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科学的な根拠が高い温泉の効果とは?システマティックレビューを紹介

寒い時期になると鍋や温泉など温かいものが恋しくなりますよね!

温泉はリラックス効果といいとっても良いものです。

温泉にはたくさんの効果があり古くから親しまれています。しかし、温泉の効果について調べた研究ってあるのか?調べてみたところ、システマティックレビューという科学的にエビデンスレベルの高い研究が行われているのを発見しました。

医療においても最近は科学的根拠に基づいた医療(Evidence Based Medicine)などのように科学的根拠が求められる時代になってきました。

もちろん科学的根拠がないからといってそれが必ずしも効果がないと言うわけではありません。

しかし、科学的な視点で研究してからこそ見つかる魅力や発展の可能性というのもあります

ここでは西洋医学的な視点から温泉というものを科学的に検証していきたいと思います。

温泉の治療・健康増進効果について調べたシステマティックレビューがある!

温泉は昔から様々な健康効果があるとして療養に用いられていた歴史があります。

でも、それらが実際に効果があるのか?むしろ体に害悪をもたらすものであるならば、それはやめたほうが良いですよね?

もしも私の祖父母や両親が疾患治療の目的で温泉に入ったのにそれで悪化してしまうのだとしたら私はおすすめしたくありません。

そういった視点でも科学的に検証する重要性があります。

実は東京大学、東京農業大学、東京厚生年金病院、よみうりランド慶友病院、身体教育医学研究所などが共同で行った「温泉の治療と健康増進の効果に関する無作為化比較試験のシステマティック・レビュー」という論文が発表されています。

システマティックレビューとは科学的根拠の質が最も高い研究の一つとして認識されているものです。

システマティックレビューとエビデンスレベルについては下記記事を参考にしてください。

エビデンスレベルピラミッドエビデンスレベルピラミッド 信頼性の高い情報とは?

無作為化比較試験はシステマティックレビューに次いでエビデンスレベルの高い研究であり、それらの論文を総合した論文というわけです。

これまで温泉におけるシステマティックレビューは有名な「コクラン・レビュー」というシステマティックレビューのシリーズで一つだけなされていました。

そこでは関節リウマチと変形性膝関節症に対する温泉療法の効果についてシステマティックレビューされており、そこでは、「不十分な研究方法や統計分析の欠如などの問題があるとされながらも温泉効果の肯定的な結果は無視できない」とされています。


システマティックレビューの結果は?

システマティックレビューでは作成した厳正な基準をもとに網羅的に集められた研究を対象に行います。その結果ランダム化比較試験18研究がヒットしました。

選定された論文をまとめると

リウマチ性疾患6研究
変形性関節症4研究
腰痛3研究
パーキンソン病1研究
静脈瘤1研究
乾癬1研究
健康増進1研究

これらの研究を13点満点で研究の質を評価しました。総合した研究の質は7.5±2.3でした。

リウマチ性疾患に関して

リウマチ性疾患に関しては最もヒットする研究が多かったようです。おもにリウマチの痛みの軽減効果を見ています。

このシステマティックレビューの中で最も得点の高い12点をたたき出した論文がFrakeらによるラドン温泉による疼痛抑制効果についてです。

研究としては、「ラドンを含む温泉水」と対照として「同濃度の二酸化炭素を溶かしたラドンを含まない温泉水」を使ってランダム化比較試験を行ったところ、ラドンを含む温泉のほうが有意に長期間の効果があったということです。疼痛抑制作用は6か月と長期間に及んでいることを報告しています。

ラドンについては別記事でも取り上げましたが、現状未だ詳しいメカニズムなどが明らかではないながらも疼痛には一定の効果がありそうですね。

温泉の効果1放射能泉の効果と効能 放射線の危険性はないの?

また、Van Tubergenらは硬直性脊椎炎では温泉浴が40週という長期的なこわばりや疼痛の改善効果があることを報告しておりこちらも10点と質の高い研究とされています。

変形性関節症について

Nguyenらは温泉療法によりひざと脊椎に疾病を持つ患者群は6か月の長期間にわたって疼痛の抑制、鎮痛剤使用低減効果があることを報告しています(10点)。著者らは温泉自体だけでなくおもてなしなど複数の要因が複合して起きたと考察しています。

Ekmekciogluによる報告では硫黄浴(7.3mg /L)を三週間20分間の入浴により脂質濃度やSOD活性などを調べたところ、SOD活性上昇が有意差ありで確認された(9点)

腰痛について

疼痛の論文は全てConstantらによる同じグループの研究報告であり、温泉のミネラル成分などの差は見られなかったが、疼痛改善は有意差があったようです(9, 8, 7点)。また疼痛軽減効果は長期にわたったというのが一例あります。

まとめ

温泉の効果としては科学的に疼痛の抑制効果があるという報告が多くあります。それぞれリウマチ、変形性関節症、腰痛など疾患は異なりますが、温泉により鎮痛効果を得るのは科学的にみて効果が期待できるかもしれません。

疼痛はさまざまな医薬品が出ていますが、疼痛の原因は不明であったり、長期にわたるもの、治療が困難なものも依然としてあります。QOLを低下する症状であるため、温泉がこれらの疼痛治療に役立つかもしれません。

温泉に関する疾患の治療効果に対する関心は高いと思われますが、まだまだ科学的な知見で検証されているものは少なく、質の高い研究は少ないです。

今後の研究が期待されますね。

参考
上岡洋晴, et al. “温泉の治療と健康増進の効果に関する.” 日本温泉気候物理医学会雑誌 69.3 (2006): 155-166.

温泉を研究論文から科学的な視点から俯瞰してみた まとめ

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