りんごが赤いのはなぜ?
りんごが赤く見えるのはアントシアニンという赤い色素があるためです。
赤いリンゴの皮に含まれる色素成分はシアニジン-3-ガラクトシドという成分です。
この色素はRGB の光のうち青 Blue、緑 Greenの付近の光を吸収(吸収極大 281 nm, 529 nm)します。赤色の光は吸収しないので赤色の光が目に届き赤く見えるわけです。
赤くなる遺伝子は特定されている
アントシアニンの生成に関与する遺伝子は特定されています(MdMYB)。
リンゴの皮だけでなく果肉も赤い「ルビースイート」などが品種化されています。
参考 生食用赤果肉リンゴ原因遺伝子の機能解析と育種の効率化 取得できませんでしたリンゴが赤くなる要因
- 日光
- 気温
- 植物ホルモン(エチレン)
リンゴが赤くなるのには日光が必要です。
赤いリンゴの品種であっても暗所で育てたリンゴはアントシアニンが合成されず赤くなりません。
そのため葉っぱなどで陰になるとその部分が赤くならなくなるので、葉っぱを取り除いて影をなくす必要があります。
赤いリンゴだと甘くておいしそうに見えますが赤くないからといって甘くないわけではないです。
りんごが日光にさらされるとアントシアニンの生合成に関わる遺伝子の発現レベルが上昇します。
また、日光だけでなく低温によっても遺伝子発現レベルは上昇します。確かにリンゴは寒い地域で栽培されていることが多いですね。
エチレンなどの植物ホルモンにさらされることによっても着色が促進されます。
肥料の窒素成分が多いと着色が抑制されることも報告されています。
Honda, Chikako, and Shigeki Moriya. “Anthocyanin biosynthesis in apple fruit.” The Horticulture Journal 87.3 (2018): 305-314.
Appleのマッキントッシュはリンゴの品種
アップルといえばiphoneやMacBookなどコンピュータの誰もが知るメーカとして有名です。トレードマークであるリンゴのマークはPCの天板などにも描かれていてます。今は略称であるMacが正式な名称になっているようで聞くことは無くなってきましたが、昔はマッキントッシュと呼ばれていました。このマッキントッシュはリンゴの品種のひとつです。アップルのマークが白いのは未成熟な状態で収穫した青りんごを見たからかもしれませんね。
なぜリンゴは赤くなるのか?
リンゴが皮にアントシアニンを生成するのはなぜでしょうか。
アントシアニンは赤くなるつまり、可視光領域でいえば青や緑といった短波長領域の光を吸収します。
紫外線は青い光よりも短い波長の生体に有害な光で、アントシアニンはUVを吸収するため光ストレスから保護するために役立つ可能性があります。
人間が日焼けで皮膚が黒くなるのと似たような感じですね。
また、リンゴの赤い色は果実の存在を引き立たせて動物を誘引するのに役立っている可能性があります。
未熟な状態で食べられてしまうと種子も未熟で発芽できないのでリンゴが増えることができなくなってしまいます。
人間の感覚でも青いリンゴ=未熟、赤いリンゴ=完熟というイメージがあります。少なくとも人間に対しては色づくということが食べごろだというメッセージとして有効に機能していそうです。
Espley, Richard V., et al. “Red colouration in apple fruit is due to the activity of the MYB transcription factor, MdMYB10.” The Plant Journal 49.3 (2007): 414-427.