水カビ病は魚の感染症の中でも有名な病気で、飼育している魚が感染しやすい病気の一つです。病気に弱い種類の魚は感染しやすく、時に壊滅的なダメージを与えることも多く、水産業者を悩みの種にもなっています。
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水カビ病とは?
水カビ病は、名前に「カビ」が入っていますが、カビではなく卵菌という仲間です。カビの菌糸のような細い糸を放射状に広げることからカビに似ているためこの名前がつけられていますが、藻類に近いグループに分類されています。
昨日の夜、♂ベタが水カビ病になっていて隔離して応急処置したんですが今帰ってきて見ると駄目でした…
初の水カビ病に対処しきれなかった未熟さ… pic.twitter.com/O0MLa3Vh5y— (株)K@アクアリスト (@GOGO_AQUA) December 12, 2017
水カビ病に感染すると、体に白、灰色の白色の斑点が表れます。尾ひれなど薄く弱い部位が徐々に腐敗していきます。卵菌は徐々に体全体に広がり、表皮から肉に侵食が進行し、最終的に死に至ります。水カビ病が発症すると広がりやすく早めに手をうたないと他の魚にも感染してしまいます。
水カビに対する免疫応答により、マクロファージが動員されますが、水カビの胞子はサイズが大きいものでは10~20マイクロメートルあるため、マクロファージ(7~15マイクロメートル)では貪食することができないです。さらに、水カビは炎症に関与するアラキドン酸を生成することによって、マクロファージを働きを抑制して免疫力を低下させることがわかっています。
水カビに暴露された魚は卵菌に対する抗体を作っていることがわかっています。水カビに対する抗体ワクチンの開発を目指して研究が進められています。血清中の抗体レベルが大きいほど水カビ病の有病率が低いという結果が得られてます。
こめやん
治療法
水カビ病に対する治療薬としてはマラカイトグリーンが有効ですが、食用の魚に対しては利用ができません。治療薬の使用方法は製品の表記に従いましょう。だいだい0.05ppmくらいの濃度で使用します。
治療時は専用の薬浴水槽を用意して治療したほうが良いです。フィルターには活性炭など吸着するようなフィルターは薬浴中には使用しないようにしましょう。エアレーションや綿のフィルターなどで対応します。
<blockquote class=”twitter-tweet” data-lang=”ja”><p lang=”ja” dir=”ltr”>あー錦鯉が病気やから薬のアグテンに入れてエアーレーションしてる。 <a href=”https://t.co/xt4ERdtoaz”>pic.twitter.com/xt4ERdtoaz</a></p>— 鈴木詠士 おおさかZR501局 (@ae861020) <a href=”https://twitter.com/ae861020/status/1050671128736280576?ref_src=twsrc%5Etfw”>2018年10月12日</a></blockquote>
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薬液につけると水の色が青色に変化します。
治療は目に見える病気の兆候が消失してから最低3日程度継続しましょう。魚が治療薬により弱った場合は、治療水の25%~50%を脱塩素した水に変えて治療を継続します。
過マンガン酸カリウム(KMnO4)が有効?
水カビ病に対する治療法として過マンガン酸カリウムが優れているという研究結果もあります。過酸化水素と比較しても過マンガン酸カリウムが優れていました。
やり方は、100mg / Lの過マンガン酸カリウム水溶液に5分間魚を漬ける作業を1日に置きにやる作業を5回繰り返します。
参考) SHERIF, Ahmed H., et al. Treatment Trails of Saprolegniosis in Oreochromis Niloticus. Alexandria Journal for Veterinary Sciences, 2016, 49.2.
その他の治療法 (食塩や過酸化水素等)
ホルマリン(500および1,000 ppm)は真菌感染(カビへの感染)に対して有効であることがわかっています。また、過酸化水素(1,000 ppm)およびNaCl(30‰)は真菌の侵食を抑制します。これらの治療法は、水カビ病にも有効である可能性があります。
マラカイトグリーンとホルムアルデヒドの併用が有効であるという研究結果もあります。0.25 mgのマラカイトグリーンと 0.125 ml 36–38%のホルムアルデヒド水溶液を1Lの水に加えて調整した薬液に漬けます。薬液には2-6時間漬けて、2日おきで2-3回繰り返します。
参考文献
Gregory Earle and William Hintz, Trop Life Sci Res. 2014 Dec; 25(2): 101–109.