認知的不協和とは?恋愛や仕事の例 論文を紹介!

認知的不協和

認知的不協和とは自分の中で矛盾する事柄を抱えた状態のことであり、認知的不協和が生じると心理的態度や行動を変化させることが知られています。

認知的不協和はその心理的な負担を回避するため、事実や自分の感情を捻じ曲げて誤った判断をしてしまうことがある点で危険です。

今回は社会心理学の基礎となる認知的不協和理論について、なぜ認知的不協和が生じるのか?どんな問題があるのか?認知的不協和を知るとどんな役に立つのか?を恋愛や死後の例を交えながら解説していきます。

認知的不協和とは?

認知的不協和理論はアメリカの社会心理学者のレオン・フェスティンガーによって1957年に発表された理論です。

Festinger, A Theory of Cognitive Dissonance, 1957 Stanford University Press.

認知的不協和理論は文字で見ると難解そうですが意外と簡単です。「人間が不快を解消する」という動きがあるというのが根本です。ちょうど空腹を感じたら空腹を満たすために食事をとるのと同じです。

認知的不協和は「心理的」な不快についての話です。

フェスティンガーによる実験例

具体的にフェスティンガーによる実験の例を見てみましょう。

フェスティンガーは、A,B2つのグループの学生に「つまらない作業」をやらせ、Aグループには割に合わない報酬を、Bグループには多い報酬を与える実験を行いました。

その後、別の学生に本当はつまらない作業だが「作業が楽しかった」と伝えさせる実験を行いました

この実験では心理的な不快な状態が生じています。

それは体験までしている「つまらない作業であるという認知」と「つまらないのに楽しいと伝えなければならい」という二つの矛盾した心理状態です。

本心ではつまらない作業だと思っているのに、楽しい作業であると嘘を伝えなければならないのです。

ところでAとBのグループでは報酬の量が違います。報酬の量によって「作業に対する満足度」が変化します。当然、報酬を多くもらっているBのグループは、「結構報酬を受け取ったからつまらない作業でもよいかー」というポジティブな感情を抱きやすいですが、割に合わないAグループはより不満の感情を抱きやすいです。

認知的不協和理論は「人間が感じた不協和を解消するように認知を変えてしまう」というものです。

ここでは、本当は作業がつまらなかったはずなのに、作業が楽しかったと自分が思えば(認知すれば)不協和が生じなくなります。楽しいと感じたままそれをほかの学生に「楽しかったよー」と伝えればよいので何の矛盾も生じません。

つまり、不協和を解消するために実態よりも「割と楽しかったような気がする」とか「なんだかんだ楽しかったな」などと認知を歪めて不協和を解消しようとします。

人間は「心理的な一貫性を保とう」とします。「好きだからやっている」「嫌だからやめる」などです。感情と行動の一貫性を保とうとするといってもよいかもしれません。「嫌いなのに毎日続けている」という状態は感情と行動が矛盾しているので、嫌いを好きに変換してしまいます。「毎日続けているなら好きなのかな?」というような感じです。不協和の解消は認知だけでなく行動を変化させることもあります。

こめやん

ある意味人間の感情というのはフワフワしていて考え方の違いによって容易に変化するとも言えるかも?

認知的不協和の問題

認知的不協和の問題は「事実とは異なる認知を行うこと」にあります。

正しい認知ができなくなるということは、正しい判断ができなることを意味します。知らず知らずのうちに生じた認知的不協和に対して「自然の流れに身を任せてしまう」と認知が修正されてしまいます。

認知的不協和の例などを知っておくと自分がそういった状態に陥った時に役立つと思います。

認知的不協和を知り、うまく利用すればビジネスや恋愛などを有利に運ぶことができるかもしれません。

一方で、悪用されれば詐欺などに利用される可能性もあるので自分や周囲の身を守るためにも認知的不協和について理解しておきましょう。

認知的不協和の例

イソップ童話の例 キツネとブドウ

イソップ童話のキツネとブドウは認知的不協和の例としてたびたび紹介されます

キツネは高いところになったブドウを食べようと頑張りますが、ブドウをとることができないと理解すると、「ブドウは酸っぱいし本当は欲しくない」と思ってブドウをとるのをやめてしまいます。

ブドウが欲しい→ブドウは欲しくないというように、認知を変えてしまっています。

肉食

「肉を食べる」という行為は「家畜動物を殺す」という行動が伴われます。動物が好きな人にとっては肉食という行動は心理的に好ましくないかもしれません。

そうなると、生じた不協和を解消するために、動物を殺しているという実感を得ないようにわざと認識しないようにしたり、あるいは肉を食べるための動物は食料のために殺しているために問題ないなどという正当化などが起こるかもしれません。

喫煙

タバコを吸うという行動と「体に悪影響」という事実は不協和を生む可能性があります。タバコは本当はそんなに体に悪くないとかタバコを吸っていても長生きしている人はたくさんいるというに考えたり、○○のほうが危険だというようなすり替えを行って不協和を解消しようとする働きが見られます。

恋愛で認知的不協和を利用!

