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ブロモクレゾールグリーン(TLC)で酸性物質の検出

ブロモクレゾールグリーンの発色

ブロモクレゾールグリーン(BCG)でカルボン酸を検出

ブロモクレゾールグリーンはトリフェニルメタンを有するサルトン系の色素で、酸性中では黄色、中性では青緑色をしているため、pH指示薬としても使われています。このブロモクレゾールグリーン溶液はTLCの発色試薬としても利用でき、酸性官能基(カルボン酸やスルホン酸等)をもつ化合物由来のスポットは黄色いスポットとして観察することができます


発色試薬ブロモクレゾールグリーンが発色する原理

ブロモクレゾールグリーンはpHによって構造が変化するため色が変化します。

酸性溶液ではフェノールがプロトン化した構造をとり、塩基性側ではフェノールが脱プロトン化した構造を取るため酸性と塩基性では色が異なります。※コメントをいただき構造を修正しました2022/01/08

ブロモクレゾールグリーンの構造

ブロモクレゾールグリーンの構造

 

ブロモクレゾールグリーン発色試薬の作り方

  1. ブロモクレゾールグリーン 10 mg
  2. エタノール 50 mL
  3. 0.1M NaOHaq 0.5 mL

ブロモクレゾールグリーンにエタノールを加えて溶解した後NaOH水溶液を加えて青色溶液とします。同様の試薬としてブロモフェノールブルーも利用可能です(もう少し酸性よりの変色域3.0-4.6)。

発色試薬の保管方法

調製した発色試薬は室温下で数ヶ月以上放置しても問題なく使用できます。


ブロモクレゾールグリーン発色試薬の使い方

展開後のTLCをブロモクレゾールグリーン溶液にディップまたはスプレーします。多くの場合、室温で酸性官能基を含むスポットは黄色に呈色します。ものによっては100℃ 5minくらい加熱しても良いかもしれません。BCGでは背景が青色に染まります。酸性官能基はカルボン酸やスルホン酸などの酸性度が高いものが見やすく、酸性度の低いフェノール類は見にくいかもしれません。

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TLCの展開溶媒や原理など記事のまとめ TLC(薄層クロマトグラフィー)の化学まとめ!原理と展開、やり方

3 COMMENTS

アズレン

スルホン酸の通常のpKaを考えますと、BCGは少なくとも塩基性側はでスルホ基が電離してSO3-になっているはずです。酸性型についても、pH1~3程度の酸性であればSO3-が主ではないでしょうか。

また、これ以下は私見ですが、水溶液中においてTB(チモールブルー)やBTBが酸性型(黄色)と塩基性型ともにスルトンが開環し、共役系が全体に広がった構造をとることと、BCGの酸性型もまた(無色に近い淡黄色ではなく)はっきりとした黄色を呈することを踏まえると、BCGの酸性型も開環体ではないのか?と思います。スルトンで共役系が分断された構造で可視光を吸収するのか疑問です。
https://www.hirosaki-u.ac.jp/44085.html
↑簡単のため、あえて論文ではなくプレスリリースを張らせていただきます。

ただ、BCGのフェノール部分のpKaが4付近とは考えにくいので、フェノール部分の電離平衡で黄↔青の色調変化を起こすTBやBTBとは異なり、BCGの酸性型は塩基性型におけるp-キノンメチド部分のカルボニル酸素がプロトン化されたオキソカルベニウム、またはトリアリールメタン骨格の中心炭素に正電荷が載ったカルボカチオンの極限構造で描かれるべき構造なのではないかと予想しています。

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こめやん こめやん

ご覧いただきありがとうございます。
ご指摘の通り、酸性溶液中の構造についてはスルホン酸のpKaを考慮すると開環した構造をとるのが正しいと思います。ご提示いただいた資料にあるTBの例に漏れずBCGにおいてもやはり開環した構造をとると予想されますね。記事の内容はこうした事実とはそぐわないので修正いたしました。

酸性溶液中の構造に関するご意見は興味深いですね、オキソカルベニウムやトリチルカチオン種の発生はTBの強酸性側でみられるようですね。ブロモクレゾールグリーンの酸性領域での色変化がTBのように赤色→黄色→とならないので、BCGの場合はいずれかの構造しか取らないんでしょうかね。論文調査をしてみます。NMR使って簡易的な実験でも分かりそうな気もしますが
プレスリリースの論文
1) Shimada, Toru, Kurumi Tochinai, and Takeshi Hasegawa. “Determination of pH dependent structures of thymol blue revealed by cooperative analytical method of quantum chemistry and multivariate analysis of electronic absorption spectra.” Bulletin of the Chemical Society of Japan 92.10 (2019): 1759-1766.

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アズレン

ご返信いただき、またこちらのコメントを記事に反映していただきありがとうございます。
9か月を経て、このページに戻ってきてお返事に気づきました(汗)

BCGの酸性型についてカチオン説を唱えていましたが、そうでもないかと思い直しました。
芳香環上のBrやアルキル基がpKaに与える影響は意外と大きいということですね。

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