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食品の腐敗を化学的に解説!

食品の腐敗

食品の腐敗はカビや細菌によるものと思われていますが、「腐る前の食品」と「腐ってしまった食品」の間に一体どのような差があるでしょうか。なぜ腐った食品を食べると下痢を起こしたりするのでしょうか。

ここでは「腐る」という現象を化学的に解説していきます。

記事の内容

  • 腐った食品中の化合物どんな化学変化を起こしているか?
  • どんな化学物質が健康に悪影響を与えるか?
  • 「腐りやすさ」は一体何に由来するのか?

腐敗の化学反応

食品には腐りやすいものと腐りにくいものがあります。

生肉は腐りやすい

レーズンは腐りにくい

生肉や生野菜などは常温で放って置くと変色したり、臭いを発したりしてすぐに腐っていきます。一方で、レーズンや梅干し、切り干し大根などは長期間放置しても腐りません。

この違いはどこにあるのか、化学的な視点で見ていきましょう

酵素反応で起こる腐敗

いわゆる「腐敗」という現象は、食べ物に含まれる成分の

  1. 食品自体が持っている酵素による分解
  2. 微生物による分解

で起こります。

腐敗によって分解される物質の中心はタンパク質(アミノ酸の重合体)とそれを作っているアミノ酸です。

つまり、食品の腐敗とはタンパク質やアミノ酸が分解されて別の物質に変化することとも言えます。

タンパク質・アミノ酸の分解反応

アミノ酸の腐敗に関わる化学反応の種類として

  1. 脱炭酸
  2. 脱アミノ
  3. 還元(アミンオキシド)

が挙げられます。

MEMO

・アミノ酸の化学変化が「腐敗」で重要
・腐敗の化学反応は、1.脱炭酸、2.脱アミノ、3.還元(アミンオキシド)である。



脱炭酸反応ーCO2が飛んでいく反応

炭酸水は水に「二酸化炭素:CO2」が溶け込んだ液体です。炭酸水から二酸化炭素が抜けると(“脱”すると)ただの水になりますよね?

つまり、
炭酸水= {「水:H2O」+「二酸化炭素:CO2」} ー 「二酸化炭素:CO2」= 「水:H2O」です。

化学反応でも同じようにCO2が抜けていく反応(脱炭酸反応)というものが起こります。

アミノ酸にはカルボン酸(COOH)の構造が含まれています。

このカルボン酸からCOOがとれていく(脱炭酸)とアミンという化合物に変化します。

下図が脱炭酸によって作られる化合物の一覧です。

腐敗した食品が臭い理由

アミノ酸の脱炭酸反応によって生成するアミン(ーNH2)は臭い構造として有名です。

例えば、厳密にはアミンとは違いますが身近なアミンとしてはアンモニア(NH3)などがあります。アンモニアは刺激臭を持っていて、夏場の仮設トイレの鼻をツンとさせる刺激臭はアンモニアによるものです。虫刺され薬のキンカンなどにも含まれています。

腐った食品にはアミノ酸の脱炭酸反応によって、このアミンが作られるため、臭くなるのですね。

アミンは体に影響を与えやすい

ドーパミンという名前聞いたことがあるとおもいます。

このドーパミンは神経伝達物質で、脳に作用します。

ドーパミンを英語で書くと(dopamine)

そうですドーパミンもアミンです。化学構造は、チロシンが脱炭酸してできるチラミンに非常によく似た構造をしています。

ドーパミンとチラミンの構造

ちなみにグルタミン酸が脱炭酸してできるγアミノ酪酸は通称GABA(ギャバ)と呼ばれて食品に入れられている例もありますね。これも神経伝達物質で脳に作用します。

このようにアミン類は脳(中枢神経)に作用するものが多いため、頭が痛くなったり、吐き気や目眩などの副作用が起こります。

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