蚊に刺されるとかゆくなるのはなぜ?大きく腫れる人の違い

蚊に刺されるとかゆくなるのはなぜ?

一般的には蚊が血を吸うときに毒を注入するからというのを聞いたことがあると思います。

しかし、意外に思われるかもしれませんが、

実は蚊に刺されるとかゆくなる理由はよくわかっていません

アレルギー反応が関与していると考えられています。

蚊に刺されるとかゆくなる

蚊の唾液成分がかゆみを引き起こす?

蚊に刺されるとかゆくなる原因として考えられるものは

  • 物理刺激
  • 蚊の唾液成分

蚊に刺されるという物理刺激によってかゆみが引き起こされている可能性もありますが、蚊の唾液成分が注入されることでかゆみが発生しているという仮説のもと多くの研究が行われています。

痒みはアレルギー性の反応により引き起こされる

かゆみが引き起こされる代表的なメカニズムとして肥満細胞(マスト細胞)が放出するヒスタミンがヒスタミン受容体に作用するとかゆみが引きこされます。

肥満細胞がヒスタミンを放出する様子

肥満細胞がヒスタミンを放出する様子

ヒスタミンの構造

ヒスタミンの構造

蚊のかゆみはヒスタミンによる影響は少ない?

「蚊にさされて発生するかゆみ」は肥満細胞-ヒスタミン経路の影響は小さいという報告があります。

その理由はヒスタミンの効果をブロックする薬でもかゆみが効果的に抑えられなかったからです。(ヒトの実験では抗ヒスタミン薬はかゆみを抑制している)

マウス実験では、放出されたヒスタミンの作用をブロックするヒスタミンH1受容体拮抗薬では掻き行動が抑制されず、デキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイド、トロンボキサンA2拮抗薬等でも抑制されませんでした。一方で、オピオイドμ受容体拮抗薬であるナロキソンでは痒みが抑制されました。

したがって、ヒスタミン経路以外のかゆみを引き起こすメカニズムが蚊による痒み発生に関与しているといえそうです。

Ohtsuka, Eiji, et al. “Roles of mast cells and histamine in mosquito bite-induced allergic itch-associated responses in mice.” Japanese journal of pharmacology 86.1 (2001): 97-105.

掻くとかゆみが無くなる気がする理由

体がかゆくなると掻かずにいられないと思います。

掻くことでかえってヒスタミンが放出されて痒みがひどくなるパターンもありますが、大抵は掻くと痒みが和らぐことがおおいではないでしょうか。

痛みを感じるような刺激(熱刺激、物理刺激、化学刺激)をうけると痒みは低減されます。痛みを引き起こす化学物質であるカプサイシンはかゆみを抑制することがしられています。

生駒晃彦. “かゆみと痛み.” 日本皮膚科学会雑誌 115.12 (2005): 1756-1758.

蚊に刺されると体に起こること

蚊に刺されるとアレルギー反応が引き起こされる

蚊に刺されると局所的な痒みや時に全身症状を呈することもあります。

蚊に刺されるた際のかゆみがアレルギー反応であるという証拠として

  • 初めて蚊に刺された際はかゆみが起こらない
  • 何度も刺されると痒みがつよくなる

があります。

蚊の唾液成分がかゆみを引き起こしている

蚊の唾液成分がかゆみを引き起こしているという予想は、唾液菅を破壊された蚊に刺されても痒みが起こらないという事実に基づいています。

蚊の唾液成分特異的なIgE抗体の血清濃度は蚊に敏感なひとのほうが高いという報告があります。

蚊に刺されたヒトは蚊の毒に敏感な人ほどヒスタミンレベルが高く、刺された部位の腫れも大きくなりました。ロイコトリエンC4の放出も観察されています。

Horsmanheimo, Leena, et al. “Histamine and leukotriene C4 release in cutaneous mosquito-bite reactions.” Journal of allergy and clinical immunology 98.2 (1996): 408-411.

蚊の唾液成分にはヒスタミンが含まれている

蚊の唾液成分としてはヒスタミンのほか、ポリアミンやエステラーゼ、ペプチド成分が含まれていることが報告されています。

蚊に刺されて大きく腫れるのは遺伝の可能性

蚊に刺された時のかゆみの強さや腫れの大きさなどは個人差があうるというのを経験したことも多いと思いますが、これは遺伝が大きく影響することが報告されています。

Fostini, Anna C., et al. “Beat the bite: pathophysiology and management of itch in mosquito bites.” Itch 4.1 (2019): e19.

男性よりも女性のほうが蚊に刺された際の反応が大きいという報告もあります。

Jones, Amy V., et al. “GWAS of self-reported mosquito bite size, itch intensity and attractiveness to mosquitoes implicates immune-related predisposition loci.” Human molecular genetics 26.7 (2017): 1391-1406.

蚊に刺されて大きく腫れたり、強いかゆみを感じるタイプである場合、家族に同じような人がいるかもしれません。

別経路による痒みの発生

マウスのモデルではヒスタミン誘発性のかゆみに影響を与えないガバペンチンやオピオイドμ受容体拮抗薬で掻痒行動を抑制することが報告されています。

Akiyama, Tasuku, et al. “Peripheral gabapentin regulates mosquito allergy-induced itch in mice.” European journal of pharmacology 833 (2018): 44-49.

オピオイドμが末梢のかゆみに関与?

蚊のかゆみに限らず一般的なヒスタミン関与のかゆみ発生以外のメカニズムでかゆみの発生の可能性が示唆されているものがあります。ヒスタミンが関与していないかゆみの場合、既存の薬剤の効果が薄く治療満足度が低くなります。アトピー性皮膚炎ではμオピオイド系が優位になっており、ナロキソン外用薬がかゆみを抑えたという報告があります。

 

高森建二. “難治性痒みの発現メカニズム 乾燥, 透析, アトピー性皮膚炎に伴う痒みについて.” 日本皮膚科学会雑誌 118.10 (2008): 1931-1939.

蚊に刺された痒みを抑える方法

蚊に刺されないようにすることが一番ですが、刺されてしまった際の対処法を紹介します。

  • 患部を冷やす
  • カラミンローション(酸化亜鉛)
  • 副腎皮質ステロイド外用剤
  • 経口抗ヒスタミン薬

蚊のかゆみはアレルギー反応が関与している可能性があるため冷やして炎症反応を抑えるという方法は一般的なものです。また塗り薬としては副腎皮質ステロイド剤やカラミンローションがかゆみを抑えるのに有効です。経口抗ヒスタミン薬の使用は予防的な摂取により皮膚反応を低減したという報告があります。

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