固体同士でも反応できる!無理に溶媒に溶かす必要が無い?
溶媒に溶かして反応を行うのが当たり前になっている人では考えもしないかもしれませんが、固体と固体でも反応は進行します。
例えば、塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて加熱することによって、塩化カルシウムとアンモニア、水が発生するのは高校化学でもでてきた「アンモニア」発生方法の一つです。
このように固体同士でも効率は悪そうですがきちんと反応が進行します。
どうやって固体同士の反応をやる?
固体同士で反応をかける場合の欠点はやはりかき混ぜにくさです。たとえ反応が進行するにしてもうまく撹拌してあげないと反応が遅くてものすごく時間がかかる可能性があります。
撹拌と言っても液体と同じように撹拌子で撹拌しても固体が大きかったり沢山入ったりしているとうまく撹拌できません。
そこで使用するのが「ボールミル」です。ボールミルとは金属あるいはガラス、セラミックビーズを容器にいれて、回転、振動させることによって、固体をすりつぶしながら反応させる装置です。2019/01/10には北海道大学の伊藤肇教授らのグループがボールミルを使用した固体同士のBuchwald-Hartwigクロスカップリング反応を行ったとNature communicationに発表して話題になりました。
固体反応の利点は溶媒を利用しないので、環境負荷、コストが低いところだと思います。また物質によっては液体に溶けにくいものがあるのでそういった物質の反応に有利だと考えられます。
ボールミルで反応をやる方法
ボールミルといってもどこの実験室にもあるわけではないと思います。しかし、原理は単純なので身近なもので代用することができます。反応によって使えるビーズは変わりますが、セラミックス、スチール、ガラスのビーズが使えます。ガラス容器は厚みのあるパイレックスなどの硬質ガラスのものが使えます。容器が割れることもあるのでスリ付きの試験管などがよいかもしれません。ビーズは容器内を自由に動き回れるような細かさのものを用います。
ボルテックスミキサーなどで撹拌して反応させます。固体はある程度細かくさせてからのほうが反応しやすいです。乳鉢などですりつぶして粉末にすると良いと思います。