酢酸エチルは代表的なエステル類で有機実験で作ることも多いと思います。フルーツの香料成分にエステル類は多いので酢酸エチルも果物様のにおいがします。wikipediaにはパイナップル臭とありますが、私はパインのにおいには感じませんね。プラバルーン(割れにくい風船玩具)のにおいがします(酢酸エチルが入っています)。
酢酸エチルの比重や沸点
酢酸エチルの基本情報です。
名称 | 酢酸エチル |
分類 | エステル類 |
モル質量 | 88.105g/mol |
比重 | 0.897 g/mL |
沸点 | 77.1℃ |
溶解度(水) | 8.3 g/100 mL (20℃) |
分配係数(水/oct) | 0.73 |
比重は水よりも小さいので分液時には酢酸エチルは水よりも上の上層になります。酢酸エチルは有機合成では抽出溶媒としてよく利用される溶媒です。溶剤としてもシンナーや除光液中に含まれ、利用されています。
酢酸エチルの毒性、劇物指定の理由
便利な酢酸エチルですが「劇物」指定を受けているのはご存知でしょうか?劇物指定されているのは原薬(酢酸エチル100%)だけで、酢酸エチルを含む製品(シンナー等)は劇物指定は受けていません。酢酸エチルは体内に入っても酵素で分解されてエタノールと酢酸に分解されるのでそこまでの毒性はなさそうです。うさぎに酢酸エチル5%水溶液を飲ませた結果、尿中に分解物のエタノールが検出され、血液が酢酸によるものと思われるpH低下(アシドーシス)を起こしていました。
吸引に関しては、ラットでは血液および脳への移行が大きいことがわかっています。
急性毒性に関しては目や気道の刺激性や脳への移行が大きいことから中枢神経系に影響を及ぼすおそれあがあります。頭痛や目眩などを生じます。発がん性については主要機関による分類はなされていません。
酢酸エチルの合成方法は?
酢酸エチルといえば化学実験でおなじみの実験です。酢酸エチルはエタノールと酢酸との脱水縮合反応により合成できます。
硫酸は酸触媒として加えられています。
酢酸エチルのNMRスペクトル
酢酸エチルは溶媒でもよく使うので、NMRスペクトルには度々登場します。酢酸エチルのNMRはAISTのデータベースから実測値を表示できます。「AIST:酢酸エチル」
NMRの予測値、(1HNMR、CDCl3,400MHz)
13CNMR CDCl3,100MHz