なぜうさぎの耳は長いのか?そんな疑問を持ったことはありませんか?うさぎの特徴である長い耳ですが、耳が長い理由は一体何なのでしょうか?
こめやん
うさぎの耳が長い理由
うさぎの耳が長い理由にはいくつかの説が提唱されています。
- 音をよく聞くため
- 熱の放出のため
という2つの理由があるとされています。うさぎは草食動物で肉食動物にとっては重要なタンパク源です。サイズも大きすぎずないのであまり大きくない肉食動物にとってはうさぎはちょうどよい捕食対象になるでしょう。そのため、うさぎは自らの身を守るためによく音を聞いて襲撃に備える必要があり、大きな耳を持つことで外界の音をはっきりと捉えられるようにしていると考えられています。ウサギの耳は別々に自由に方向を変えることができるので音を聞くのに適しています。
2つ目の熱の放出のためですが、汗をかかない動物にとって、熱放出は大きな問題になります。うさぎの耳には微細な血管が張り巡らされているため、耳から体熱を放出することが可能です。このため、うさぎは汗をかかなくても耳で体温調節をすることができます。
他の耳の長い動物は意外に少ないですが、他にはロバやフェネックなどの動物がいます。ロバは体が大きいので体温調節というわけではなさそうですが、音を聞き分けるためというのはアリそうですね。フェネックは狐の仲間で耳の長い動物です。生息地はエジプトやスーダン、アルジェリアなどの砂漠地帯に多い体の小さな狐です。フェネックの耳もおそらくうさぎと同じように音を捉えるために大きいと考えられます。砂地で獲物を見つけ出すのに大きな耳は役に立ちます。また、砂漠という暑い地帯では体温の放熱も重要だと考えられます。フェネックの大きな耳は体温を調節するのに役立っていると思われます。
フェネックはアニメ「けものフレンズ」でも登場して話題になっています。ペットとして販売されていて日本で購入することもできます。
うさぎで耳の長いものはたくさんいますが、ホーランドロップはたれ耳がかわいいうさぎです!
外耳の発達と耳の良さの関係は?
ちなみに私達が普段耳といっている部分は解剖学的には「耳介(Outer Ear)」と呼びます。耳は鼓膜なども含めた全体も耳ですのでそれぞれの呼び方があります。
Figure is in the Public Domain.
耳介は図のように外に張り出した部分のことです。この耳介は音を集音するのに役立ちます。ならばこの耳介が発達していると耳がよいのかというと実はそうでもありません。
鳥類は耳がよく発達しているにもかかわらず哺乳類のような耳介はありません。フクロウは耳が良いですが耳介はなく楕円形の穴が空いているだけです。なぜ外耳がなくても音の方向などを正確に把握できるか?についてはHans A. SchnyderらがPLOS ONEという学術雑誌に2014年に論文を投稿しています。
論文によると外耳がなくても鳥の球形に近い頭に対する音の回折によって生じる雑音?などを利用して音の方向を把握しているようです。
SCHNYDER, Hans A., et al. The avian head induces cues for sound localization in elevation. PloS one, 2014, 9.11: e112178.
ウサギの耳の長さと生息地は関係があるのか考察
ウサギの耳が放熱のためであるなら、砂漠地帯など、暑い場所に住んでいるうさぎと北極など寒い地域に住んでいるうさぎの間で、耳の長さ、大きさが異なるはずではないですか?
おそらく、暑い場所にいるうさぎは体温を効率的に逃せるように長く大きい耳を持っているはずです。そこで乾燥帯に住むうさぎを調査していみました。
それがジャックラビットです。ジャックラビットは北アメリカの砂漠地帯に住んでいるうさぎのようです。写真を見ていただきましょう。
ジャックラビットの耳は長く大きいですね。バランスが悪いです。やっぱり温かい場所にいるうさぎは耳で放熱しているんでしょうかね?
では、寒い地域に住んでいるうさぎはどうなのか?
下にあるのが、寒い地域の代表である北極に住んでいる「北極ウサギ」の写真です。
先ほどのジャックラビットと比べて北極ウサギの耳はかなり小さいです!が、普通のウサギと比べてものすごく小さいか?と聞かれれば、あまり違いはないのかな?とも思ってしまいます。ただ耳のふさふさ具合はかなりのものです!ただ、なぜか足の毛が少ないのはどうしてなんでしょうか?寒そうですけど。
例外もある?アマミノクロウサギの耳はなぜ短いのか?
奄美大島や徳之島に生息するアマミノクロウサギは暖かい地域に住んでいるにもかかわらず耳が小さいです。
他のウサギと比べて顔立ちがネズミに近いような気もします。似ているのには理由があります。ウサギとネズミは非常に似た種であり、かつてはウサギはネズミと同じ「げっ歯目」に分類されていました(現在はウサギ目)。
アマミノクロウサギはウサギの中でも原始的であるためネズミに近い小さい耳、足も短く飛び跳ねないようです。
公益財団法人・日本ナショナルトラスト協会、”アマミノクロウサギとは?” http://www.ntrust.or.jp/trust_project/amakuro/about_amakuro.pdf
また、アマミノクロウサギの習性も耳の短さに関係があるとされています。
アマミノクロウサギは巣穴をほる「アナウサギ」であるため、長い耳や長い手足は邪魔になるという理由です。
実際にネザーランド・ドワーフなどの他のアナウサギも耳は短めで、手足も短いです。
穴に潜っていれば天敵に襲われにくいですし、地上で生活するウサギほど長い耳で集音する必要がないのかもしれませんね。
結論
耳の大きさはウサギの住んでいる地域や習性に適したカタチに変化している!
大きい耳を持つウサギは
- 熱い地域にいるウサギ
- 地上で天敵に襲われやすいうさぎ
小さい耳を持つウサギは
- 寒い地域にいるウサギ
- 巣穴をほるアナウサギ
という特徴があることがわかりました。