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重水素溶媒・化合物の中で少し特殊なものを紹介

特殊な重水素化合物一覧

重水素化合物はNMR測定のときによく利用しますが、せいぜい普段使うのは重クロロホルム、メタノール、アセトン、DMSO、重水くらいではないでしょうか?実はそれ以外にも重水素化合物は販売されています。NMRだけでなく、化合物を重水素標識するのに使うものもあると思いますが、特殊な重水素化合物を紹介します。

普段使わない重水素化試薬一覧

重水素化合物で最も頻繁に使用するのは分野にもよると思いますが、重クロロホルムだと思います。重水素化合物は基本的に高価で、特殊な重水素化合物となるともっと高価になります。なかなか使えないかもしれませんが、存在だけでも知っておくと、いつか役立つかもしれません。

中性の有機溶媒系

  1. 重クロロベンゼン
  2. 重オルトジクロロベンゼン
  3. 重ヘキサフルオロイソプロパノール
  4. 重ニトロメタン

クロロベンゼン系は溶解性もよく、沸点が高いので溶けにくい物質を溶かしたりするのに有用です。フッ素化溶媒のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)はフッ素の電気陰性度による電子吸引によって酸性度が高く、水素結合しやすいため難溶性のアミド類を溶解できるかもしれません。また、ニトロメタンもニトロ基による電子吸引によってメタンの酸性度があがっています。溶媒としても優れています。ニトロアルドール反応によって重水素化に利用できるかもしれませんね。

酸性の重水素化合物

酸性のプロトン(重水素イオン)を持つ重水素化合物というのも販売されています。

  1. 重酢酸(CD3CO2D)
  2. 重塩酸(DCl)
  3. 重硫酸(D2SO4)
  4. 重ギ酸
  5. 重トリフルオロ酢酸(CF3CO2D)

などがあります。酢酸は溶媒としても優秀であるため特定の化合物を溶解させるのに有効かもしれません。価格もそれほど高くあリません。他にも塩酸や硫酸といったおなじみの強酸の重水素化合物が販売されています。NMR測定で酸を加えたいという時に利用できます。TFAも販売されています。

塩基性の重水素化合物

  1. 重ピリジン
  2. 重水素化ホウ素ナトリウム
  3. 重水酸化ナトリウム

ピリジンは高極性化合物をよく溶かす溶媒として優れています。反応性の高いカルボン酸を塩の状態にしたいときなどにNaODを加えたら、カルボン酸塩にしておけます。重水と組み合わせれば塩基性の重水溶媒を作れます。重水素化ホウ素ナトリウムは還元剤として利用できます。重水素化合物の合成に役立つと思います。ちなみに重水素化合物は薬物動態や反応機構解析などに利用されています。

この他にもTHFやベンゼン、DMF、プロパノールなど普段良く使用する溶媒の重水素化体も販売されています。重水素化合物って結構高価ですが、どうやって作っていのでしょうか?重水とか重水素から作っているんでしょうか?重クロロホルムがなぜ安価なのかという点も気になりますね。

四塩化炭素は水素を含まないので安価なNMR溶媒として使用されていたこともあるようですね。

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