この記事では脂肪族アルコールから臭化物への変換(R-OH→R-Br)についてまとめます。
アルコールを臭素化する方法
アルコールは原料として豊富で手に入りやすいことから様々な官能基に変換する足掛かりとしてよく使います。その中でもハロゲン化は簡単に変換でき、様々な反応の原料となるため利用価値が高いです。
大きく分類すと酸を用いる方法と中性の方法の2つがあります。
臭化水素酸による臭素化
臭化水素酸によってアルコールがプロトン化されて臭化物イオンが置換すると 水と臭化アルキルができます。
R-OH+HBr→H2O+R-Br
この反応では水がでてくるので、ディーンスターク装置を使って水を系中(反応フラスコ内)から出して反応を行うと反応が加速し、さらに酸加水分解などの副反応をおさえられるかもしれません。
・原料が酸に強い場合はおすすめ! (単純な脂肪族アルコール、ジオールをジブロモ体に変換等ではファーストチョイス!)
・試薬が安くて手順が簡単なので大スケール向き
・単純脂肪族アルコールなどはUVがないのでリンモリブデン酸などの発色試薬でTLCを確認します。
・ベンジルブロミドなどは反応性が高いので気をつける。室温に放置したりしない。
・極性が結構下がるのでTLCの展開溶媒は注意する
・ドラフト内で必ずやる。臭化水素酸は危険
・ディーンスターク装置は必ずしも必要ない。MSとかつかって工夫する
・トルエンは沸点が高いので、原料の分子量が小さいときは沸点が低いのでベンゼンやヘキサンなどの沸点が低いものを使用する。
アッペル反応
CBr-PPh3を用いた変換反応(アッペル反応)は直接的で広く用いられています。しかし、副生成物としてトリフェニルホスフィンオキシドができるので、後処理と精製が少々面倒になってしまう欠点があります。
メシル基を経由した反応
アルコールにメシル基を導入してメタンスルホン酸エステルに変換した後、臭化リチウム等で処理して臭化アルキルを得る方法もあります。こちらは2段階かかりますが、精製や後処理が容易で、酸に弱いものでも変換できる利点もあります。また、場合によっては得られた臭化物を精製なしで次のステップに使うこともできます。
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