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手袋の有機溶媒・薬品に対する耐性のまとめ

手袋の有機溶媒・薬品耐性

実験中は有害な薬品に直接手を触れることを防ぐために手袋を着用することが多いと思います。

しかし、手袋の素材によって防護できる薬品と防護できない薬品があるってご存知でしたか?

使用する薬品の種類によって適切な手袋を使用しないと、着用している意味がまったくないということも有り得るので注意しましょう。

こめやん

ラテックス、ニトリル、ポリエチレン、塩化ビニルなどの材質の手袋では、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、DMFなどの多くの有機溶媒から身を守ることができません!

手袋の薬品耐性は信用しない

手袋の素材によって防護できるものとそうでないものがあります。

しかし、例え防護できる素材だからといって直接化学物質には触れないようにします

こめやん

耐性のある薬品で使用OKな手袋でもダメなの?

そうです。その理由として

  • 新品でも劣化・擦れなどで穴があいている場合がある
  • 使用中に気づかない間に穴が空く場合がある
  • 使用している薬品の濃度や組み合わせによって材質が侵される危険がある
  • 数種類の薬品を同時に使用する場合は全ての薬品に対して耐性があるか?
  • 二次汚染(薬品のついた手袋で物や体に触れる)の危険がある

があります。つまり、

安全のためには基本的には手袋に薬品をこぼさないようにすることが重要です

基本的な材質 ニトリルゴム、ラテックス…

手袋の防護性能は単純な材質だけではなく、「厚み」「表面加工」「多重層」「組成」などさまざまな要因によって変化しますが、基本的には材質の特性が大きく影響します。

手袋の主な材質には

  1. ニトリルゴム
  2. 天然ゴム(ラテックス:NR)
  3. ポリエチレン
  4. 塩化ビニル
  5. ポリウレタン
  6. クロロプレンゴム(ネオプレン)
  7. ブチルゴム
  8. フッ素ゴム
  9. クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)
  10. シリコーンゴム

があります。実験室で日常的に使うグローブの材質は1~5の材質が多いと思います。天然ゴムはラテックスアレルギーがあるので使用できない人もいるので、性能的にはニトリルゴムの手袋がバランスが良いですが、耐えられない薬品も多いので、使用薬品に合わせて適切な材質を選択しましょう。

材質 略称 特徴 酸・アルカリ耐性 有機溶媒耐性
ラテックス NR Theゴム。機械特性は高めで安価 薄い酸・塩基のみ アルコールには耐える
ブチル IIR 機械特性は低い。火に弱いが耐熱・耐ガス特性が優秀 有機酸・塩基以外は耐性 極性溶媒(ケトン・エステル)耐性、非極性(アルカン・ベンゼンetc)は弱い
ニトリル NBR バランスが良い。耐ガス、耐油性が高い 薄い酸・塩基に耐える アルカン類には耐えるがベンゼン類、エーテル、ケトン、エステルには弱め
ウレタン PUR 機械特性が非常に優秀だが、薬品耐性は弱い ☓ 向かない アルカン類のみ
クロロスルホン化ポリエチレン CSM 酸アルカリに強い 無機塩基・酸に強い アルコールには耐えるが他には耐えない
クロロプレン CR バランスが良い 有機酸と無機強酸には弱め 芳香族やエステル・ケトンには弱い
シリコーン Si 高耐熱・寒特性、極性溶媒に耐。撥水性 アルカリには耐える アルコールやエステルに耐
フッ素 FKM 最高の耐熱・耐薬品性非常に高価・機械特性は弱い アルカリに弱い ケトンや酢酸エチルには弱い、クロロアルカンには強め
ポリエチレン PE 重合度で特性変化。機械特性は低い 酸・アルカリに耐える 有機溶媒にはあまり強くない
塩化ビニル 有機溶媒に弱い 酸アルカリに耐える 有機溶媒に弱い

透過性試験 JIS T8116に準拠してる?

