目次
ベンゾイン縮合について
ベンゾイン縮合は芳香族アルデヒドがシアン化物イオン存在下で縮合を起こしてα-ヒドロキシケトン(アシロイン)を生成する反応のことです。
アルデヒドの種類によって供与体として働くか?受容体として働くのか?決まるため、別種のアルデヒド同士を用いるときは、うまく組み合わせを考えましょう。
例えばp-ジメチルアミノベンズアルデヒドは供与体としてのみ働きます。
チアゾリウム塩が弱塩基の存在下にこの反応の触媒となることが分かっています。チアゾリウム塩を用いるベンゾイン縮合は、エノール化しないアルデヒドやエノール化できるアルデヒドにも適用でき、また不斉触媒としても利用できることから、元々の手法よりも合成化学的有用性が高いです。
脂肪族アルデヒドに関してもベンゾイン縮合を用いることができ、脂肪族アルデヒドと芳香族アルデヒドの混合物は混合ベンゾインを与えます。チアゾリウムイオン構造をもつイオン性液体が、少量のトリエチルアミンの存在下にベンゾイン縮合を起こすことや、キラルなチアゾリウム塩を用いる立体選択的ベンゾイン合成も報告されています。
反応機構
ベンゾイン縮合は
- まずシアン化物イオンがアルデヒドに攻撃してシアノヒドリンが生成するところから始まります。
- 通常アルデヒドの水素の引き抜きは起こりにくいですが、シアノ基による強い求電子性によって酸性度が高くなっており、引き抜かれます。
- 生じたカルボアニオンはもう一方のアルデヒド受容体と反応します。
- シアノ基の脱離に伴ってカルボニル基が再生し、アシロインが生成します。