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研究者の労働時間や休日はどうなっているの?

研究者の休日と労働時間

あなたは将来、研究者になりたいと考えている人ですか?

大学学部生や大学院生は大学に残って研究がしたいと思っている人もいると思います。

世の中「働き方改革」として残業を減らすとかそういった取り組みがなされています。

研究というといわゆる「ブラック」なイメージが少なからずあると思いますが、実際はどうなんでしょうか?

今回は研究者の働き方として「労働時間休日」についてとりあげたいと思います。

研究者の休日 研究者にも種類が?

研究者といっても細かく分類すればたくさんの種類がありますが、大きく分けると大学と企業のどちらで働いているか?で大きく変わります。

企業に就職して研究を行う企業研究者の休日は会社で定められた休日が取得でき、研究職とほかの職で休日の差があるということはほとんどないです。労働時間についてもむしろ残業したくてもでき最近は厳しくなっていると思います。

一方、大学などで研究を行う研究員はどうでしょうか?

「土日も出勤、朝から終電までの研究」

ということもあります。企業と比べて大学は労働の管理があいまいです。

こめやん

圧倒的なブラックですね

給料をもらっている研究員だけでなく、同様のことが学生にも起こっています。

果たしてなぜこんなことが起こってしまうのでしょうか?


研究 = 労働?競争に勝つ?生き残る?

大学の研究といっても分野によって全く当てはまらない場合もあると思います。

私が見てきたラボの分野は「化学」「生物学」「工学」「薬学」「医学」がありますが、まあどこも似たりよったりです。機械とか情報とかの研究室はそこまでではないと思います。

有機系の化学や動物や細胞を扱う生物分野などはブラックなことが多いですね。

例えば、研究室には大体8時~10時くらいに来ることが求められることが多いです。コアタイム(例:9時~18時)が決まっているところもあれば、週に数回あるミーティングが朝9時から設定されているから大体9時に来いよという暗黙な了解的なところもあります。時間が決まっていない研究室もあります。これは部屋のボスの方針によるでしょう。

帰宅時間も研究室によりますが、18時から深夜までになることもあります。

これは学部生から修士-博士-ポスドク-助教にキャリアが上がっていくごとに厳しくなる傾向があります。下の人たちが残っていれば…ということもあります。

休日に関しては、土日が基本ですが、周辺では日曜のみということも多いです。土曜日にミーティングやセミナーなどを入れる研究室もあります。(最近は指導が入って土曜は休ませるようになっている?)

さらに、祝日の扱いですが、私立大だと休みではなくなることも多いのでそうであれば出勤です。さらに夏休みなどの長期休暇も研究室のボスの裁量になります。長期で1か月とれるところもあれば、数日というところもあります。年末から元旦も来ている人も結構いますね。

こめやん

こんなことを聞いてるとついていける自信が…研究者はちょっと…と感じてしまいますよ

一応、誤解のないように言っておきますが、すべての研究室でこうなっているわけではありません。もっと自由で労働時間が短いところもあります。ほとんどの研究室では休日出勤や深夜労働も強制されているわけではないです。私が見ていた限りの情報です。しかし、事実としてこんな状況になっていることもあることを紹介しています。

大学の研究者の労働時間が長時間になり、さらに休日出勤をせざるを得ない環境になってしまう原因を考えてみました。

  1. 研究が好き・趣味になっている
  2. 研究室の居心地がよく、ほぼ住んでいる(寝る、洗濯、風呂のために家に帰るとか)
  3. 自身の労働管理ができない
  4. 昇進や定職に就くために成果が必要だから
  5. 安定したポストが少ない
  6. 研究の都合上絶対に必要な実験操作をやりにいかなければならない
  7. 周りがバリバリやっている環境だから
  8. 基本的に実験をやればやるほど成果がでるから
  9. 自動化が進んでいない
  10. 研究室でないとできないことが多い
  11. やることが無限にある

いろいろと挙げてげてみましたが、まとめるとポジティブな要因としては「研究が好きだから」でネガティブな要因としては「競争社会で生き残りに研究成果が必要でそのためには研究室に行かなければならない」という理由があるようです。

研究が好き・趣味になっている

研究者を目指す人は本当に研究が好きな人が多いです。というよりも研究が好きでなければ大学の研究職に就こうという思いになる人はいないでしょう。なぜならば学部、修士、博士という研究職体験期間で十二分にどういう環境か?ということを理解できるからです。

研究が好きなので趣味的にもなってしまいます。好きなことなので、休日に映画を見たり、スポーツをしたりするのと同じように研究をするとリフレッシュします。研究の本題からそれた、試験的な実験を休日にやって楽しむこともあります。

研究というとずっと実験しているようですが、実は実験は研究活動の一部で別の事務的な資料作成、講義、文献調査、会議、指導などがあるのでずっと実験できないのです。

研究室の居心地がよく、ほぼ住んでいる

研究室をのぞいた時に生活感が溢れているような時は、いい意味でも悪い意味でも注意が必要です。冷蔵庫があればのぞいてみるとその研究室がどういう研究室かがわかります(酒ばかり?エナジードリンク?作りかけの料理?)。炊飯器は?洗濯物があったり、寝袋はありますか?もしそれらが発見できる場合は家に帰らない研究室かもしれません。

