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ビニール袋の有料化が日本で!意味や効果は?アメリカの対策状況は?

ビニール袋の有料化!意味や効果はあるの?

ビニール袋の有料化が日本でも開始される

ビニール袋の有料化がついに日本でも開始されるようです。

オリンピックを開催することもあって国際的な印象を良くしたいという思惑もあるといわれていますが、環境汚染対策を意図してビニール袋を禁止するようです。

実際にビニール袋の有料化や禁止は環境汚染、とくに海洋汚染を改善する一つの方法として世界ではすでにいくつかの地域で取り組まれています。

実際に世界では毎年5000憶~1.5兆個のビニール袋が消費されていると概算されてます(Clapp and Swanston、2009)

一方でビニール袋の割合は2%ほどといわれており、影響が大きいかどうかは難しいところでもあります。

日本の政府としての判断は2018年のG7では海洋プラスチック憲章への署名を拒否しています(米国も)。

国際的には海洋汚染はホットな話題であり、日本も反対ばかりしていられず、何らかの対策を求められいているという状況というわけでもあります。

なぜビニール袋を有料化するか?

ビニール袋が環境汚染、特に海洋汚染の原因の一つになっているといわれています。

ビニール袋によって汚染が起こる原因はプラスチックの安定性の高さにあると考えられます。

ビニール袋は軽く丈夫であるという用途上の利点がありますが、廃棄時にはその軽さや丈夫さのせいで、風に飛ばされ川に浮かんで流されて、長期間分解されないで環境中に残るという環境汚染しやすい欠点があります。

実際に海浜に流れ着く漂流ごみに多くのプラスチック製品があるのを見たことがある人も多いのではないでしょうか?

こうしたビニール袋のゴミは景観にも悪いので、観光業が盛んな地域ではビニール袋の使用を禁じる傾向があります。

また、ビニール袋などのプラスチックごみを鳥や海洋生物が誤って食べて窒息や腸を詰まらせるなど野生動物への影響も問題視されています。

ビニール袋汚染を食い止める方法

ビニール袋の汚染を食い止めるための方法は何があるでしょうか?

世界では様々な対策が講じられています。その例として、

  1. ビニール袋の使用を禁止する
  2. ビニール袋の有料化
  3. ビニール袋に対する課税
  4. 生分解性プラスチックの利用
  5. プラスチック汚染に対する教育

などがあります。

ビニール袋の禁止は最も直接的で効果のある方法ですが、少々短絡的な思考であり、消費者の利便性を損なったり、関連業界からの反発があります。

有料化は消費者の余剰なビニール袋の使用を抑える効果があると考えられています。

ビニール袋への課税は店側の無駄なビニール袋の提供を抑える効果があります。

生分解性プラスチックの利用はビニール袋が長期間環境に残るのを防止する効果がありますが、部分分解性のものはマイクロプラスチックを生成しやすいため問題があります。

教育は個人の無駄なビニール袋使用を抑えたり、廃棄削減につながります。

日本はこのうちビニール袋の有料化(無償提供の禁止)の対策を取ることに決まりました

ビニール袋有料化・禁止に対する議論

注意すべき点として、ビニール袋による環境汚染の議論の中心は「適切に廃棄されなかったビニール袋に対するもの」であることです。

海洋汚染など取り上げられている多くの問題は適切に廃棄されていれば起こらない問題です。

環境残存による汚染あるいはプラスチックの製造や燃焼によるエネルギー消費・環境汚染はビニール袋だけでなくすべてのプラスチック製品にも向けられるべきものです。

ビニール袋=悪・汚染の元凶

とあおる傾向は本来の目的とされている環境汚染の解決から遠ざける恐れがあります。

まずは目につきやすい日常の部分でプラスチックを減らせるところは?無駄なところは?代替可能なところは?と考えるとビニール袋に目がいくのは当然とも思います。

世界でのビニール袋排出抑制対策

世界の多くの地域でビニール袋に対する対策がなされています。英国、北米、オーストラリア、ドイツ、デンマーク、アイルランド、インド、中国など多くの国で対策が実施されている状況です。

アメリカ合衆国

アメリカでは2009年には年間1000億個のビニール袋を使用しています。

アメリカでは全面的にビニール袋を禁止する法律はありません。各州でビニール袋を禁止しているところがあります。

カリフォルニア州、ハワイ州、グアム、北マリアナ諸島、米領バージン諸島などいくつかの地域で使い捨てビニール袋を禁止しています。

禁止の内容は料金を設けるか、完全に禁止する2種類があります。生

例えば、カリフォルニア州では州全体で大手小売業者のビニール袋配布を禁止しています。

イリノイ州シカゴ市では、ビニール袋及び紙袋一袋あたり7セント(7円くらい)が課税されます。

州によっては紙袋も禁止しているところもあります。また、生分解性プラスチックであれば許可しているところもあります。

繰り返し利用可能なバッグもプラスチックだとアウトな州もあります(厚さが2.25mm以上ならOKという基準を設けているところもある)。

緑の地域はビニール袋を禁止している州、紫の地域は州の一部の地域で禁止している地域 (2019年2月)Image from wikipedia Delusion23 [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)]

日本のビニール袋有料化の効果・意味はあるのか?

