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活性炭で脱色・吸着する方法と原理

活性炭処理の脱色のやり方と原理

活性炭とは?

有機合成では溶液中の着色成分を取り除く脱色剤として活性炭を利用します
活性炭は多孔質で表面積が大きく(1gです1~2千平方メートル)、化学物質を化学的・物理的に吸着する働きがあるため、水道水中の不純物を除去して浄水したり、冷蔵庫の脱臭など生活でも利用されています。

活性炭の吸着の原理とは?

活性炭は微細孔が多数存在する多孔質物質です。化合物の吸着はファンデルワールス力や毛管現象などによって起こります。

活性炭と炭の違いは?

活性炭はおがくず、石炭、ヤシガラなどを高温で炭化させて作った炭素化物(すみ)を更にガスや薬品で処理することによって微細な孔を作って「活性化」させたものです。普通の炭よりも微細孔が増加しているので吸着力が増しています。ガス処理には高温の水蒸気や二酸化炭素が使用されます。炭化した炭素に対して水蒸気が反応すると一酸化炭素と水素が発生します。このように炭素が徐々に削られていくので孔が開きます。
薬品処理では塩化亜鉛やリン酸が使われます。


活性炭を使った脱色・吸着のやり方

活性炭の表面は疎水的なため、疎水性物質が選択的に吸着されやすいです。そのため溶媒中の着色成分を取り除く際はルコールや水などの高極性溶媒を用いるべきです。
活性炭には顆粒状のものなどがあるが、細かい粉末状のほうが脱色力が強いです。
吸着されやすい分子は溶媒への溶解度が小さく、分子量が大きい疎水性の物質です。着色成分の多くは疎水性が高い共役した分子であることから活性炭で除去することができる可能性があります。

再結晶後などで着色している場合、溶媒をメタノールやエタノール、水などの極性溶媒に置換して、活性炭を化合物1gあたり100mgくらい加えます(入れすぎ注意!)。熱している場合は突沸することがあるのである程度冷ましてから入れます。室温~5,60℃くらいに温めて数十分間撹拌後、ろ過します。再結晶中など析出する恐れがある場合は熱時ろかします。

活性炭の除去

活性炭は非常に目が細かいので目の細かいろ紙を利用しましょう。セライトろ過でも良いです。ガラスフィルターは目が詰まってしまうので避けたほうがよいかもしれません。

活性炭カラムクロマトグラフィー

極性表面をもつシリカゲルとは異なり、活性炭は疎水性表面を持っており、疎水性物質を選択的に吸着するので逆相のように振る舞います。活性炭クロマトグラフィーでは活性炭を予め溶媒に浸しておいてカラムにチャージします。活性炭カラムクロマトグラフィーはダイオキシン類の分離などに利用されています。ダイオキシン類などの疎水性物質は活性炭に吸着されやすいので、ヘキサンやトルエンなどのk疎水性溶媒を展開溶媒に利用します。極性化合物の分離にも利用でき、グルコースなど糖類の分離にも利用されます。活性炭は細かい粉末でカラムに詰めにくいのでセライトなどを1:1などに混ぜて充填することもあります。高極性の場合は含水アルコール(EtOH:H2O=5:95)などを使います。
TLCなどで展開を予想できないので、小スケールで試します。


参考動画

動画では活性炭による脱色の実験をやっています。この動画通りに活性炭を入れると入れすぎなので注意です。徐々に増やして様子を見たほうが良いと思います。

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