生物学

抗体は免疫の主役!機能と働きは?

抗体は免疫反応の主役とも言える働きをします。抗体は病原菌が体内に侵入してきたときに、すぐに働く身体の防御反応(一次免疫)の後に続く、遅い免疫反応(二次免疫)に深く関わっています。病原菌をやっつけるのに大活躍な抗体ですが、抗体はマクロファージやT細胞などの細胞ではなく、ただのタンパク質です。

Y字状の形をしている抗体ですが、実はいくつか種類があります。今回は抗体がどこから生まれて、どんな種類があって、どんな機能を持っているかを紹介していきたいと思います。

抗体の特徴

抗体はタンパク質です。抗体のサイズ感は下の図だと数nmくらいですが、だいたい10-15nmくらいです。まあまあそこそこの大きさです。小分子よりも相当大きいです。逆に、細菌や細胞といった分子と比べるとかなり小さいことがわかります。

抗体の機能はシンプルに言えば、「ある特定の物質のみにくっつく物質」です。

たったそれだけでなんで細菌やウイルスをやっつけたり、できるのか?と思うかもしれませんが、それは、抗体だけの活躍でなく、様々な物質や細胞の連携があってのものだからです。そういった様々な物質が巧妙に連携したシステムが免疫なのです。

主な3つの機能

抗体がある特定の物質に結合することでどんなことができるか?それは大きく分類するとたった3つに分けることができます。①クリンチみたいにくっついて暴れさせない武器のアクティベート増援部隊のための目印

という感じです。もう少しちゃんとした言葉に変えると

①中和作用

②補体系の活性化

③オプソニン化

です。

中和作用 – 1

中和作用は、ウイルスや毒素などの標的に対して抗体が結合することによって、感染力を奪う作用のことです。

「ただくっつくだけで?」と疑問を持つ方もいると思います。実はウイルスも抗体と同じように体の中の特定の標的を狙ってきます。その標的以外は狙わないのです。インフルエンザウイルスはシアル酸という物質を狙ってきます。このシアル酸は気道上皮細胞が多く持っているので、感染するとせきやくしゃみなど呼吸器系の症状がでます。このインフルエンザはHA(ヘマグルチニン)というタンパク質を使ってシアル酸にくっつきます。ここで、抗体が、HAにくっついたらどうなるでしょうか?こうなるとインフルエンザはシアル酸にくっついて細胞内に侵入することができなくなります。そうなるとインフルエンザウイルスは感染力を失ってただのタンパク質になります。

ちなみに現在使われているインフルエンザウイルスワクチンには、インフルエンザウイルスが入っているのではなく、インフルエンザのHAタンパク質の部分が入っています。つまり抗HA抗体を作らせれば、ウイルス感染が防げるので、わざわざ危険なウイルスを入れなくても済みます。

補体の活性化 – 2

抗体が侵入者に結合しても退治しにくい相手がいます。それは細菌です。抗体の大きさを表した図を思い出してください。細菌はウイルスの100-1000倍の大きさです。ウイルスが歩兵なら細菌は戦車や戦艦のようなものです。こいつにはただくっつくだけではヤレません。

補体は字面では雑魚感がにじみ出ていますが、補体を活性化させると細胞殺傷性膜侵襲複合体(細胞膜障害性複合体:以降は略称MAC)という兵器を生み出します。補体は20いじょうのタンパク質群からなる一群となっています。MACをつくるには古典的経路という経路をたどって作られます。MACは補体が複数繋がってできたもので、補体自体はバラバラに血液中に流れています(MACのパーツがばらばらに血液中に流れている感じ)

抗体が標的に結合すると(その2つを抗体抗原複合体と呼ぶ)、まず、補体C1というものがその複合体に結合します。このC1の結合がトリガーとなって次々と補体が結合C1-C4-C2ーC3b-C5bという流れでくっつく最終的にC5b6789となり、これがMACとなります。このMACは細菌の細胞膜に穴を開けて細胞を溶解させます。(戦艦の船底にC4爆弾(MAC)で穴を開けて沈めさせるイメージですね)

古典経路と呼ばれるだけあって、補体には他にもさまざまな経路があります。それはまた次の機会に紹介したいと思います。

オプソニン化ー貪食を促す – 3

オプソニン化という言葉は効き馴染みがないと思います。

オプソニン化は、

食細胞に取り込まれやすくさせる作用のこと

です。免疫系の細胞には食細胞と呼ばれるものがいます。その代表例はマクロファージ(MΦ)、好中球、樹状細胞です。これらの食細胞は侵入した病原体を食らう細胞です。ただし、なんでもかんでも食べて仲間も食べられては困りますよね?そうはならないように、食細胞も仲間を認識しています。オプソニン化はここに病原体がいますよ!食べちゃってください!というような標識をすることをいいます。このオプソニン化された標的をみつけると食細胞が活性化して食らいます。

このオプソニン化は、抗体だけでなく、先程でてきた補体もオプソニン化を行います。

 

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こめやん
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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております