テアニンは茶葉などに含まれる成分でリラックス効果、睡眠改善効果などがあると言われています。
茶に含まれる「カテキン」と名前が似ているのでその仲間のような気がしますが、全く別の種類の化合物です。
カテキンはポリフェノールの一種であるフラバノールの仲間です。
一方でテアニンは「アミノ酸」の仲間です。
テアニンとは?
テアニンは茶葉に含まれるアミノ酸の一種です。グルタミン酸やグルタミンに構造が近いです。
グルタミン酸は味の素など、うま味調味料の成分ですが、テアニンも茶葉に含まれる旨味成分の一つです。
テアニンは茶や菌類などの一部だけしか見つかっていない特殊なアミノ酸です。
このテアニンに関してはリラックス効果など、生理作用が話題に取り上げられています。睡眠改善効果をうたった商品中にテアニンが含まれていることも多いです。
テアニンのこうした生理作用は科学的な裏付けがなされているのでしょうか?
テアニンの効果
テアニンを摂取した後の脳波を測定した所、リラックス状態を示すα波が観察されたという研究がテアニンのリラックス作用に注目を集めた発端のようです1)。
テアニンは血液脳関門3)を通過できることが研究により示されていることから脳に直接作用する可能性もあります。
テアニンの効果として報告されているもの
- リラックス作用 (緊張や不安を和らげ、抗抑うつ、鎮静作用)
- カフェインの興奮抑制作用2) (in vivo)
- セロトニンの減少&カテコールアミンの増加 (in vivo)
- GABA量の増加 (ラット)
- AMPAおよびNMDA受容体へのアンタゴニスト作用 (in vitro)
- 睡眠改善効果(眠くなるという作用ではない)5)
リラックス効果については、200 mgのテアニン摂取で脳は測定により効果を確かめた所、不安を感じやすいヒトでより高いリラックス作用が認められていました4)。
睡眠改善効果についてはいくつかの研究が行われています。テアニンを摂取することによって眠くなるというような効果ではなく、中途覚醒頻度の減少など睡眠状態の維持を改善するというような睡眠改善効果は認められています。睡眠薬のような効果ではないので注意が必要です。
テアニンの生合成
テアニンは玉露に多い成分です。根で生合成されて葉に蓄えれています。これは根で生成したエチルアミンをテアニンとして蓄えていると考えられています。放射性エチルアミン(14C)を用いるとテアニンのエチルアミド部位に局在していることから、エチルアミンがテアニンの基質であることが示されました。テアニンはリガーゼの作用によってグルタミン酸とエチルアミンの縮合により生成していること考えられています。
参考文献
1) Juneja, L.R., et al, Trends in Food and Technology, 10, 199-204, 1999
2) R. Kimura and T. Murata, Chem.Pharm.Bull., 19, 1257-1261 (1971)
3) 木村 良平,栗田正子,村田敏郎:薬誌,95, 892-895(1975)
4)小林加奈理, et al. L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響. 日本農芸化学会誌, 1998, 72.2: 153-157.
5)小関誠, レカラジュ・ジュネジャ, and 白川修一郎. “アクチグラフを用いた L-テアニンの睡眠改善効果の検討.” 日本生理人類学会誌 9.4 (2004): 143-150.