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誘導体とは何か?
誘導体はある物質の特徴的な部分を母体として化学構造や性質を大きく変えないような化学構造の変化を加えたもののことです。
料理で例えるなら、カルボナーラやボンゴレビアンコなどパスタには様々なアレンジがありますが、その母体となっているのはスパゲッティ麺です。ミートソースをかけようがアサリを加えようがスパゲッティ料理であることは変わりません。
- 母体:塩ゆでされたスパゲッティ
- 誘導体:ペペロンチーノ、ミートソース、ボンゴレビアンコ
みたいな感じです。
誘導体について理解するには化学構造を見る必要があります。
身の回りには聞きなじみのある名前が付いた化学物質がたくさんあります。コレステロール、ビタミンC、グルコースなどのことです。これらの物質は大抵それ自体が特徴的な構造≒母体 となる構造をもっています。(逆に気なじみがない名前は10-イソプロピル-9-メチル-9,10-ジヒドロアクリジン-2-カルボン酸とかですね)。
化粧品でよく登場するビタミンC誘導体で考えてみよう
ビタミンC誘導体はよく聞く誘導体のひとつです。これを化学構造でみてみましょう。
ビタミンCはそれ自体が母体構造になっています。下図の左側がビタミンCの構造です。この母体構造を大きく変えずに別の物質に変化させることを誘導体化と呼びます。化学構造を変えると物質の性質も変化します。水に溶けやすいビタミンCは下記のような誘導体化すると油に溶けやすくすることができます。
誘導体化はもとのビタミンCとして良い効果を保ちながら、吸収されやすくしたり、排泄されにくくしたり、分解されにくくしたりする効果を狙って行います。
機能を高めるために誘導体化する
ある食品から毛をはやす成分が見つかったとします。しかしこの成分は効果が弱いため、食品からの摂取では作用を発揮するための十分な量が確保できません。また毛をはやす効果もそれほど強くありません。
こんな時に使うのが「誘導体化」です。より強い作用を持つ物質を目指して、食品から見つかった物質の一部を変えて
より高機能な物質を探索します。