乳鉢とは?
乳鉢は固体をすりつぶすのに使われる器具です。
化学反応は化学物質を液体中に溶かした状態で反応させるため、ゴロゴロした大きな固体試薬は溶けにくいためすりつぶして粉末状にしてから使用することが多いです。
こめやん
乾燥ウコンを乳鉢ですりつぶすなど粉末の漢方や調味料を作るときにも使えます。
乳鉢の使い方と素材
乳鉢の使い方は簡単です。
ゴムマットを乳鉢の下に敷いて、固体を乳鉢に入れて乳棒ですりつぶします。固体が大きい状態の時は乳棒を渦巻き状に動かしてすりつぶすのではなく、垂直に押さえつけるようにして潰したほうが良いです。この時弾けて乳鉢の外に飛び出ないように注意しましょう。
試料を入れすぎないようにするのがコツです。少ない量から試してみましょう。細かくなってきたら乳棒を渦巻き状に動かしてすりつぶしていきます。あまりダイナミックにこすりすぎると乳鉢側が削れてコンタミするので注意しましょう。
乳鉢の素材
乳鉢の素材には磁器、メノウ、ステンレス、石英などがあります。
磁器製の乳鉢が安価でスタンダードな乳鉢です。一般的によく使われます。
メノウ製のものは表面が滑らかで適度な強度があるので、細かい粉末を作るのに適しています。耐摩耗性も優れています。大きな試料を別の乳鉢でつぶした後に細かくする仕上げにメノウを使用することもあります。
石英は二酸化ケイ素(SiO2)の結晶からなる純度の高い物質です。メノウと同じ程度の硬度を持ちつつ、二酸化ケイ素以外の不純物が少ないので乳鉢側が削れて混入しても影響が少ないという利点があります。純度の高い粉末試料を作りたい場合に適しています。
アルミナ製(コランダム)の乳鉢はダイアモンドに次ぐ硬度を持っています。硬度の高い試料をすりつぶすのに適しています。
ステンレス製の乳鉢は大きめな固体試料をすりつぶすのに適していますが、金属のコンタミが起こるのでこれを避けたい場合は適していません。チタン製などもあります。金属に対して腐食性を示す物質も使えません。
使用上の注意点
乳鉢を使用するうえで注意するべきことは
- 吸湿
- 爆発
- 粉塵の吸引
- 弾けてロス
- 力の入れすぎで乳鉢が割れる
- 固体が硬すぎて乳鉢側が削れる
- 乳鉢の素材のコンタミ
などがあります。吸湿性が高い物質はすりつぶすして粉末にするとより一層吸湿しやすくなってべちゃべちゃになってしまいます。その場合は窒素置換したビニール袋の中ですりつぶすなどの工夫をしましょう。
刺激に敏感な物質(過酸化物やニトロ化合物など)は爆発の恐れがあるのですりつぶしてはいけません。また、有害物質の場合は舞った粉末を吸引してしまうのでドラフト内でやるなど工夫しましょう。
弾けて場外することがあるので、最初のほうはゆっくりと潰しましょう。乳鉢の素材はすりつぶす物質によって適切に選択しましょう。使用用途によっては乳鉢素材のコンタミが問題になることがあるので注意しましょう。