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MnO2酸化ー二酸化マンガン酸化

二酸化マンガンは穏やかな酸化剤としてアリルアルコールを酸化するのによく利用されます。二酸化マンガンと過酸化水素が反応して水と酸素が生じるというのは有名な二酸化マンガンの反応例です。この反応についてはまだ詳しい機構はわかっていないようですが、二酸化マンガン表面と溶け出したマンガン両方で反応が起こっているようです。中間体としてスーパーオキシド(O2-)が生じているようですね。この辺の話が最近の論文になっている(Do, Si-Hyun, et al Chemosphere 75.1 (2009): 8-12.)のは面白いですね。

二酸化マンガンの特徴!
アリルアルコールを酸化する時のfirst choice
飽和アルデヒド存在下アリルアルコール選択的に酸化できる
穏和な酸化方法(アルデヒドで止まる)
反応・後処理が簡便かつ安価

MnO2酸化とは?

MnOC酸化は最もマイルドで安価かつ簡便な酸化方法の一つで、主にアリルアルコールを酸化してαβ不飽和アルデヒド・ケトンを得るのに用いられる試薬です。ベンジルアルコールの酸化にも使えます。不均一系(溶媒に溶けない)で反応が進行するため後処理はセライトやシリカゲルでろ過するだけです。欠点は、

  • 試薬が大過剰必要である点(10-50eq)
  • 電子豊富なアルコール以外は酸化が進行しにくい(飽和アルコール等は難しい)

です。飽和アルコールも一応は酸化反応は起こりますが、長時間、加熱の条件が必要です。

利点としては、

  • 他のアルコール存在下でアリルアルコール選択的な酸化が可能
  • 反応が簡単、楽、安い



条件・操作手順

・反応条件

原料のアルコールを溶かしたジクロロメタン中に二酸化マンガン(10-50eq)を加えて室温で数時間撹拌します。TLCで反応チェック(アルデヒドはDNP発色試薬でチェック)反応後、ろ過(セライトとか)してよく洗浄し、濃縮後、精製します。

  1. 溶媒

ジクロロメタンを主に使います。アセトン、ベンゼン、トルエン、THF、ジオキサン、MeCN、DMF等も使用可能。アルコール溶媒は避けるべき。EtOAcやDMSOも使用可能だが、活性が低下する。THFは少しずつ環の開裂が起きてブタンジオールが生成する。MeCNはアセトアミドが徐々に生成する。

  • 危険性

クロムなどと比べてさほど毒性は強くありませんが、酸化剤であるため、有機物、還元剤との接触により、爆発的な反応をすることがあるので注意する。ろ過除去した反応後の二酸化マンガンは、定められた廃棄方法で適切にしょりしてください。

官能基許容性

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参考・文献・小技

活性二酸化マンガンという名前の通り、活性化されていますが、その活性は試薬会社によってバラツキがあります。反応が進行しにくいときは自分自身で調整するというのも方法の一つです。購入しても大抵は反応が進行すると思います。 Attenburrow, J. et al. J. Chem. Soc. 1952, 1094.

タンデム反応(wittig反応)

脂肪族アルコールの二酸化マンガンを用いた酸化は通常反応が進行しにくく、高温・長時間条件が必要です。デカノールの酸化によるデカナールは12%でしか得られないですが、これを二酸化マンガンによる酸化と安定ホスホランとのタンデムwittig反応を行うと、80%という高収率で得られる報告がされています。Blackburn, L.; Wei, X.; Taylor, R. J. K.; Chem. Commun. 1999, 1337.
MnO2酸化 タンデムこの他にも、イミン生成、そしてそれに伴う還元的アミノ化の報告もあります。 Kanno, H.; Taylor, R. J. K.;
Tetrahedron Lett. 2002, 43, 7337.

アルデヒドを続く反応の中間体として用いる場合、とくに中間体のアルデヒドの安定性が低い場合は、過マンガン酸による酸化を行い連続して次の反応を行う戦略は良い結果をもたらす可能性があります。

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