細胞内に存在するタンパク質分解が破綻することで、いくつかの疾患を引き起こすことが知られています。例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患はこのような分解できないタンパク質が蓄積してしまうことで異常を引き起こします。そこでPROTACsなどの新たなタンパク質分解法(プロテインノックダウン法)がこれらの疾患に対する新たな治療法として注目を集めています。
PROTACs: タンパク質分解誘導キメラ分子とは?
PROTACs: タンパク質分解誘導キメラ分子 (Proteolysis Targeting Chimeras)は、二つの異なる機能を持った分子をつなぎ合わせた分子(ヘテロ二機能性分子)で、ユビキチン-プロテアソーム系により細胞内の標的タンパク質を選択的に分解・除去します。すなわち、標的タンパク質(分解したいタンパク質)と親和性の高い分子とユビキチン-プロテアソーム系を誘導するような分子とをリンカーでつなぎ合わせた化合物です。
ユビキチンプロテアソーム系って?
生体内において、不要なタンパク質を分解する機構はいくつか知られており、その中でも代表的なタンパク質分解系としてはオートファジーと並んでユビキチン -プロテアソーム系が挙げられます。
参考文献
1) Nature Reviews Drug Discovery 16, 2 DOI: 10.1038/nrd.2016.211
2) Nature Chemical Biology volume11, pages634–635 (2015)
3) Funakoshi, MZ1(BRD4分解誘導物質), <https://www.funakoshi.co.jp/contents/66506> 2019年3月26日アクセス