平成28年~平成29年にかけて厚生労働省から化学物質暴露による健康被害を防止するための対策を強化するよう通達がされています。

最も接触する機会が高い「手」は確実に守れるように適切な防護手袋を使用するためには適切な試験のもと評価された手袋を使用するのが好ましいです。

その一つが化学防護手袋の耐透過性、耐浸透性、耐劣化性の評価法の基準であるJIS T 8116です。

試験物質として推奨されているものは以下があります。

  1. アセトン
  2. アセトニトリル
  3. 二硫化炭素
  4. ジクロロメタン
  5. ジエチルアミン
  6. 酢酸エチル
  7. n-ヘキサン
  8. 40% 水酸化ナトリウム
  9. 濃硫酸
  10. 18%硫酸
  11. THF
  12. トルエン

こめやん

ケトン、ニトリル、エステルなど幅広い物質が選ばれていますね

耐透過性性能

耐透過性は手袋の裏側(手側)に浸透してくる時間を調べたものです。

化学物質は手袋の材質や縫合部から化学物質が透過してきます。耐透過性は性能が良いものからクラス6~1に分類されます。

クラス 平均標準破過点検出時間 (min)
6 >480
5 >240
4 >120
3 >60
2 >30
1 >10

JIS T 8116 :2005より引用

耐浸透性性能

耐浸透性は透過性と似たような感じがしますが、水に対する浸透性の評価法です。手袋内部に水を満たして穴(ピンホール)が開いていないかを調べます。

クラス 品質許容水準(AQL)
4 4.0
3 2.5
2 1.5
1 0.65

JIS T 8116 :2005より引用

耐劣化性

耐劣化性は化学物質との接触後にどのくらい破れやすくなったりしているかを調べる試験です。引っ張ったり突き刺したりして評価します。耐劣化性に関しては任意のようです。

クラス 変化率 (%)
4 ≦20
3 ≦40
2 ≦60
1 ≦80

JIS T 8116 :2005より引用

接触前後の変化率で評価します。

こめやん

特に重要なのは透過性試験です。使用する化学物質やその性質に近い化学物質に対する耐性が高クラスのものかを確認しましょう。

JIS T 8116に適合した商品を扱う会社としては「重松製作所」があります。

各材質の特徴

ポリウレタン

ポリウレタンは機械的な強度が非常に優れているのが特徴です。軽い。

クロロスルホン化ポリエチレン

ハイパロンという名前でデュポン社により開発された材料です。酸やアルカリ性に強い。気体は透過しにくい。老化しにくいため耐水素材としてボートなどに使用。有機溶媒には基本的に弱いので向かない

ベンゼン☓、クロロホルム☓、酢酸☓、アセトン△、王水○、フッ化水素酸◎、過酸化水素◎、発煙硝酸☓、水酸化ナトリウム◎

ポリエチレン

ポリエチレンはプラスチック系の手袋でよく用いられています。

アセトン△、アンモニア◎、ベンゼン△、クロロホルム☓、酢酸エチル△、ヘキサン☓、HF◎、次亜塩素酸◎、

フッ素ゴム

フッ素ゴムは高価ですが耐薬品性や耐熱性などの特性が優れています。ケトン類(アセトン)やエステル類(酢酸エチル)などには弱いですが多くの溶媒に耐えます。

ブチルゴム

ブチルゴムは機械的特性が低い欠点がありますが、耐ガス、耐薬品性が高いです。特に耐油性(非極性溶媒)には弱いですが、ケトン、エステルに強い数少ない材料です。

薬品別で耐久性のある手袋

アセトン

アセトンは実験室でもよく使う溶剤の一つで、透過しやすい物質でもあります。天然ゴムやニトリルゴムなどでは貫通します。アセトンに対する耐性が高い材質は「ブチルゴム」です。基本的に多層手袋を使用したほうが良いです。

ダイローブ640(ダイヤゴム株式会社)透過性クラス6(他MeCN,MeOH,DMF,NO2Ph)

ブチルゴム38-514(重松製作所)透過性クラス5~6

多層02-100(重松製作所)透過性クラス6

ジクロロメタン・クロロホルム

ハロゲン系の溶媒は毒性もあるため接触を避けたいものです。しかし多くの材料で透過してしまいます。

単体材料ではフッ素ゴムが唯一耐性があります。

参考

華陽物産株式会社:ゴム耐性一覧表

http://www.moritakaroller.co.jp/wordpress/wp-content/themes/moritaka/img/rubber/material.pdf

www.ss-sangyo.co.jp/手袋の薬品耐性一覧/

https://www.showaglove.co.jp/business/chemical

https://www.kyowa-r.com/catalog/proof.html

ご使用の前に

https://www.n-genetics.com/products/1017/1024/11031.pdf

http://www.sts-japan.com/leaflet/chemical_protective_glove/html5.html#page=5

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