グリニャール試薬や有機リチウム試薬をアルデヒドにする方法は炭素を求核剤として求電子的なホルミル化剤を利用すればアルデヒドを合成できます。
有機金属試薬のホルミル化によりアルデヒド合成
特に有機金属化合物が調製しやすい芳香族分子のホルミル化が便利です。
ホルミル化剤としてはDMFやN-ホルミルピペリジンなどが使われています。
ブチルリチウムによってアリールハライドのハロゲン-リチウム交換反応より位置選択的に簡単にアリールリチウム試薬が合成できます。位置選択的なホルミル化という点で有用です。
グリニャール試薬をホルミル化
グリニャール試薬はブロモ、ヨードアルキルから簡単に調製できる有機金属試薬です。
グリニャール試薬をホルミル化する方法にはいくつかありますが、DMFやN-ホルミルピペリジンがよく使われているようです。また、ワインレブアミドのホルムアミドも高収率です。
古典的な方法としてはオルトエステルを使う方法がありますが、ホルムアミド類を用いたほうが収率が高いです。
ホルムアミド類の中ではN-ホルミルピペリジンが良く使われていて収率もよい気がします。入手性などを含めると安価でどこにでもあるDMFが使いやすいかもしれません。収率も対して変わらないです。
グリニャール試薬を過剰に用いると酸素がMgOとして脱離して第三級アミンが生成することがあるので注意します。
有機リチウム試薬を使ったホルミル化
芳香族有機リチウム試薬は芳香族ハライドとアルキルブチルリチウムによるハロゲン-リチウム交換反応やオルトリチオ化などによって合成することができます。
有機リチウム試薬のホルミル化もグリニャール試薬のホルミル化と同じくホルミル化試薬としてDMFやN-ホルミルピペラジンなどが使われます。
反応例1 N-ホルミルピペリジンとリチウム試薬
窒素雰囲気下、0°Cで原料(504 mg、1.87 mmol)をLDA(2 M、1.4 mL、2.8 mmol)THF(30 mL)溶液に加えて室温で1時間撹拌した。その後 -78℃に冷却し無水N-ホルミルピペリジン(0.31mL、2.80mmol)を加えて室温で12時間撹拌した。希HCl水溶液を加えて沈殿を回収し、目的物を得た(68%)
ブロモはdirect metalation groupでLDAによるオルト位のリチオ化を行い、ホルミルピペリジンによるホルミル化を行っています。収率は中程度です。
反応例2 Nホルミルピペリジンとリチウム交換
原料(6.78 g、29.6 mmol)のTHF(30 mL)溶液をN2下ー78℃に冷却しま、n-BuLi(2.5 M、14.1 mL、35.2 mmol)を滴下して加えー78℃で1時間撹拌した後、N-ホルミルピペリジン(6.1mL、6.63g、55.6mmol)を加えた。反応混合物を室温に到達させた後、12時間撹拌した。 反応後飽和塩化アンモニウム溶液(10 mL)でクエンチし、濃縮、分液して得られたクルードをカラム精製して目的物を90%で得た。
反応例3 iPrMgClのホルミル化
THF中の2M塩化イソプロピルマグネシウム(1.5mmol)をAr下でフラスコ内のTHF(10ml)に加えて0℃に冷却し、THF(2.5ml)に溶解した原料(0.250g、1.15mmol)を温度を2℃未満に保ちながら10分間滴下した。 20℃でさらに2時間反応させて THF(2.5 mL)、N-ホルミルピペリジン(1.5mmol)の溶液を添加し、反応物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を1M HCl 10mLに注いで、EtOAc(1×20mL)で抽出した。有機層を濃縮し、カラム精製して目的物を43%で得た。
グリニャール試薬を使った例です。