用します。

こめやん

検出器や検出したい試料によって必要なトラップを選択しましょう。例えばFID検出では炭化水素の混入は感度低下を引き起こすので避けるべきです。

各検出器に対する不純物の影響をまとめます。

  • TCD: 酸素はフィラメントの酸化劣化を起こす
  • FID: 炭化水素や水分はベース上げやノイズの原因になる
  • FPD: 炭化水素や水分はノイズの原因になる
  • ECD: 酸素により感度低下
  • PID: 酸素や窒素でベース上げや感度低下

キャリアガスの選択は検出方法や条件によって変化します。

よく利用されるキャリアガスとしては

  1. 窒素
  2. ヘリウム
  3. 水素
  4. アルゴン

などです。高価ですが分離能が高く性能バランスが良いヘリウムをよく利用します。

窒素は安価ですが、分析に時間がかかり最適な流速域が狭いのが欠点です。水素はヘリウムと同様に広い最適流速域を持っていて、安価ですが、可燃性など安全性の問題があります。

基本は水素、ヘリウム、窒素があればOKです。


キャリアガスの各性質と選択

ヘリウム

ヘリウムは高価ですがバランスが良いためキャリアガスとして利用されます。

熱伝導度検出器 (TCD)を使用する時はヘリウムガスを利用することが多いです。

熱伝導度検出器 (TCD)、水素炎イオン化検出法 (FID), 炎光光度検出器 (FPD)、窒素・リン検出器 (NPD)の検出法でもキャリアガスはヘリウムが使えます。

水素

水素は性能が良いキャリアガスですが、安全性や反応性の面で問題があります。検出器として熱伝導度検出器 (TCD)を使用する際によく使用されます。

また、熱伝導度検出器 (TCD)、水素炎イオン化検出法 (FID), 炎光光度検出器 (FPD)でも利用します。

窒素

窒素は最も安価なキャリアガスで、高価なヘリウムの代替として利用されることがあります。メークアップガスという検出器に流すガスがありますが、窒素が最もよく利用されます。

メイクアップガスを検出器に流すことによってピークの拡散を最小限に抑えることができます。検出器によってはメイクアップガスを流すことによって感度上昇が見込める場合もあります。TCDではメークアップガスはキャリアガスと同じでなければなりません(原理的に)電子捕獲型検出器 (ECD)ではアルゴンを使用することが多いです。

キャリアガスの流速

流速は化合物の保持時間に影響を与えるため、厳密に制御する必要があります。何らかのトラブルでガス圧が安定しないと、流速が変動したり低下したりして正確な分析ができなくなります。検出器の感度にも影響を与えることがあります。

最適な流速は使用しているカラムなどによって変化するので製品の使用方法を参照します。

流速がおかしいときは、ガス残量、一次・二次バルブ、流速調整バルブ、継ぎ目部分、ラインのひび割れ・破損、カラムなどを確認します。

ガス漏れを調べるときはリーグディテクターを使用します。

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