恋愛において認知的不協和を活用すると自分にとって有利な方向に運ぶことができるかもしれません。

恋愛においては「相手と親密な関係になること」が必須条件です。

認知的不協和を利用すると「相手と親密ではないのに、親密な関係であると思わせてしまうことが可能かもしれません」

つまり、「親密な間柄の人とやる行動」をとることで、〇〇しているから、親密ではないはずはないなと思わせてしまうということです。

極端な例では、「キスは恋人とするもの」なので、キスをしてしまった人が嫌いと思うと不協和が生じるので、好きだと認知を変えてしまいます。

ただ会うだけでも効果あり?

親しい間柄の人ほどすることといえば「会う」という行為です。

実際に人は合う回数(時間)が多いほど仲良くなるといわれています。

これは「単純接触効果」と呼ばれているもので、心理学者のロバート・ザイアンスが1968年に論文に報告していて「ザイアンスの法則」などと呼ばれることもあります。

Zajonc, Robert B. “Attitudinal effects of mere exposure.” Journal of personality and social psychology 9.2p2 (1968): 1.
親密になる効果がすべて認知的不協和の解消によるものではありませんが、もしもあまり仲良くなくても良く会っているという行為を通して、不協和の解消のために嫌いな人から「嫌いではない」に変化する可能性があります。

頼み事を聞く

会うという行為だけでも好感度が上昇するのであれば、もっと能動的な行動によってもっと親密度を上げることが可能になるかもしれません。

例えば頼み事をしてみることです。よほど嫌われていない限りは小さなお願いくらいは聞いてくれるはずです。人のお願いにこたえることは親密な間柄ほどする行為なので、頼みごとをすることによって不協和の解消が起こり、頼みにこたえている→親密というような認知の修正が起これば親密度を上げることも可能です。

ボールペンを貸してとか小さなお願いでも効果はありそうです。

プライベートな話をする

親密な間柄になるとプライベートな話をしやすくなります。プライベートな話を引き出すことができれば親密だからこういう話をしたんだというような不協和の解消につながるかもしれません。

相手からプライベートな話を引き出すために、自分から様子を見てプライベートな話をするようにしたり、相談に乗るなどして信頼関係を作っていきましょう。

ビジネスでも役立つ認知的不協和理論

ビジネスにおいても認知的不協和は役に立ちます。ビジネスであっても基本は恋愛と同じで相手と親密度を上げて信頼関係を構築することが重要です。したがって、恋愛と同じ戦略がビジネスでもそのまま流用できるわけです。

こめやん

なんだかんだ、やっていることは単純で普通のことですね。人と親密な関係を築くには相手を思いやった行動をとることが重要ですね

社会心理学的価値

認知的不協和理論は大衆の行動予測あるいは誘導に有用である点で社会心理学的に価値があります。

古典的な心理学において行動予測は心理学者バラス・スキナーによって導入された強化によるものが一般的でした。ある行動に対して好ましい報酬をあたえるということを繰り返すことによってその行動の強化が起こります。表彰するなどといった報酬を行うことで仕事を頑張らせるというようなこともその一部です。

しかし、認知的不協和は強く相反する二つの行動や認知があった場合に起こるという点で異なります。

論文

1) Cooper, Joel. Cognitive dissonance: 50 years of a classic theory. Sage, 2007.
2) Elliot, Andrew J., and Patricia G. Devine. “On the motivational nature of cognitive dissonance: Dissonance as psychological discomfort.” Journal of personality and social psychology 67.3 (1994): 382.
3) Bem, Daryl J. “Self-perception: An alternative interpretation of cognitive dissonance phenomena.” Psychological review 74.3 (1967): 183.
4) Aronson, Elliot. “Back to the future: Retrospective review of Leon Festinger’s–A Theory of Cognitive Dissonance.” The American Journal of Psychology 110.1 (1997): 127.

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