化学

IBX酸化でアルコールを酸化

IBX酸化はアルコールをアルデヒドやケトンに酸化するのに有用な試薬です。溶媒に溶けにくく、爆発性の不安を除けば、安価かつ混ぜるだけで酸化できるので簡便、温和(中性)で重金属を使用しないなど他の酸化反応に引けを取らない利点があります。

IBX酸化の特徴

アルコール→アルデヒドorケトン
DMSOにしか溶けないので原料の極性が高い場合は生成物の回収が面倒
条件によって、カルボン酸などを得ることも可能
爆発する危険がある

IBX酸化とは?

IBX酸化は超原子価ヨウ素化合物であるIBX(2-iodoxybenzoic acid)を使用する酸化反応です。超原子価ヨウ素化合物であるIBXは爆発性を有するため、取扱に気をつける必要があります。IBX酸化の欠点は

  • IBXが有機溶媒に溶けない(DMSOくらいにしか)
  • 爆発性がある

です。

利点としては、

  • 反応性を調節することによって、様々な酸化が可能
  • 中性条件、穏和、簡便な反応(低温条件なしIBXだけでいく)
  • 調製が簡単、安価
  • 取扱が楽(室温、吸湿分解などがない)

などが挙げられます。DMSO中でアルコールをアルデヒドに酸化する反応は1994年に報告されています。

条件・操作手順

・反応条件

原料のアルコールを、0.5-1 mol/LのIBXが溶けたDMSO中に加える。IBXは過剰量用いられることが多い(1-10eq)。アミンがある時は、原料と同モル量のTFAを加えると副反応が抑えられる。

IBX(1.9 mmol)をアルコール(1.0 mmol)のDMSO(5mL)溶液に加えて室温で 3.5時間撹拌した後、TLCで進行をチェックし、反応が終われば、水を加え(20mL)、生じた固体をろ過除去、酢酸エチル等で(3×50mL)中に抽出し、好きな方法で精製する。

  • 溶媒

基本的にDMSOを使いますが、実は溶けなくても反応が進行することが報告されています他には、AcOEt、CHCl3、DCE、アセトン、ベンゼン、アセトニトリルが使えます。特に酢酸エチルが良かったという報告があります。加熱還流してアルデヒド体を得ます。ref)Jesse, D. M. Org. Lett. 2002, 4, 3001

  • 危険性

爆発する可能性がある。金属スパーテルや割れて尖ったガラス器具などを突っ込んだりしない。衝撃に注意!

官能基許容性

カルボン酸、酸アミド、エステル、オレフィンは影響を受けません。

アニリン、フェノールは反応する危険がある。反応すると反応液が暗色になるという報告がある。 Frigerio, M., et al. J. Org. Chem. 1995, 60, 7272

アミンはTFAなどを加えてプロトン化させれば、IBXとは反応しない。(第一級アミン存在下でも反応できる)

硫黄の酸化はデスマーチン試薬よりも酸化する危険性が少ない。

若干酸性のIBXでもTMSやTHPは影響を受けない。

酸化に弱いPMB基はIBX酸化に耐える。

反応選択性

チオエーテルやアミン存在下でアルコールを選択的に酸化可能です。

参考・文献・小技

1,2-ジオールの酸化が可能!

1,2-ジオールを開裂させずにαジカルボニルが合成できる。

1,4-ジオールの酸化でラクトール合成

1,4-ジオールの酸化はラクトンまで酸化されずに、ラクトールで反応が止まる。

IBXの1H-NMRスペクトルの値!

1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz, d): 8.15 (d, 1H, J=7.9 Hz), 8.02 (d, 1H, J= 14.8 Hz), 7.99 (t, 1H, J= 7.9 Hz) and 7.84 (t, 1H, J= 14.8 Hz)

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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております

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