博士課程は学校教育の最終課程です。これ以上進学先はありません。
そんな博士課程はとっても入学が難しいのでは?と思うかもしれませんが、実はそうでもありません。博士課程には簡単に入学できます。
しかし、「博士課程」の卒業は大変です!
その理由の一つが「博士の学位論文」です。
博士の学位取得の要件として、論文をファーストで何報か出していれば卒業できるという場所もあれば、博士論文をしっかり審査してだめならもう一年頑張ってというところもあります。
いずれにしても博士論文の提出は必要です。
博士課程にいる人は修士課程で学位論文を提出したり、投稿論文を書いている人が多いと思うので基本的なことは大丈夫だと思いますが、博士論文を作成する上での注意点などをまとめて紹介します。
博士と修士論文の違うところ
まず博士論文は学位論文であるため、投稿論文とは主旨が異なります。
修士と博士論文が異なるところは
博士論文 | 修士論文 | |
内容 | 研究成果が重視 | やったこと・内容を重視 |
言語 | 英語(日本語) | 原則日本語 |
公開範囲 | 公開 | 原則学内 |
審査 | 厳格 | 柔軟 |
口頭審査 | 研究成果の新規性や有用性を明確に主張し、質疑に対して論理的に守る(ディフェンス)することが求められる。時間無制限で気が済むまでやる所も | 質問に適切に対応できるか? |
合否 | 普通に落ちることがある | ほとんど落ちない |
ボリューム | 100枚以上 | 50-100枚程度 |
論文構成 | 複数の内容があるためミニチャプター形式で大きく序論、本論、結論と分けない | 内容によるが序論、本論、結論のように分けて書くことがある。 |
背景 | 研究成果を強調・正当化し、重要性を説くためにストーリーだてて書く | 広範で深く |
などがあります。修士論文よりも厳しいです。
博士論文は公開されてる!他大の論文を参考可能!
博士論文は一般的に公開されます。そのためWebで簡単に博士論文を調べることが可能です。
例えば【熊本大学 博士論文】と調べるとリポジトリが出てくるのでそこらから博士論文を検索できます。
CiNiiの博士論文検索機能もキーワード別に検索できるのでおすすめです。
検索窓に「Crispr」と打つとそのキーワードが入った博士論文を検索できます。
基本的には所属研究室や周辺研究室の先輩の博士論文を参考にしましょう。
博士論文(修士論文)を書く上で気を付けるポイント
博士論文の執筆の第一のポイントは、大枠からやっていくことです。いきなりフォントやら細かい部分からやっても無駄です。
タイトルや論文に載せる結果をまとめて、どのようなストーリーで書くか決めます。自分の持っている成果を基準にに、必要なイントロ、ストーリーを構築するイメージです。
第二に何も考えずにこなせる部分は早めに取り組むことです。機器データや参考文献リスト、実験項、実験手法説明などは作業色が強いです。早めに取り組んで早めに終わらせましょう。
構成の注意
タイトルや研究目的(仮説)と結論が一致・関連しているか?
基本的なことですが、タイトルや研究目的と得られた結果・考察はきちんと関連している必要があります。論点がずれていないか確認しましょう。
章立て、章・節・項が整っているか?
章立てが適当になっていたり、偏っていないか?確認する。同じ階層の章や節はそろっているか?
本文の体裁を整える
番号の関連付けを確認する
参考文献の番号や図表番号、章番号、ページ番号、化学物質の番号などが本文ときちんと対応しているかを確認します。
修正中にずれるためわからなくならないように気を付けましょう。
イタリック体、大文字小文字、下付け
イタリックで書くべきところ(生物の学名表記など)はきちんとイタリック体で書きましょう。化学にも(tert-やR体)などがあります。
また、名前など大文字で始まるべき文字はきちんと大文字にします。
Wordを使っている場合勝手に大文字、勝手に小文字にする機能があるので気を付けましょう。
化学の場合H2O→H2O下付けにすべきものがあります。
スペースを空ける
全角と半角のスペースが入り混じったり、段落の先頭にスペースがない場合があります。
100 ℃のスペース、24 hのスペース
フォントをそろえる
フォントがバラバラになっていないか確認します。フォントは指定されたものを利用します。図表中のフォントがずれることがあるので気を付けます。
有効数字
有効数字は揃えます。小数点以下などバラバラになっていないか確認します。図表中のものがずれていることが結構あります。
グラフの体裁
グラフの単位
グラフの単位を明確に記述する
色を使いすぎない
無駄に色を使いすぎると見にくい。使う場合は色の規則をそろえる。ネガコンが緑ならずっとネガコンを緑にする
略語表にある?
略語表にない略語は使用しない。使う場合は略語表に追加する
定数や変数の定義、説明、単位を入れる
変数や定数は未知の状態にしない
参考・引用文献を入れる
外部から持ってきた情報は全て参考や引用文献を載せる。
英語の注意
複数形
複数形になっているか?不可算名詞に注意する
冠詞
日本語にない冠詞は忘れがちなので気をつける。
ピリオド、カンマ
ピリオドとカンマのうち間違いに気を付ける。
表現の注意
定性的な表現の使用を控える
ものすごく大きいではなく、コントロールの100倍大きいなど数字を用いる。
【本記事は10/7現在執筆中です】