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魚を食べると頭が良くなるのは本当?

魚を食べると頭がよくなる

魚を食べると頭が良くなる理由は?

「魚を食べると、頭、頭、頭、頭が良くなるー」という歌が昔流行りましたが、ご存知でしょうか?魚を食べると頭が良くなるという話が一般的に言われるようになったのはこの歌がきっかけかもしれません。

頭が良くなるというのは、「魚に含まれる栄養成分(化学物質)が脳(中枢神経系)に作用する」ということですよね?魚の成分のうち関係しているのは「脂肪」です!

魚に含まれている脂肪のうち、DHA(ドコサヘキサエン酸)が脳の学習機能を改善するという研究結果が報告されています。ではなぜ脂肪が脳機能を向上させるのでしょうか?


脳には脂肪がたくさんある

実は脳には「脂肪」が豊富に含まれています。なんと脳の乾燥重量の50%は脂肪*1であるといわれています。脳に含まれている脂肪成分には「多価不飽和脂肪酸」という種類の脂肪が多いという特徴があります。頭が良くなるといわれるDHAは多価不飽和脂肪酸という種類に含まれます。

n-3系(ω3系)多価不飽和脂肪酸の特徴

ω3系の多価不飽和脂肪酸は特に健康効果が注目されています。これらの脂肪酸は体で作ることが出来ないので、栄養素として摂取しなければいけません。いわゆる必須脂肪酸と呼ばれる分類です(α-リノレン酸、EPA、DHA)。たくさん含まれている食品としては、話題のえごま油や亜麻仁油、青魚などに豊富に含まれています。

多価不飽和脂肪酸は二重結合が加熱などに弱く酸化されやすいです。食べるときはサラダやトーストなどにかけて食べると言う方法がおすすめです。

*1) Y. Yokogoshi, nippon nogeikagaku kaishi, 1995, 69, 571.

不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸(化学的な話)

脂肪酸は炭化水素にCOOHが結合した化学物質の総称です。そのうち、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に別れます。実はお酢成分の酢酸も脂肪酸の仲間に入ります。特に油脂と言われるものは炭化水素鎖が長いものを指します。不飽和脂肪酸は植物性の油に多く含まれていて、飽和脂肪酸は動物性の油に含まれています。不飽和脂肪酸は常温で液体で、飽和脂肪酸は固体のものが多いです。実際に動物性の油脂であるバターは飽和脂肪酸が多く、固体ですが、サラダ油は不飽和脂肪酸が多いため液体です。

不飽和脂肪酸飽和脂肪酸
由来植物性動物性
見た目常温で液体のものが多い常温で固体のものが多い
二重結合二重結合 有り二重結合 無し
リノレン酸 DHAパルミチン酸、ステアリン酸

脂肪酸の構造

不飽和脂肪酸は構造式中に二重結合を含むものです。

オメガ3とかオメガ6とかは、COOHの反対端から数えて何番目の炭素に二重結合があるかを指しています。DHAは末端から3番目に二重結合があるため、ω3系の不飽和脂肪酸です。ちなみにトランス脂肪酸は二重結合の結合部分がトランス体になっています(画像のものは全てシス体)

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DHAやEPAの効果は?

DHAやEPAは青魚に含まれる不飽和脂肪酸で、身体に様々な働きを示すことが明らかになっています。DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳に多く存在する成分で、食事から摂取する必要があります。DHAの効果はたくさんありますが代表的なものとして

  1. 中枢神経系(脳)への作用ー学習機能の向上?
  2. 血栓症の予防(血液凝固による血栓を防ぐ→心筋梗塞・脳卒中)
  3. 動脈の弾性向上(動脈硬化予防)

などがあります。特に2と3は、医薬品として「ロトリガ」というEPA/DHA製剤が発売されていることからも人体への効果が確認されています。

DHAと脳機能の関連性が研究されるようになったきっかけは、脳にDHAが豊富に存在しているからだと思います。DHAは大脳皮質に含まれるリン脂質の30-40%を占めると言われています*2。ラットやマウスを使った実験では、脳内に含まれるDHA量の低下が学習機能の低下と関係し*3、脳内DHA量の増加によって学習機能が向上することが報告されています*4。一方でそのメカニズムについては不明な点が多く人体における効果は確かめられていません。ちなみにDHAは脳に必要であるにもかかわらず、ニューロンはDHAを生合成するための酵素が欠如しているため、DHAは食餌から摂取するか、肝臓内で同じくω3系脂肪酸のα-リノレン酸から合成され、脳に移送されます。

*2)L. Lauritzen, et al. Orog.Lipid.Res., 2001, 40, 1.
*3) N. Yamamoto, et al. J. Lipid Res., 1987, 28, 144.
*4) I) S. Gamoh, et al. Neuroscience, 1999, 93, 237. II)S. Y. Lim, H.Suzuki, J.Nutr., 2001, 130, 1629

DHAとの関連性

・酸化ストレスとDHA

DHAは二重結合を複数持つ脂肪酸であり、空気中では酸化されやすく過酸化脂質を生じやすいという特徴があることから、脳内の酸化ストレスとの関連が研究されています。特に海馬は酸化ストレスの影響を受けやすく、加齢に伴う脳機能の低下が海馬における過酸化脂質量の増加に伴う酸化ストレスが原因の一つであると考えられています。

・ニューロン膜への物理化学的影響

DHAの含有比がニューロン細胞膜の流動性を変化させることが分かっている。膜流動性の変化がニューロンの機能を変化させる可能性がある。

・脳機能の発達への影響

脳内のDHA量は子供の脳の発達につれて大きく増加することから、脳の発達とDHAに関連がある可能性がある。動物実験では、授乳期のDHA不足が脳機能障害を生じることが報告されています*5

*5) T. Moriguchi, et al. J. Lipid Res., 2004, 45, 1437.


DHAはどうやって摂取する?

DHAはお魚にたくさん含まれているので魚を食べるようにしましょう。

魚の種類可食部100gあたりのDHA量
ブリ 焼き1900
ブリ 生1700
サンマ 生1600
マサバ 焼き1500
アジ干し 焼き1300
うなぎの蒲焼1300
サケ 生1200
サンマ 焼き1200
マイワシ 焼き980
カツオ 生970
イワシ 生870
アジ 焼き820
シシャモ 焼き670
アジ 生570

※文部科学省「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)脂肪酸成分表」より可食部100gあたりのDHA量(mg)

青魚に多い傾向があります。ブリやサンマ、ブリに多いです。

DHAは熱によって減少する傾向がありますが、揚げ調理でなければ問題ないです。

魚を食べるのは大変だと言う方はサプリメントで摂るのもおすすめです。検査で血中脂質が高い方は摂取すると良いかもしれません。

魚を食べると頭が良くなるというメカニズムについては明らかになっていません。ただし、脳にはDHAがたくさん存在しているので不足したりすると悪影響が及ぼされたり、DHA摂取が脳によい影響を与える可能性があります。魚の摂取(ω3系脂肪酸の摂取)が不足しているような人は気にしてみてもよいと思います。

必須脂肪酸とは?

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