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ディーン・スターク装置の原理と脱水反応

ディーン・スターク装置水を反応系中から取り出す装置で、脱水反応に利用されます。
反応によって水が生成する場合はディーン・スターク装置を使うことによって収率を上げることができるかもしれません。装置といっても仕組みは簡単です。今回はディーン・スターク装置の原理と使い方について解説します!

ディーン・スターク装置とは?

ディーン・スターク装置は加熱により蒸発した「水を含む溶媒蒸気」を冷却して凝結した後にこれを直接フラスコに戻さずに、液溜めの方に溜めて、二層に分かれた水を系外に出せる構造になっています。

溜まった溶媒のうち水含まない溶媒のみがフラスコ内部に戻るため、反応フラスコ内は脱水条件で反応を行うことができます。
ディーン・スターク装置の仕組み

ディーンスターク管の構造

ディーン・スターク管は上図中の3、8に当たる部分です。

反応容器を加熱して反応溶媒が沸騰すると、共沸により水分を含んだ溶媒蒸気が蒸発していきます。
この溶媒蒸気が冷却器5によって冷やされて液体になり、8の液だめの部分に落ちてきます。
水と混ざり合わず、水よりも比重が小さい溶媒を使用していると水は下層に溜まっていきます

ある程度溜まったら、コックをひねって水の層だけを取り除きます。

8の管部分の溶媒が溜まって溢れると管を伝って反応容器2に戻っていきます。

反応容器に戻る溶媒は水が除去されたものなので、このサイクルを繰り返していけば、反応容器2に入っている水は徐々になくなっていく→脱水されていくということになります。

ディーンスターク装置に適した溶媒はベンゼン、トルエン、キシレンなどです。

ディーンスターク装置では以下の条件を満たした溶媒が使われます。

  • 水と混ざり合わない
  • 水と共沸する

ディーン・スターク装置の原理・考え方

ディーン・スターク装置を使って水を系外から出すのに何のメリットがあるのでしょうか?確かに水が出ていくかもしれませんがそれがどのように反応に影響するのでしょうか?具体的な例を挙げて考えてみましょう。

酢酸エチルの合成にディーンスターク装置を使う

酢酸エチルの合成は酸触媒下、酢酸とエタノールの脱水縮合により生成します(水が取れて2分子結合する)。

ディーン・スターク装置の考え方、原理

この反応で生成した水はせっかくできた酢酸エチルと反応して酢酸とエタノールに分解してしまうため取り除く必要があります。

酢酸エチルを効率的に合成するにはこの水を除去する必要があります。

そこで利用するのが「ディーン・スターク装置」です。

ディーンスタークを使用すれば水を反応系中から取り除くことができます。

水を除去すると酢酸エチルの加水分解反応を抑えることができるので、酢酸エチルが生成反応に偏らせることができます。

このように反応によって水が生成し、水が悪さをするような場合はディーン・スターク装置を使用すると良い結果が得られます。

ディーン・スターク装置の使い所・コツ

ディーン・スターク装置はどんな時に使用する?

  • 脱水縮合反応の時
  • 生成した水によって他の官能基が影響を受けるとき

ディーンスターク装置利用時の注意

  • 熱に弱い化合物は適さない
  • 溶媒は水と混ざらず、水よりも比重の軽いもの

ディーンスターク装置利用のコツ

  • 小スケールの実験を行うとき
    • ディーン・スターク装置の水を貯める部分にモレキュラーシーブを入れると小さいスケールの時に便利です(水が溜まるほど出てこないから)。
  • なかなか溶媒だめに溶媒がたまらない
    • アルミホイルやペーパータオルをガラス管に全体的に巻いて保温すると良い

大きなスケールの場合は大方の水が出きった後に、モレキュラーシーブを溶媒溜めの部分にいれると効率的かもしれません。

また、イラストでは分留管(ブツブツしている管の部分)はなくても問題ないです。

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