研究をやっていると家に帰るのが面倒になってくる人がいます。時間を節約するために家に帰るのをやめる人もいます。

労働時間も何もないですが、逆に言えばそれだけ居心地が良いということです。研究・仕事が人生になっています。一方で強制労働的になっている場合もあります。顔や雰囲気で分かるはずです。

自身の労働管理ができない

研究はたいてい自由裁量で労働します。つまり自分で労働を管理しなければなりません。しかし、ワークマネジメントができない人も結構います。おかしいと思うかもしれませんが、自分の限界を知らない人もいて、働きすぎてぶっ倒れる人もいます。だから、「休日はしっかり休んでおきなさい」と言われます。

休憩を適切に取れない人や「時間を効率良く使う」ではなく時間の区切りがつけられず「とにかく長時間やる」という意識を持っている人も多いです。成果のために長時間働こうとすると早朝から深夜まで、休日返上という事態になります。そういう人は週一日の休みも休めずにそわそわしてしまうので研究室に来てしまうようです。

昇進や定職に就くために成果が必要

研究者としてやっていくためには研究成果が必要です。たくさんの論文を書くにはたくさんの成果が求められます。研究はうまくいくことよりも失敗することのほうが多いです。ですから、立ち止まるわけにはいかず、とにかく貪欲に成果を求める必要があります。ポスドクや助教までは任期があり、数年で契約更新が必要です。競争が激しい准教授や教授のポストに就くためにはやはり成果が必要です。こうなるとどうしても、まさに生きるために研究をせざるを得ないのです。

安定したポストが少ない

企業の研究職とは違ってポスドクや助教は任期があり、契約の更新が必要です。成果が十分に上げられなければ契約更新できない可能性もあります。

研究の都合上絶対に必要な実験操作をやりにいかなければならない

研究は〇時間後に操作するというような時間に縛られる実験操作があります。といってもうまく取り組み始める時間を調整すれば休日出勤は回避できます。これがへたくそな人は家に帰れなくなったりします。

一方で相手が生物だとそうはいかなくなります。生物系の研究室にブラックが多いのもこの理由です。生き物なので一度飼い始めたら休日関係なしに飼い続けなければなりません。餌を一日一回あげるのならば一日一回あげに行く必要があります。家に持って帰れないので仕方ありません。

周りがバリバリやっている環境だから

周りがバリバリやっている場合、帰れない雰囲気、休日くる雰囲気になっていることもあります。○○さん最近は日曜こないですねというような圧(笑)をかけてくるひともいます。しかも成果が出ていなければこれが原因であると結論付ける人もいます。

基本的に実験をやればやるほど成果がでるから

実験操作は成果を出すためには必要な行為です。そのため効率とかいう話もありますが、基本的に実験をやるほど成果があげられるのも事実です。もちろん適切な休憩や休日のリフレッシュも必要ですが。

自動化が進んでいない

研究というと最先端の技術が!と思うかたもいると思いますが現実は違います。

研究者は頭脳を使うのが本分ですが、誰でもできるような作業的な実験に時間を費やさなければならないことも多いです。生物系はシンプルな操作が多かったりするので自動化・機械化などが進んでいる印象があります。

一方で有機化学は何十年も前から変わっていないかもしれません。有機系がブラックなのはこの部分が大きいかもしれません。反応から同定までにかかる時間は長いですが、ほとんどがだれでもできる手作業です。

研究室でないとできないことが多い

パソコンがあればどこでも研究ができるという以外では研究室に来なければ実験ができないことが多いです。そのために研究室に行かなければならなくなります。

やることが無限にある

とにかくやることは無限にあります。論文を読んだりすることもそうです。効率を考えると家で読むこともできますが、研究室に来て作業をするほうが何かとはかどります。

研究に没頭=長時間労働ではない

研究の成果をあげるために、ある意味で研究に没頭している、好きであることを示さんとして長時間の研究を行う人もいます。またそれを求める人もいます。しかし、長時間やればいいということではないことは確かです。それと同時に研究は研究室に縛られ、長時間の労働が強いられる環境であることも事実です。

研究者を持つ家族は深夜に寝るだけのために帰ってきて、休日も研究室に向かうパートナーを見て心配になると思います。家族は研究という仕事の特殊性も理解していただきたいところです。

自分の意志でやっているのであれば言うこともありませんが、長時間の研究が他人にプレッシャーを与えていることも理解しておきましょう。また焦る気持ちもわかりますがもう少し余裕を持てるようにするのも大切です。

最初は研究が好きでやっていても、好きではなくなって義務的に、生き残るために研究をやっているという人もいます。そうなるとつらくなるので転職なども視野に入れて柔軟に行動していきましょう

参考 私が研究者を辞めた理由 - 塞翁失馬、焉知非福塞翁失馬、焉知非福

ヨーロッパやアメリカなどの海外では休日は研究をやらないほうが主流のようです。休日もしっかりとって家族や友人との時間を過ごすようです。それでも研究成果を出しているので意識の変化も必要でしょう。

こめやん

分野によって違うと思いますが、研究労働環境の改善は急務ですね。研究者が心地よく研究できる環境を整えたいものです

若い人が研究をしたいと思えるような環境にしていきたいものです。

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