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再結晶で純度が上がるのはなぜ?

再結晶で純度が高くなる理由

再結晶は化学実験の中でも基本の操作ですが小学校から大学、企業まで利用する一般的かつ有用なものです。

よくある疑問のひとつに、再結晶で純度が上がるのはなぜ?という質問があります。今回はこの疑問についてできるだけわかりやすく解説していきます。

再結晶は現代でも超有用な精製方法の1つ

再結晶で純度が上がる理由は結論から言うと「結晶は基本的に単一の分子からなる固体」であるからです。

結晶が取り出せた時点でその結晶はほとんど単一の分子からできているため結果、結晶の純度が高くなります。

しかし、結晶ができたからといってそれが100%きれいな物質になるわけではありません。再結晶の溶液中に目的物質以外の化合物が多ければ、不純物が結晶の中に入り込んでしまう確率が上がります。

ですから、純度の高い化合物を得るためには何度も再結晶を繰り返す必要があります。

再結晶の目的

再結晶の目的の一つは「化合物の純度を上げる」ことです。

再結晶を繰り返すことによって、結晶化した化合物の純度を高めることが可能なので、混合物中から純粋な化合物を取り出すことができます。

このように混合物中から純粋な物質を取り出すことを「精製」といいます。

再結晶以外の精製操作としては、「蒸留」や「カラムクロマトグラフィー」「抽出(分液等)」などがあります。

現代技術によりHPLCやガスクロマトグラフィーなどが開発されていますが、再結晶は大量の化合物を高純度に精製するのに適した方法です

結晶の純度が高いのはなぜ?

結晶とは「原子や分子、イオンなどが規則的に配列している固体のこと」です。

結晶は固体の一種で、固体の中には不規則に並んでいるものもあります。

固体は同じ分子が寄り集まってできています。だから純度が高くなります。

例えば、砂鉄と砂を混ぜた状態を複数の化合物が液体に溶けた状態とします。ここに磁石を近づけると砂鉄のみが寄り集まってきます。この砂鉄だけが磁石に集まって固まっている状態が結晶のようなものです。

実際に磁石があるわけではありませんが、同じ分子同士は互いに引き合う性質があるため、同じ分子同士が集まって結晶ができます。だから結晶を作ると混合物中から一つの物質を取り出すことができます。

どうして再結晶は何度も繰り返す必要があるのか?

現実は、再結晶により結晶を作ったとしても100%きれいになるわけではありません。

その理由としては、

  1. 不純物も結晶化して混じる
  2. 小さい結晶と結晶の間に生じるすきまに不純物が取り込まれる

ことが挙げられます。

混合物中には目的物以外の物質も結晶化する可能性があります。これらが結晶になった場合、結晶の状態でこれらを分離するのは難しいです。

また、結晶の形成は一つの結晶(単結晶)だけでなく、小さな複数の結晶が集まった多結晶を作ることがあります。小さな結晶の集まりでは結晶と結晶の間に存在する界面(結晶粒界)に不純物が取り込まれてしまうことがあるため、純度低下が起こります。再結晶に使用する溶媒自体も不純物の例外ではありません。

だから、再結晶を行うときは、なるべく純度の高い溶液試料を使ったほうが純度の高い結晶を得やすいです。

高純度の再結晶を行うには?

通常の有機化学の分野では99.5%程度の純度であれば高純度であると考えられます。このくらいの純度であれば通常の再結晶で十分に達成可能です。しかし、エレクトロニクス材料に用いられる有機物や無機物の純度はこれよりももっと高い純度が要求されます。その場合はクロマトグラフィーや昇華、ゾーン精製などを組み合わせて精製します。

純度低下の原因となるのは性質が非常に近い化合物の精製です。これらの物質同士は昇華点や溶解度など多くの物理化学的性質が似ているので厄介です。これらの不純物質は結晶格子中に取り込まれやすいです。

例えば、アントラセンの蛍光は緑色といわれていましたが、実際は微量に含まれていたテトラセンによる影響を受けていて、きちんと精製するとアントラセンは青色の蛍光であることがわかりました。

ゾーンメルティング法は溶融液と固体の間で不純物の分配が起こることを利用した方法です。繰り返し再結晶を行うようなカタチになるため高純度な物質を得ることができます。融点まで加熱するため、熱に安定な化合物でなければ利用できないのが欠点です。

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