もし地球規模でビニール袋を禁止したら、地球環境は本当に改善されるのでしょうか?

有料化によってビニール袋はどれほど削減されるのか?

そういった疑問はあると思います。

とりあえず環境への影響は置いておいて、ビニール袋の削減効果があるのか?という疑問について考えていきましょう。

結論から言うとビニール袋の有料化はビニール袋の使用を大きく抑える効果があると予想される方法です。

場合によっては90%以上も削減できるという報告もあります。

つまり、ビニール袋の禁止という強硬的な対策と同じくらいの効果が見込める可能性があります。

日本がとったビニール袋有料化などの方策は行動経済学でいうところの「ナッジ」にあたるものです。

英語のナッジは「肘で小突く」という意味がありますが、行動経済学におけるナッジは「強制することなく人々の選択・行動を誘導するアプローチ」のことを指します。

行動経済学における功績でノーベル賞経済学賞を受賞したシカゴ大学の Richard H. Thalerが提唱した概念です。

Thaler, Richard A., and Cass R. Sunstein. “Nudge: improving decisions about health, wealth, and happiness.” (2017).

有名なものがアムステルダムで男性小便器の尿の飛び散りを防止するために、狙ってほしい位置にハエのシールを張ったところ、皆がその的を狙うようになったので、飛び散りが減ったというエピソードがあります。

ナッジの面白いところは自由選択の余地が残されているところです。人々は強制されることに反発し、自分で選択することを好みます。

レジ袋の有料化がナッジを利用しているのは、一枚の価格が5~10円の負担と実際には負担してもよいくらいの金額であっても多くのひとがレジ袋を利用しなくなるという選択をするという予測をたてています。

つまり、レジ袋禁止という策をとらなくても、小さな金額を徴収するだけで大部分の使用を控えることをきたいしています。

レジ袋を買っても買わなくてもよいという自由選択を残しながら、多くの人が買わないという選択を取るだろうということです。
ナッジの利用は政治家と相性が良いといわれています。
なぜならば、禁止するというより強い強硬策をとると選挙に不利になるので、同じ効果をより温和な方法であげられるという点でナッジを利用するわけです。
アイルランド政府は2002年に1袋当たり0.15ユーロの税金を導入して以来、0.22ユーロに引き上げなどをしながら約90%の使用削減効果があることを公表しています。
イギリス・スコットランドにおいても5ペンスほどの料金を課すことで、80%の使用削減効果が得られていることを公表しています(2015年)
アメリカや中国などでも行われている取り組みの多くは少なくとも50%以上のビニール袋の削減に成功しているようです。
したがって、日本のビニール袋有料化も一定の効果があげると期待できます。

ビニール袋の削減は環境汚染に対する効果はどのくらいあるのか?

Jambeckらは2015年論文で2010年に海洋に流れ込んだプラスチックは世界で480-1270万トンと予測されています。

ゴミの10%がプラスチックといわれています。

地域差が大きいですが、海洋ごみの60-80%がプラスチックによるものであるとShrhooffらは2016年に報告しています。

T.J. Surhoff, B.M. Scholz-BöttcherQualitative impact of salinity, UV radiation and turbulence on leaching of organic plastic additives from four common plastics — a lab experimentMar. Pollut. Bull., 102 (1) (2016), pp. 84-94

近年話題になっているマイクロプラスチックの問題もあります。なぜなら、海洋のマイクロプラスチックは浮遊プラスチックの劣化・粉砕によって生まれているものがあるからです(二次マイクロプラスチックと呼ばれる)。

より小さなプラスチックは容易に魚類などによって蓄積し、それが人体に入るなどして人への直接的な被害・未知の毒性などの懸念があります。

日本のマイクロプラスチック汚染の現状と対策!環境省の取り組み

むしろこのマイクロプラスチックによる被害のほうが重大であるといわれています。

プラスチックごみに対するビニール袋の割合は2%ほどといわれており、割合としてはすくないですが、軽いために海に流れ着きやすく、さらに薄いため、紫外線や波による物理的な分解によってマイクロプラスチックになりやすいということが示唆されているので、この点では環境対策にはなりえるでしょう。

いずれにしても環境汚染は一つをやめればよいといような単純なものではないので、単純な禁止などではなく、包括的な対策を持続していく実施する姿勢が重要ですね。

参考

参考 Phase-out of lightweight plastic bags in the United States - Wikipedia取得できませんでした
Rivers, Nicholas, Sarah Shenstone-Harris, and Nathan Young. “Using nudges to reduce waste? The case of Toronto’s plastic bag levy.” Journal of environmental management 188 (2017): 153-162.
Zhu, Qunfang. “An appraisal and analysis of the law of “Plastic-Bag Ban”.” Energy Procedia 5 (2011): 2516-2521.
Xanthos, Dirk, and Tony R. Walker. “International policies to reduce plastic marine pollution from single-use plastics (plastic bags and microbeads): a review.” Marine pollution bulletin 118.1-2 (2017): 17-26.
板谷祥奈, and 竹内穂波. “「ひじで軽くつく」 ナッジ,「そそる」 仕掛け.” 大阪大学経済学 68.1 (2018): 167-168.
リチャード・セイラー, キャス・サンスティーン, and 遠藤真美. 実践 行動経済学. 日経 BP, 2009.

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