魚の病気には尾腐れ病や白点病、水カビ病など様々な病気があります。これらは人間の病気と同様に細菌や真菌、寄生虫の感染によって起こります。
こうした病気を予防、治療する治療薬として有名なのがマラカイトグリーンです。マラカイトグリーンは安価で強い殺菌作用があるため、病気の治療によく利用されています。
マラカイトグリーンの毒性
マラカイトグリーンは鮮やかな緑色をした化合物で、抗菌活性が見られることから抗菌用途に利用されています。しかし、一部の毒性試験で毒性が疑われているため、食品中への利用は禁止されてます。
マラカイトグリーンおよびその還元代謝物であるロイコマラカイトグリーンはヒトへの発がん性が疑われていますが、そのメカニズムについては明確にはされていません。しかし、げっ歯類に対しては遺伝毒性があることが疑われています。さらに、代謝物のロイコマラカイトグリーンが体内に残留しやすいことから、安全性に問題があるとされ、日本以外の外国(中国、欧米等)では食品への利用は禁止されています。
代謝されて抗菌活性が失われたロイコマラカイトグリーンは長期間魚肉中に残留が認められている報告(半減期が10-40日)があります。
マラカイトグリーンは簡単に購入できます。
輸入うなぎのマラカイトグリーンの混入
食品へのマラカイトグリーンは禁止されていますが、輸入のうなぎにこのマラカイトグリーンが検出されました(2005年)。うなぎの水生菌病に対する有効な治療薬として利用されていました。安価なことから途上国などでは利用されやすいと思われます。
マラカイトグリーンはフェノールフタレインやクリスタルバイオレットなどと同じトリフェニルメタン系に分類される色素の一つです。
この色素の仲間はたくさん存在しているので、どれも抗菌活性があるのかと思いきやそうではありません。例えばブリリアントグリーンには抗菌活性は見られません。マラカイトグリーンは黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ、青カビなど、細菌から真菌まで幅広い抗菌活性があるようです。
マラカイトグリーンの抗菌活性を示すメカニズム
マラカイトグリーンが抗菌活性を示すメカニズムについて決定的なことはわかっていないようです。マラカイトグリーンはグラム陰性や陽性の細胞膜を簡単に通過することができるので、細胞内外様々な場所に影響を与える可能性があります。
- ROS(ヒドロキシラジカル)産生による細胞殺傷
- DNAとの結合
- タンパク質の変性
などの機構が考えられています。
こめやん
マラカイトグリーンなどのトリフェニルメタン系の色素のなかで抗菌活性の見られるものは、安価であるために、途上国での消毒利用もできそうですね。
マラカイトグリーンは水カビ病に有効
マラカイトグリーンの殺菌効果は特に水カビ病にたいして有効です。0.05ppm程度の濃度の薬液に魚をつけて治療します。治療期間は10日間以上かかることもあるので根気よく続けましょう。
マラカイトグリーンは水カビだけでなく魚に対しても毒性を発揮します。治療するときの濃度と致死濃度が近いので、治療効果を期待して濃い濃度にしてしまうと危険です。魚の様子をみて弱ってそうなら半分の水を入れ替えましょう。この時水に塩を加えると魚が元気になるようですよ
参考文献
1) Ekaterina Gelman et al, Antimicrobial Agents and Chemotherapy, DOI: 10.1128/AAC.00406-12
漢字間違いが多すぎて、意味が分からない