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塩化パラジウム:硫黄やリンのTLC発色試薬

塩化パラジウムTLC発色試薬の特徴と作り方

塩化パラジウム:硫黄検出が得意な発色試薬

パラジウム源として重要な塩化パラジウム化合物はカップリング反応だけでなく、TLCの発色試薬としても利用できます。とくに塩化パラジウムはリンモリブデン酸などの万能発色試薬では焼けにくい化合物(ホウ素化合物)の発色が可能である点や硫黄化合物が黄色系スポットで判別できる点が特徴です。


塩化パラジウムで発色する原理

塩化パラジウムの発色はリン、硫黄、窒素などを含む化合物との錯体を形成によるものであると考えられています1)。特に硫黄やリンとの錯体形成が重要です。

塩化パラジウム発色試薬の作り方

  1. 塩化パラジウム(II) 500 mg
  2. 塩酸 2.5 mL
  3. エタノール 100 mL

塩化パラジウムと塩酸、エタノールを加えて溶液とするだけです。塩化パラジウムは溶けにくいので超音波などを使って溶解させます。

塩化パラジウム発色試薬の保存方法

塩化パラジウム発色試薬の保存は室温で1ヶ月程度と言われていますが、数ヶ月以上保存していても使用できます。

塩化パラジウム発色試薬の使用方法

展開後のTLCNI塩化パラジウム発色試薬溶液にディップ、またはスプレーして乾燥後、ホットプレートで加熱します(120℃で10分間)。化合物によっては加熱しなくてもスポットが観察できることがあります。

塩化パラジウムで焼いたとき、TLCの背景は淡黄褐色で、リン系の化合物の発色は黄褐色~黒色、チオールやスルフィドは黄色~橙、褐色に焼けます。

1)庄山正敏, & 宮地雄三. (1977). 塩化パラジウムと p-ニトロソ-N, N-ジエチルアニリンを利用した含硫黄有機リン系殺虫剤の比色定量. 分析化学, 26(5), 338-343.

2)MATSUNAGA, A., & KUSAYANAGI, S. (1981). Determination of Sulfur Compounds in Lubricant Base Oils by Palladium Chloride-Impregnated Thin Layer Chromatography. Journal of The Japan Petroleum Institute, 24(5), 298-304.

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